諌早湾干拓で佐賀県漁民が長崎県に要望書

 二十九日から、諫早湾干拓事業の中央干拓地前面堤防工事に反対し、ゲート前に座り込んでいる佐賀県漁民のうち約二百人は同日午後、「有明海を救ってください」などと訴えて長崎駅そばから県庁までをデモ行進。佐賀県南川副漁協の佐々木成人さんら漁民有志が、金子原二郎長崎県知事への要望書を持って話し合いを求めました。

 要望書は、「(諫干事業によって)魚介類が激減し、有明海を生活の糧としている漁民の生活を窮地に追い込んでいる」として、前面堤防工事の即時中止、中長期開門調査の最優先、湾周辺の防災対策を求めています。
 長崎県側は、県民代表を七人としたうえで、庁舎内でなく玄関先で応対。県諫早湾干拓室の池田裕房室長は、「阻止行動を止めないと話し合いには応じられない」などと答えました。漁民の要望書は受け取りました。

 佐々木さんは、「接点を見い出すためにも行動が必要。われわれは開門調査の推進を訴えているだけ」と強調しました。
 県外の有明海沿岸漁民が長崎県庁に出向いて要望したのは初めて。そばで、県の対応に注目していた諫早干潟緊急救済本部の山下八千代代表や福岡県大牟田市の市民団体代表らは、「被害を被っている漁民を、庁舎の中にも入れず、玄関先の対応とは失礼だ」と怒りの表情で話しました。

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 本格的なノリの作付け作業を前にした多忙な有明海沿岸漁民が、「前面堤防工事の中止」を求めて早朝から長崎の現場に駆けつけるのは、前面堤防が完成すれば広大な諫早干潟の再生が不可能となり、「有明海が死んでしまう」ことを肌で感じているからです。

 座り込みを続ける漁民らは、「工事は(第三者委員会が求めた)開門調査の結果が出てからにするのがスジではないか」と訴えています。農水省はこれには答えず、工事を最優先させて開門調査を無意味にしようとしているのです。
二百人がデモ行進、要望書手渡す
「しんぶん赤旗」8月31日付