政治資金として届け出ても違法−。今年二月の長崎県知事選直前、県発注の公共工事を請け負っていた中堅ゼネコン四社と地元十四社が金子原二郎知事に知事選資金として献金し、政治資金収支報告書に記載された計千六百万円が公職選挙法違反(特定寄付の禁止)などの疑いで長崎地検の捜査対象となっています。本紙の調べでは、中堅ゼネコン四社は昨年、別途計九百万円を献金するなど日常的な癒着の構図があり、捜査の行方が注目されます。

 長崎地検が違法献金の疑いで三日、家宅捜索したのは、五洋建設(本社・東京)、不動建設(本社・大阪)、鴻池組(同)、東亜建設工業(本社・東京)。長崎県選管に提出された政治資金収支報告書(〇一年分)によると、知事選直前の昨年十二月十九日から同二十七日にかけ、四社は、百万円〜三百万円、計九百万円を
金子知事を支援した自民党長崎県連に寄付しています。(図参照)
 五洋建設は昨年度に入札があった県土木都関連工事だけで、共同企業体を含めて四十件、総額約三十五億円分を契約。他 の三社も県発注の公共事業を受注していました。
 四社の献金九百万円は、自治体の首長や議員の選挙で、当該自治体の公共事業を請け負った企業は選挙にかかわる寄付をしてはならないと定めた公達法(一九九条)に違反するとして捜査を受けているのです。
 政治資金収支報告書に法ると、四社は、今回、違法寄付容疑で摘発されたほかにも昨年六月〜十一月に、五十万円〜三百、計九百万円の献金を自民党長崎県連に行っており、恒常的癒着が明らかになりました。
 他方、地元長崎県の建設業孝二十社も、県知事の後擾会から支援要請を受けた建設業協会長崎支部の協力要請を受け、昨年十月〜十一月に十九社が五十万円ずつ計九百五十万円、十二月に一社が五十万円と、あわせて一千万円を自民党長崎県建設支部に献金。うち県の工事を受注した十四社七百方円分が違法献金として関係者が事情聴取されています。
 政治資金収支報告書に記載され、直接、金子知事にわたっていない献金を、長崎地検が捜査対象にしたことに、自民党関係者は衝撃を受けています。「政治資金」で処理しても違法性をまぬがれないからです。
 公共事業受注企業からの献金は本来、「税金還流」や「わいろ」の意味を持つもの。日本共産党など野党は公共事業受注企業の献金禁止法案を提出しましたが、与党が拒否しました。
 長崎地検の摘発に先立って報告を受け、了承した最高検は、「今後も法律上犯罪として明白に成立するならば対応する」との考えで、地方選挙や国政選挙への影響も必至です。
長崎県知事と公共事業受注の4社 日常的に癒着
しんぶん赤旗」12月7日