加用さんの労災裁判
 研究所の同僚が過重労働を証言
 三菱重工長崎研究所の海洋船舶推進室長として、管理者と研究者の二つの仕事をこなし、年間3000時間を超す長時間労働で病に倒れながら、労災認定されないことを不服として裁判を起こした、加用芳男さん(57歳)の第1回証人尋問が10日、長崎地裁で開かれました。
 50人を超す、傍聴席いっぱいの支援者が見守るなか、加用さんと同じ職場の古城秀夫さん(59歳)と川崎佐年さん(47歳)への主尋問が行われ、2人の証人はいずれも労働基準監督署の認定と異なる証言を行いました。
 古城さんは、夜7時から8時に帰る日が7割。昼休みも十分にとれない状況だったという自らの体験を述べ、「加用さんの帰る時間はさらに遅く、土曜出勤も月に2,3回あった」と長時間労働の実態を証言。「船舶海洋部門は年間2億円の赤字で、加用さんは年中予算獲得に追われていた」と、精神的に過重な室長業務の内容を明らかにしました。
 川崎さんは、氷点下21度の氷海水槽や低温実験室で、加用さんが他の研究員と同じように細かい作業を行っていたと語り、寒冷作業に従事していたことを証言しました。
 裁判後集会で加用さんの妻・豊子さんは、「発病から8年8カ月、やっとここまで来た。お二人が職場の実態を誠実に話してくださり、感激しています」と語り、これからのいっそうの支援を訴えました。
 この日に先立つ9日、長崎市で開かれた「加用労災裁判を支援する会」総会では、「支援の運動を大きく広げる時期にきている」として、体制の強化を決め、4団体、1個人を代表委員に、事務局長に笹屋欣司氏を選出しました。