諌早湾干拓受註企業へ長崎県から14人が天下り
  小沢議員が県知事に会見に反論
 長崎県の金子原二郎知事が同県から諫早湾干拓事業受注企業への天下りが「一人だけ」と記者会見した(二十四日)問題で、日本共産党の小沢和秋議員は二十六日、同県から受注企業への天下りが分かっただけでも十四人にのぼるとする見解をを示して反論しました。長崎県庁で中田晋介県議が発表しました。
 小沢議員は二十三日の衆院決算行政監視委員会で長崎県から親和テクノと社団法人・長崎県食品衛生協会への天下りが九人とする資料を公表していました。この日の反論は、親和テクノへの天下りを三人から一人へと訂正するとともに、あらためて実態を明らかにしたものです。
 一九九六年時点での受注企業にたいして、五洋建設、技術開発コンサルタント、太陽コンサルタンツ、日化エンジニアリング、ニチボー、開成工業、ミゾタの七社に各一人ずつ天下っています。親和テクノ(一人)、同協会(六人)と合わせて十四人。
 小沢議員は「知事の発言は多くの天下りの実態を覆い隠そうとするもの」だと批判、このさい、現時点の県職員の天下りの実態を全面的に明らかにするよう要求しました。
 また、金子知事が長崎県食品衛生協会が受注企業ではないとしたことにたいし、同協会が一九九一年度から二〇〇一年度までに環境モニタリング関連事業三十三件、約六億一千六百万円の業務を受注しているとし、「受注者であることは動かしようがない事実。知事の指摘はまったく的外れ」だと指摘しました。
 解説・政官業癒着と談合の疑い
 小沢議員が「天下り」を問題にしたのは、それが受注企業の自民党や長崎県知事への政治献金とあわせて政・官・業の癒着構造をつくっているからです。
 しかも、諫早湾干拓事業をめぐっては、二十三日の国会質問でも追及したように、談合の疑いがあるのです。
 たとえば、長崎県食品衛生協会の契約状況を調べると、すべて随意契約。しかも委託限度額(予定価格)と同額で契約‖落札率100%の業務が三十三件中十六件もあり、最低でも九六%という高率で、「異常としかいいようがない」(小沢議員)実態です。
 干拓関連事業全体をみると、落札率は平均で実に99.3%で、96%以上が八割にも及んでいます。
 小沢議員の調べで農水省・長崎県からの天下りは二百人近くにのぼりますが、「発注者の情報が筒抜けになっているのではないか」(小沢議員)という疑念がうかびます。
 さらに長崎県食品衛生協会についていえば、環境調査をして干拓事業は「問題なし」とする結論を出していますが、「干拓事業の推進役である長崎県の強い息がかかった法人が客観的な立場で検査を行えたのか疑わしい」(小沢議員)といわざるをえません。
「しんぶん赤旗」7月29日付