造船準大手、佐世保重工業(SSK、本社東京)・佐世保造船所(長崎県佐世保市)が教育訓練や出向を偽装し、国の助成金を不正取得した問題で長崎県警は二十日、同造船所や姫野有文社長の自宅、下請け業者事務所など十数カ所を詐欺容疑で強制捜索しました。

 SSKはすでに、実態のない訓練の全てと、出向による不正受給の一部を認めており、今後、金の流れや指示ルートの解明がすすめられるとみられます。

 SSKは「カラ出向」について、九九年六月から一年間、下請け十九社に約八百七十人を出向させ、「中高年労働移動支援特別助成金」約十七億円が支給されたが、その内二十一人分については「出向の実態がなかった」と不正受給を認めています。しかし、三十九人の出向者を受け入れた元下請け業者は、「出向は名簿だけの仮装」と二月末に提訴。「カラ訓練」と同じように、「カラ出向」も組織的・大規模に行なわれたと公表しています。

 「SSKによる下請け業者・労働者いじめをなくし補助金違法取得疑惑をただす会」の山下千秋代表は、「私たちの提起した事実を裏付ける捜査は当然のこと。不正受給が長期にまかり通っていたことは異常であり、『カラ出向』で下請け業者がどれほど悩み苦しんできたかも明らかにしてもらいたい」と語りました。
SSK公金不正受給
県警がSSKなどを強制捜索
2002年3月21日 「しんぶん赤旗」より