諌早湾干拓事業の受注企業からの献金にかなりの部分を依存している自民党長崎県連が県選出国会議員や県議など地方議員、地域支部などに献金を広範に再配分している構図が、日本共産党の小沢和秋衆院議員の調べで明らかになりました。同様の再配分をしている事業の地元、衆院長崎二区選出の自民党・久間章生政調会長代理とあわせて受注企業からの献金は約七億五千万円。同事業が目的を失いながら強引にすすめられている背景が浮かび上がりました。
調査したのは、一九八五年から二〇〇〇年までの十六年分の政治資金収支報告書。これによると、自民党長崎県連は毎年、年間収入の二割前後が企業・団体献金で、その総額は十四億六千七百万円。このうち、五洋建設、若築建設、熊谷組など潮受け堤防をはじめ干拓関連事業を受注した企業五十社からの献金は七億三千百二十万円で49・8%を占めています。
自民党長崎県連は、県議三十五人、諌早市など十市・町の地方議員八十四人、金子原二郎知事、諌早市長などの首長(候補含む)十一人に計一億七千万円近くを支出しています。また、自民党の自治体ごとにつくられた地域支部や各種業界・団体につくった業界・団体支部百以上に計三億二千九百万円、虎島和夫元防衛庁長官など県選出の衆参国会議員に計二千七百万円を配っています。
国会議員で突出しているのは、久間政調会長代理。自民党県連を通しては三百十七万円だけですが、みずからが支部長を務める自民党長崎県小選挙区第二支部、資金管理団体の長崎政経調査会の二団体で直接、約一億二千万円の献金を受け取っています。このうち、諌早湾干拓事業の受注企業からの献金は二千二百十五万円にのぼっています。
久間氏は、久栄会など自分の他の政治団体に寄付しているほか、六千八百五十万円を自民党県連同様、選挙区内の地域支部や県議など地方議員、首長などに再配分、影響力を保持しています。