町民の声を無視して、「住民投票条例」を与党が否決
 長崎県香焼町の住民が、1247人の署名を添えてその制定を求めている、「香焼町が長崎市に編入合併することの可否を住民投票に付するための条例」案(以下、住民投票条例)についての審議が、26日の臨時町議会で行われました。町民の関心は高く、傍聴席は50人以上の町民で満席となりました。
 住民からの請求を受けてこの条例案を提案した徳永重富町長は、情報を提供してこなかった自らの責任を棚上げにして、「判断材料が少なく、町民の間で充分な論議がされいない」などとして、「本条例については制定の必要はない」とする意見書を提出しました。
 これに対して3人の日本共産党議員団は、徳永町長が「合併しない」と公約して当選し、その後も「合併については住民の意見を基本に態度を決める」という態度を投げ捨て、ひたすら合併にひた走る姿勢をきびしく批判。「少なくとも町民の意見を聞く姿勢は持つべき」と質しました。
 条例案の討論で自民、公明などの与党は、「国も地方も大きな借金があり、このままではやっていけない。合併は時代の流れ」など、国の合併押しつけに従う姿勢を露骨に示し、「住民投票条例は必要ない」と主張しました。
 日本共産党議員団は、「香焼町の財政力は県内でも有数であり、町として十分やっていける」(岩橋宏議員)、「住民投票条例請求で多くの町民が署名した。町民は合併の可否について充分判断できる力をもっている」(丸山議員)、「署名に寄せられち多くの町民の願いを、議会としてどう受けとめているかが問われている。今こそ議会の良識を示すとき」(津村議員)と、賛成の立場から積極的に討論しました。
 採決では日本共産党の3人と無所属議員1人が賛成しましたが、住民投票条例案は4対10で否決されました。
 条例請求の署名運動に奮闘した「香焼町の合併を考える会」の菅政和会長は、採決後マスコミに囲まれ、「町民の願いを聞き入れようとしない町長と議会に強い憤りを覚える。この実態をただちに町民に知らせ、これからも香焼町のために奮闘する」と、見解を表明しました。
  また、日本共産党町議団の津村団長も傍聴にかけつけた町民を前に、「残念な結果になったが、これからもみなさんとともに香焼を守るためにがんばりたい」と、決意を述べました。