すべての子ども・生徒を大事にする教育を
高教組が県教委の「高校改革計画」の撤回求める声明  
           民主ながさき 3月1日号より
 長崎県高等学校教職員組合(西本一朗委員長)は二月二十日、県教育委員会が公表(十九日)した、総合選抜制度の廃止などを柱とする「県立高校教育改革第一次実施計画」は、受験競争の勝ち組のための制度であるとして、撤回を求める「声明」を発表しました。
 声明は、総合選抜制度の廃止と通学区域の拡大が実施されると、「今より広い通学区の中にある多くの高校の数だけ序列が明確になる」と指摘。「『受験する自由』は増えても『合格する自由』は今よりも少なくなる。多くの生徒は不必要な劣等意識をもって高校に不本意入学することになる」「遠距離通学が増えることにより学校と地域との連携は断ち切られ、地域の高校としての存在意義は弱まる。今後予定されている高校統廃合の地ならしとなるもの」としています。
 併設型中高一貫教育校の選択的導入(一部の学校への導入)は、「(長崎県立高等学校改革基本方針が)『交通の便利性が良く地元の信頼も厚い地域の中心校』と表現しているとおり、「『エリート校』としての位置づけです」としたうえで、「小学校卒業後の進路が中学校進学と中高一貫校進学の二つに複線化することになり、十二歳の段階での受験競争が激化することになる」としています。
 さらに、計画どおりに、高校の多様化(新しいタイプの学校)と序列化がすすめられると、「今以上に志願者が集まる学校とそうでない学校がつくり出され、今後予定されている高校統廃合を加速させることになる」「県教委は統廃合を推進する理由の一つに生徒数の減少をあげていますが、そうであれば統廃合ではなく、三十人学級の好機と、とらえるべきです」「そうすると、子どもたちの教育条件を改善し、地域の高校を残すことができるのです」と、のべています。


 県教委が十九日公表した、「県立高等学校教育改革第一次実施計画」は、@総合選抜制度の廃止A全日制普通科の通学区域拡大B中高校一貫教育校の設置−−などが骨子です。
 実施計画は、「主体的な学校選択を促す」として、現在、長崎五高校、佐世保三高校、諫早・西陵高校の十校で実施されている、総合選抜制度を二〇〇三年度入学から廃止するとしています。
 全日制普通科の通学区域三十二を、県南、県央、島原、県北、五島、壱岐、対馬の七学区に拡大・再編する。
 また、〇四年度からは、「地元の信頼も厚い地域の中心校」(県立高等学校改革基本方針)と、いわゆるエリート校に位置づけた中高一貫教育校を、「長崎東、佐世保北の両校に導入する」ことも打ち出しています。