諌早干拓なぜ工事再開か
門調査結果も出てないのに…漁民が座り込み

 国営諌早湾干拓事業で、農水省が西工区の干陸地を囲い込む前面堤防工事に着手しようとしていることで、福岡、熊本、佐賀、長崎四県の漁民約二百人は二十九日、長崎県諌早市や森山町にある中央干拓地に通じる三カ所のゲート前に座り込み、工事車両や資材搬入を阻止する監視活動を開始しました。
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工事車両や資材搬入を阻止するためゲート前に座り込む有明漁民と激励する環有明海連絡協の人たち=29日、諌早市小野島町

 諌早市小野島の中央ゲート前には、朝七時前から福岡県有明海漁連の横幕を掲げた約数十人の漁民が「宝の海をまもれ」の鉢巻きをしめて座り込みました。

 十一時すぎには環有明海住民運動連絡協議会に参加する諌早湾の干潟を守る長崎県共同センターと同諌早地区共同センターの代表二十人が、冷たいお茶などを差し入れて激励、ともに座り込みました。

 ノリ漁業を営む福岡・大牟田の徳永正人さん(37)は、「工事が着工されれば、コンクリートを含む悪水が調整池から流れ出て影響がでるのは明らか。開門調査の結果も出ていないのになぜ工事するのか、我々には生活がかかっている」と、厳しい表情で語りました。前面堤防は、かつて諌早干潟を形成していた場所にあたる西工区を堤防で囲むというもの。完成すれば干潟再生はおろか、第三者委員会が提言している中・長期の開門調査さえ不可能となります。

 農水省は八月一日にも着工したいとしています。

「しんぶん赤旗」7月30日