2002年4月8日(月)「しんぶん赤旗」

諫早干拓 継続なら430億円損失

農水省の計算で分かる


 長崎県の国営諌早湾干拓事業の規模縮小に伴い今後事業を続ければ、税金の投資に見合うだけの効果が得られず、農水省の算定では約四百三十億円の損失になることが七日までに明らかになりました。環境破壊に加えて無駄遣いが鮮明になったわけで事業の継続が厳しく問われる事態になりました。

 これまで農水省は干拓事業が投資額に対してどれだけ元がとれるかを示す「費用対効果」が、土地改良法で必要な「一・〇」を超えており、問題ないとしてきました。しかし昨年、干拓農地半減の事業縮小案を発表したことから、費用対効果を改めて算定し直す必要がありました。算定の結果、費用対効果は「〇・八三」に低下しました。

 農地が半減すれば、農水省が算定にあげている作物生産効果と国土造成効果も半減することになるからです。愛知大学経済学部の宮入興一教授は、農水省の計算方式でも費用対効果が「〇・八二」になると指摘していました。農水省が長崎県に示した算定資料によると、干拓事業の事業総額は二千五百五十四億円。そのうち、投資しただけの効果が見込める金額は二千百二十五億円です。差額の四百二十九億円は効果が見込めない、事実上の無駄金となる勘定です。これにもとづく費用対効果は「〇・八三」。仮に百円の税金を投資しても八十三円の効果しかないことを示しています。

 土地改良法では干拓事業の費用対効果が「一・〇」以上であることが求められているものの、農水省は「事業途中の計画変更では法的な問題は生じない」との立場で事業を継続していく方針です。