違法献金疑惑また

長崎 知事後援会に306万円

2002年12月26日(木)「しんぶん赤旗」

 ことし二月の長崎県知事選をめぐる違法献金疑惑で、金子原二郎知事の「対馬後援会」(長崎県厳原町)が選挙直前の昨年末に、実体のない自民党長崎県魚市場連合会支部(長崎市)を通じ、県発注の公共事業を請け負っていたゼネコンや地元建設業者九社から計三百六万円の献金を受けとっていたことが二十五日、本紙の調べで明らかになりました。この問題で知事の後援会に建設業界のカネが流れていたことがわかったのは初めて。長崎地検は公職選挙法違反(特定寄付の禁止)の疑いもあるとみて調べています。


公共事業受注9社から実体ない自民支部へ

 二〇〇一年分の政治資金収支報告書によると、金子原二郎対馬後援会は昨年十一月から十二月にかけ、計五回、計三百十万円の寄付を自民党長崎県魚市場連合会支部から受けとっています。

写真

違法献金疑惑への関与が指摘されている長崎県建設業協会が入居する県建設総合会館=長崎市

 一方、同支部は、県と請け負い関係にある十三社から十〜四十八万円、計四百四十八万円の献金を受けとっていますが、うち若築建設、東洋建設、浅沼組の中堅ゼネコン三社を含む九社、計三百六万円の献金時期は、知事選直前の十二月四日〜二十六日の間に集中しています。

 同後援会の原田保吉会長は、「寄付はすべて後援会活動費で選挙費用ではない」と話しています。

 公選法では、地方公共団体と工事契約などを結んでいる企業に対し、その首長や議員選挙に関する寄付を禁じ、首長や議員の候補者も寄付を受けとることを禁止しています。

 同支部は、連絡先が青果卸の会社で、浦川成良支部長自身が「経理については金子後援会本部がやっており、支部の金の流れはまったく把握していない」と告白するように実体のないもの。建設業界からの献金受け入れのトンネル機関となった可能性が指摘されています。

 この事件をめぐっては、地検は金子知事を支援していた自民党県連に約千九百万円を寄付した五洋建設などゼネコン七社を家宅捜索するとともに、浅田五郎県連幹事長ら関係者から事情を聴いています。また、別の支援団体に計七百万円を献金した地元業者十四社についても同法違反の疑いで捜査しています。


金子知事と深い関係

自民の魚市場連合会支部

 長崎県知事選に絡む違法献金疑惑で、関与が明らかになった自民党長崎県魚市場連合会支部は、金子原二郎知事ときわめて深い関係のある支部です。知事自身の責任が改めて問われています。

 同支部の会計責任者は、金子知事が衆院議員時代の公設秘書が代表で、知事も取締役を務める生鮮魚介卸売会社の常務。金子知事の「新農政研究会」(鎌倉市)など三つの政治団体に九五年〜〇一年に総額一千万円の献金をしている人物です。

 同支部の政治資金収支報告書によると、一九九五年から二〇〇一年までの七年間に、諌早湾干拓関連事業の受注企業を含む企業・団体献金を総額一億千七百二十二万円も集めています。

 同支部の寄付・交付金の支出先で名前が出てくる政治団体などは、九八年に自民党の久間章生政調会長代理(衆院長崎二区)の二つの政治団体に各三百万円、計六百万円のほかは、九六年に金子知事が衆院議員時代、支部長を務めた自民党長崎県第四選挙区支部に九百万円、金子原二郎後援会の百万円など、金子知事側が目立ちます。九七年には、自民党長崎県第四選挙区支部から逆に二百五十万円の寄付を受けています。