2002年9月28日(土)「しんぶん赤旗」

米核実験 われわれの痛み受けとめよ

大使館前など全国で行動 被爆者が訴え


長崎で署名行動

 原水爆禁止長崎県協議会は二十七日、長崎市松山町の平和公園で、アメリカの未臨界核実験に抗議する緊急署名活動と原爆パネル展を行いました。「通常爆弾と違い、一瞬にして大都会がなくなるのが核兵器。身勝手な実験が繰り返されるのは許せない」と、展示パネルを解説する椿山春四さん。「今朝また米国が核実験をやりました。腹がたってしかたがなかです」と観光客にビラを配る福長春二さんら被爆者の声が怒りに震えていました。

 署名した市民や観光客も、「(アメリカに)何も言わない日本政府もだらしない」と話していました。

 原爆写真をじっと見ていた岐阜県の西脇麻美さん(24)は、「ことばがありません。長崎の何千倍もある核兵器がまた使われるなどとんでもない。二度と犠牲者を出してほしくない」と、核実験反対の声を寄せました。


 首都圏の被爆者らは二十七日、アメリカの未臨界核実験への抗議行動をアメリカ大使館前でおこないました。雨のなか、集まった約二十人の被爆者は、米国がイラクへの核攻撃も公言するなか、前回の実験から一カ月もたたないうちにまたも実験をおこなったことに厳しく抗議。「二度と被爆者をつくらないでほしい」と訴え、声をつまらせながら全員で「原爆を許すまじ」を歌いました。

 日本原水爆被害者団体協議会の岩佐幹三事務局次長が「イラクに対し核兵器の使用を選択肢にふくむ先制攻撃を公言し、さらに臨界前核実験をおこなったことは、いずれもまさしく悪魔の行為」との声明を読み上げ、未臨界核実験とイラクへの先制攻撃計画の放棄、核兵器廃絶の「約束」の実行を求めました。

 被爆者たちは次々とマイクを握り、手を震わせながらアメリカ大使館に向かって訴えました。

 「核兵器は人間を何十年もかかって、なま殺しにする。ブッシュ大統領、あなたは巨大な力をもっているんだから、その力を戦争のない世界をつくる努力にむけよ」と東京・渋谷区の被爆者。「ブッシュ大統領はヒロシマ、ナガサキを訪れ、われわれの痛みを受けとめよ」と東京・町田市の被爆者は力をこめました。

 八十四歳の高木留男さんは、「三年前に腎臓がんになった。被爆者はがんでどんどん亡くなっている」とのべ、声をつまらせました。「がんばれ」との仲間の声援に、「自分は被爆のせいでめまいがし、体も十分に動かせないが、最後の一人になっても被爆者は核兵器をなくすまでがんばる」と続けました。

 読み上げられた東京都原爆被害者団体協議会の声明では、原爆投下直後に家族をさがしに長崎に入った被爆者が、歯ぐきから出血し、頭髪が抜け、いま肝細胞がんにおかされていることをのべ、「だからこそ、核兵器の存在を、絶対に認めることはできません」と訴えています。


広島原爆碑前で90人が座り込み

 アメリカの相次ぐ未臨界核実験の強行に対し、広島県原水協など八団体でつくる未臨界核実験に抗議する座り込み行動実行委員会は二十七日、小雨が降るなか、広島市中区の原爆碑前で抗議の座り込みをしました。被爆者ら約九十人が参加しました。

 県原水協の大越和郎代表理事は今回の実験について「本当のねらいはイラクに対する攻撃、この準備の一環と思わざるを得ない」と批判しました。

 県被団協の吉岡幸雄副理事長は「アメリカはCTBT(包括的核実験禁止条約)も何のその。核兵器廃絶を約束したのも踏みにじる。言語道断と言わざるを得ない」とのべました。