有明海異変の「主犯は諌早湾干拓」
 世界湖沼会議で長大の東教授が指摘
 「〃有明梅異変″の主犯は、諌早湾干拓事業」。昨年末から有明海の漁民に大きな打撃を与えたノリ不作問題が、十二日から滋賀県大津市で開かれている第九回世界湖沼会議(土催・磁賀県、国際湖沼環境委員会)で問題提起されました。
 有明海問題を取り上げにのは長崎大学の東幹夫教授。十三日におこなわれた同会議の分科会「水辺の生態系と暮らし」のなかで、有明海異変の元凶が「ムダな公共事業の典型例」(東教授)と批判を浴びる諌早湾干拓事業にあることを、九七年から続けてた湾内の定点観測調査の結果をもとに解明しました。
 東教授は「異変はノリの不作に姶まったのではなく、疎早湾を潮受け堤防で閉めきった九七年から起きている」と指摘。堤防の建設で、諌早湾の泥干渇(有明海干潟の14l)を失った調整池は富栄養化がすすみ、堤防建設後わずか4ヶ月で底生動物が全滅し、シギ・チドリ類の渡り鳥も姿を消したといいます。
 また有明海の底生動物の平均生息密度も、九七年六月を百とすると、二〇〇〇年十一月が十一・四%と激減。干拓工事が始まってから、タイラギなどの漁獲量が減るのと反比例して赤潮発生の件数が増加しているグラフを示しました。
 東教授は「干潟の減少による浄化機能の喪失と、潮受け堤防で我が国最大の潮汐が減少した」と指摘し、「宝の海を取りもどすためには、干拓事業を中止し、元の海水を導入して、有明海を健全な生態系として管理することが課題です」と訴えました。
          「しんぶん赤旗」2001年11月15日より