2001年11月10日(土)「しんぶん赤旗」

自衛艦 戦闘地域へ出動
戦後初の派兵 3隻がインド洋に


 報復戦争参加法(テロ対策特別措置法)に基づく米軍支援に先立ち、海上自衛隊の艦船三隻が九日朝、長崎県の佐世保港を相次いで出港、米軍の戦闘行動が続くインド洋に向かいました。報復戦争が泥沼化するなかで、戦後初の戦闘地域への自衛隊派兵の先陣を切るものです。憲法やぶりの派兵の強行に、現地では市民が「報復戦争への参加やめよ」「憲法守れ」と抗議行動をくりひろげました。


写真
午前7時、基地の桟橋を離れる護衛艦「きりさめ」などの自衛隊艦船=9日、長崎県佐世保港

 今回の出動は、米軍支援の「基本計画」を策定する前の先遣隊で、海域状況調査など「情報収集」を名目としていますが、米軍の報復戦争に日本の自衛隊が参加する具体的支援の第一陣で、約七百人の自衛隊員が乗り込んでいます。

 早朝四時過ぎから慌ただしい動きに包まれた同港では、午前七時ちょうどに最新鋭護衛艦「きりさめ」が立神桟橋を離れ、十数分間隔で第二護衛隊群旗艦「くらま」、補給艦「はまな」がこれに続き、巡視艇や県警の警備船が付き添い、港口に向かいました。

 「基本計画」に基づく本隊の出動は今月下旬といわれ、「行った先で何をするのか知らされていない」(自衛隊員の家族)ままの危険な出動に市民の不安が広がっています。


"憲法侵す派兵やめよ"

写真
自衛隊艦船の出港に、こぶしをあげて抗議する人たち=9日、長崎県佐世保市

佐世保で緊急抗議集会

 長崎県佐世保市の原水爆禁止協議会と平和委員会は、港に面した前畑岸壁で「緊急抗議集会」。佐世保原水協の山下千秋理事長は、「今回の出動は報復戦争への参加を目的とした、憲法九条を踏みにじる歴史的暴挙だ」と糾弾。日本共産党の中田晋介県議は、自衛隊出動に怒りの世論を広げようと訴えました。

 参加者は、出動する「きりさめ」など三艦船に「報復戦争参加反対」「海外派兵やめよ」などと抗議の唱和を繰り返しました。日本民主青年同盟の真崎差与子さんは、「出動を目の当たりにして大きな怒りを感じた。自衛隊派兵反対の運動をますます強めていきたい」と話していました。