2002年6月8日(土)「しんぶん赤旗」

三菱じん肺責任認める

長崎造船訴訟和解

補償、謝罪、予防を約束


 三菱重工業長崎造船所(長崎市)の従業員や遺族ら百十七人(患者七十七人、うち十一人は現役、遺族四十人)が、じん肺になったのは同社が対策を怠ったためとして「謝罪と補償、根絶対策」を求めた三菱長崎造船じん肺訴訟は七日、長崎地裁(川久保政徳裁判長)で和解が成立しました。

 和解内容は、被告三菱重工が時効差別をせず「総額十二億八千万円の和解金」を支払い、「患者・遺族への弔意と見舞い」と「今後、患者発生を防ぐために鋭意努力」することを約束しています。造船労働者が集団で訴訟を起こし、企業側が発生責任を全面的に認めた和解は初めて。

 原告団と弁護団は、「(三つの解決内容は)大きな勝利。全国の造船所で働く労働者全体に影響をもつものであり、未提訴患者・遺族に対しても大きな励ましとなるもの」との声明を発表。三菱重工が約束した「防止・根絶対策」を実現してじん肺を根絶するため、現役労働者が対策の実行を求めてたたかいを発展させることへの期待を表明しました。

 同訴訟は提訴から三年五カ月、提訴後だけでも五人の原告患者が死亡。原告団は被告が加害責任を認め、和解による早期全面解決を図るよう求めてきました。