SSK(佐世保重工業)による国の中高年労働移動特別助成金(出向助成金)不正受給問題で、日本共産党の小沢和秋衆議院議員(代理)は二九日、厚生労働省がまとめた「カラ出向の確証がえられなかった」とする調査結果について、同省から報告をもとめ、内容についてただしました。

その結果、「事業所も労働者も『カラ出向』とみとめたところもある」(同省)と「カラ出向」と認めざるをえない内容があることが判明するなど、次々と問題点が浮き彫りになりました。

三月十二日にSSKが公表し、同省も認めた、「カラ出向」二十一人分、約四五〇〇万円の助成金について、いまだに返還請求をしていないことも明るみになりました。同省は、先月一七日の厚生労働委員会で小沢議員の質問に、「一月のうちに調査結果をまとめる」と答弁していました。

「SSKによる下請け業者・労働者いじめをなくし、助成金不正疑惑をただす会」の山下千秋代表世話人、松尾豊子事務局長が同席しました。

同省産業雇用構造調整室の国分一行室長補佐らは、「出向者」七六五人からの聞き取り調査の結果、「不正の疑いはあったが確証をえるまでにはいかなかった」とした上で、「あとは警察の捜査をふまえて対応する」などと説明。「カラ出向」があったと回答した事業所数や人数などの具体的な内容も、「明らかにすれば特定できる」として明らかにしませんでした。

 山下氏らは「国の税金の使途に関わる問題。調査結果を公表すべきではないか」と批判。「昼間の留守宅に電話があっただけで調査されていない人もいる」「出向者リストの中には、大阪や福岡の人もおり出向があったとは言えないのではないか」などと指摘し、「不正の疑いが認められるのであれば、再調査すべきだ」と迫りました。

 担当者は、まともに回答することができず、再調査については「まったくやらないわけではない」と述べざるをえませんでした。 

●SSKの「カラ教育」「カラ出向」による助成金不正受給問題

 SSKが「カラ教育」と「カラ出向」で国の助成金を不正受給していたもの。今年二月に元SSK下請けの前田工業が、SSKからの「出向者」は実態がなかったとして、五十名分の給与に関する約束手形の返還などを求めて提訴(第一回公判は六月三日)したことから明るみに。

「カラ教育」は、教育訓練を仮装。生涯能力開発給付金約3億7700万円全額を不正受給したことを認め返還。「カラ出向」は、SSK労働者を下請け業者へ出向したように装い、中高年労働移動支援特別助成金を下請け業者から吸い上げていました。複数の下請け業者が「名簿だけ」の「カラ出向」だったとしています。

SSK不正問題で、ズサンな国の調査結果が明るみに
日本共産党九州・沖縄ブロック事務所 提供