長崎大学
 原発企業の寄付講座懸念  
 学長名で東京電力に要請
 被爆地長崎にある長崎大学(池田高良学長)で、原発推進企業の寄付による講座設置の動きに学内外で懸念が広がっています。
 4月に開設された同大学の大学院医歯薬学総合研究所に、東京電力(本社 東京都)り寄付講座を設置し、低レベル放射能が人体に与える影響を研究しようというもの。
 池田学長名で寄付講座を東電に要請する形になっており、、1月7日付の要請書には「原子力の安全利用に関する教育・研究の充実を図ること」と目的を強調しています。
 学内関係者からは、「被爆者の協力で医療・研究を進めてきた大学の伝統にそぐわない」との声が出され、被爆者の間からも「なぜ原発推進企業の寄付なのか」と批判が相次いでいます。
 同大学教職員組合(上江田一雄委員長)と同大学ユニオン(生野生剛委員長)は5月29日、連名で学長と総合研究科長あてに、正式決定を前に申しいれました。
 申し入れ書は、基礎研究の必要性を認めたうえで、東京電力が国内最大の原発施設をもち、潜在的核武装につながる危険が指摘されているプルサーマル計画の先頭に立つ企業であることを重視。講座受け入れが原発推進派にとって「絶好の宣伝の効果になる」と強い懸念を表明しています。
 また、手続き上も、大学全体の見識に関わる問題を「学長の一存で決定し、研究科教授会に追認を求めるあり方」に疑問を呈しています。

 長崎原爆被災者協議会の山田拓民事務局長の話し
 長崎大学の医学部は、被爆直後の10月に国が救護所を閉鎖したあとも、献身的に被爆者医療にとりくみ、研究分野でも蓄積を積み、国際的に認められている。原発推進企業の資金で研究しようということ自体理解できない。ことの経過と計画・内容は市民にも公開されるべきもので、軽々に扱うべきものでない。
「しんぶん赤旗」6月5日づけ