2001年8月18日(土)「しんぶん赤旗」より

日本が米原潜の前進基地に

えひめ丸事件くり返される危険


 日本に米攻撃型原潜が頻繁に寄港するのは、横須賀、佐世保、ホワイトビーチの各基地が、米原潜の太平洋から中東までの広範な作戦展開、補給・休養のための一大前進拠点になっているからです。

 ハワイ州パール・ハーバーにある米太平洋艦隊潜水艦司令部によると、今年の日本への寄港は、同艦隊所属の原潜による西太平洋へのローテーション展開(WESTPAC)や、東南アジア六カ国との合同軍事演習(CARAT)参加などの際におこなわれています。

 えひめ丸事件では、米原潜グリーンビルが、民間人十六人を乗せ、デモンストレーション航行を実施。衝突前、民間人二人が緊急浮上用レバーと操舵(そうだ)かんを握っていました。

 日本共産党の小泉親司参院議員の今年二月の現地調査で、米太平洋艦隊司令部広報部は「二〇〇〇年に日本に寄港した攻撃型原潜に乗船した日本人は六十人で、(一回に乗船する)グループの規模は平均十五人だった」と答え、日本近海でも、昨年、四回のデモンストレーション航行がおこなわれたことが明らかになっています。

 二〇〇〇年の寄港記録をみると、横須賀を午前中に出港し、同日の夕刻に入港するという航行パターンが四回あり、そのことを裏づけています。

 今年は、えひめ丸事件を受けて米軍が“自粛”したこともあり、これまでのところ、デモ航行をおこなった形跡はみられません。

 しかし、相模湾には米原潜が、実弾を除き、模擬魚雷の発射を含むあらゆる訓練を認められた演習海域もあります。米原潜が頻繁に出入りする日本周辺海域は、えひめ丸のような事件が起こる危険とたえず背中合わせです。

2001年の米軍原子力潜水艦の日本寄港状況(8月17日現在)
  艦 名 寄港先 入港―出港日 滞在時間
トピーカ 横須賀 1月23日―1月23日 29分
ルイビル ホワイトビーチ 1月25日―1月25日 34分
ホノルル ホワイトビーチ 1月26日―1月26日 30分
ルイビル ホワイトビーチ 2月4日―2月6日 47時間32分
トピーカ 佐世保 2月10日―2月10日 23分
トピーカ 横須賀 2月12日―2月16日 95時間57分
ホノルル ホワイトビーチ 2月19日―2月19日 36分
ルイビル 佐世保 3月22日―3月26日 91時間50分
シカゴ 横須賀 3月23日―3月31日 195時間29分
10 シカゴ 佐世保 4月2日―4月2日 19分
11 サンタフェ 佐世保 4月2日―4月6日 97時間
12 ロサンゼルス ホワイトビーチ 4月5日―4月10日 121時間43分
13 シカゴ 横須賀 4月16日―4月19日 70時間33分
14 ルイビル 横須賀 4月19日―4月30日 263時間51分
15 サンタフェ 横須賀 4月23日―5月1日 196時間54分
16 ロサンゼルス ホワイトビーチ 4月30日―5月7日 163時間10分
17 サンタフェ 佐世保 5月4日―5月4日 5分
18 シカゴ 佐世保 5月10日―5月11日 29時間37分
19 ロサンゼルス 佐世保 5月11日―5月11日 18分
20 ロサンゼルス 佐世保 5月25日―5月29日 93時間31分
21 シカゴ 佐世保 6月13日―6月13日 30分
22 シカゴ 佐世保 6月16日―6月16日 15分
23 シカゴ ホワイトビーチ 7月16日―7月17日 29時間35分
24 コロンビア 佐世保 7月19日―7月19日 20分
25 ロサンゼルス 横須賀 7月20日―7月24日 95時間36分
26 バファロー ホワイトビーチ 7月23日―7月24日 25時間11分
27 コロンビア 佐世保 7月23日―7月23日 17分
28 ヒューストン ホワイトビーチ 7月28日―7月28日 32分
29 バファロー ホワイトビーチ 8月1日―8月1日 16分
30 バファロー 横須賀 8月4日―8月13日 211時間51分
31 オリンピア ホワイトビーチ 8月13日―     滞在中