長崎市長選挙にあたって7つの重点政策
                        日本共産党長崎市議団長 山本誠一
 

 憲法改悪を許さず、税金のむだづかいをなくし、暮らし・福祉・中小 企業・農漁業を応援する長崎市政に転換します。

1.不正経理問題で、法令違反の支出は返還させます。
  伊藤市長が調査を依頼した税理士や弁護士などによる外部調査委員会も指摘したように、不正経理は、私的流用の有無にかかわらず、法令違反の支出は、「全額を損害賠償額」とし、被害額を返還することにあります。市民もそのことを強く求めています。
 市民のねがいも外部調査委員会の指摘も無視することは、もはや市民の立場に立った市政とはいえません。引き続き不正経理問題を徹底解明し、被害額は返還する、それこそ真の再発防止策であり、市民の信頼を回復する唯一の解決策であることを訴えていきたいと思います。

2.長崎市政を国の悪政から市民生活を守る防波堤にします。   
 「大企業には減税、庶民には大増税」という政府の逆立ちした税制改革によって、2007年度においても65才以上の非課税措置の廃止、定率減税の廃止によって、約18万人の市民に総額7億7千万円の負担増がもたらされます。さらに国民健康保険税の大幅値上げが市民生活を直撃しようとしています。

 伊藤市長は、3月議会に1世帯あたり19000千円以上の国民健康保険税の値上げを提案し、自民党や民主党、公明党などの賛成多数で可決されました。
 今市民生活は、耐え難い状態に追い込まれようとしています。
▼高すぎる国保税引き下げや、中核市で二番目に高い介護保険料の負担軽減、さらに介護保険法改悪によって、介護ベッド貸与が1000人から70人に激減し、車イスも250人から200人にへり、自己負担が増大しています。こうした福祉用具の自己負担を軽減します。
▼茂里町ハートセンターの利用者が年間1万人も減っていますので、市内の東西南北にマイクロバスを配車・運行し、ハートセンターが初期の目的を果たせるようにします。
▼老人交通費助成の81才以上の高齢者にただちに実施し、つづいて九州県庁所在都市で実施されているように高齢者などの無料バスを運行します。
▼保育所の定員超過の「詰め込み保育」や、待機児の解消を図るために保育所を増やします。
▼長崎県民は、ガンによる死亡率が全国第8位という深刻な状況の下で、伊藤市長が計画している保健所の健診事業の廃止は許されません。
 合併町の野母崎や香焼の教訓を生かし、がん検診などは無料化し、保健所の検診体制を拡充し、市民の健康をまもります。

3.一人ひとりの子どもを大切にする教育、子育てを応援する施策を強めます。
 「勉強のことで悩んでいる小学生が43・2%、中学生が66・2%」(長崎県青少年対策緊急会議のアンケート)―深刻な実態が浮き彫りになっています。
 長崎市議会での「子ども議会」で、6年生の女子生徒は「少人数学級になって、学校が楽しくなった」と発言し、市長や教育長に「すべての学校で少人数学級を早く実施してください」と求めました。こうした子どもの声や、保護者の運動が反映して、昨年4月から小中学校のモデル学校で実施されている少人数学級を全校で実施します。
 伊藤市長は、3月議会での施政方針で、「4月24日に実施される全国学力・学習状況調査に参加」することを表明しました。
 しかし、「全国いっせいテスト」への参加を押しつけ、点数を公表による学校ランキングは、教育をゆがめるものとの強い批判が出ています。「全国いっせいテスト」への参加は再検討します。
 過度の競争とふるいわけ、管理教育を改め、すべての子どもに基礎的学力を保障することこそ、いま求められていることではないでしょうか。        

4.長崎新幹線や、本明川ダム建設よりも、生活密着型の公共事業に転換し、小企業や、農漁業振興、若者の雇用の場を増やします。
 長崎新幹線は「不要50.8%」―長崎新聞の世論調査(06年1月)でも市民の大半は新幹線は不要といっています。
 本明川水系流域委員会は、ダム建設を含めた河川整備計画についての提言書で「利水については、将来の水需要計画を適正に見直し、利水計画が変更された場合は、ダム計画も柔軟に対応すること」を求めています。長崎市の使用水量は、下水道の普及率が上がっても過去30年間殆ど変化はなく、莫大な資本を投入して「本明川ダム」を建設する根拠はありません。

▼新幹線や、本明川ダムなど大型事業は中止し、市営住宅や保育所、特別養護老人ホームの建設、通学路の安全整備など生活密着型の公共事業に転換すれば、市民にも歓迎され、中小企業の仕事も確保され、地域経済も元気になります。
▼長崎市内の若者の定住人口が十年間に三万三千人減少しています。とくに十五才から二十九才までの流出が高くなっています。そのためにも、地域経済の振興と雇用の支援、農林漁業の建て直しに力を入れます。
▼最低賃金を抜本的に引き上げ、非正規労働者の劣悪な労働条件を改善することを求めます。
▼大企業に新卒者の雇用促進を求め、市独自の雇用対策を拡充し、嘱託職員や臨時職員の労働条件を抜本的に改善します。
▼長崎市が誘致した企業には、雇用実態の報告を義務づけ、雇用のルールを守らせます。青年雇用の増加を図り、ルールと権利の啓発につとめます。
▼住宅リフォームや耐震診断・補強工事への助成制度を新設・拡充します。
▼台風十三号の塩害被害で壊滅的打撃を受けた茂木びわ等の被災農家が営農を継続できるよう支援を強めます。
▼長崎の観光と水産を結合した「魚センター」の建設を促進します。農水産物直売所の支援を強め、地産地消を促進します。          

5.7.23長崎大水害から25年―市民が安心して暮らせるまちづくりをすすめます。
 257人の犠牲者を出した7.23長崎大水害から25年目を迎えます。しかし、急傾斜地崩壊危険箇所1,030カ所のうち整備されたのは、240カ所(整備率23.3%)に過ぎません。国・県に防災予算の増額を求め、危険箇所整備を促進させます。市単独の危険箇所工事費の地元負担(5%)を解消します。

▼国政による地方政治、地域社会の破壊が深刻化しています。合併から二年が経過しました。合併7地区では7、744人の人口減少(減少率3.57%)で、旧長崎市内の1.85%を大きく上回っています。
 長崎市は旧町の行政センターを統括してきた「地域行政部」を廃止し、同時に「まちづくり部」も廃止しました。合併旧町の地域振興を図るため「合併協定」(長崎市の基準に統一)を見直し、旧町のすぐれた施策を復活させます。「地域審議会」解散後(2007年5月1日)住民と共同による地域振興を図るため「住民自治組織」を確立します。
▼高齢者から子どもまで安全に安心して暮らせるまちをめざして、住民を主体としたまちづくりをすすめる体制をつくります。
▼高齢者の通院や、子どもの通学の安全をまもるため、バス路線のない地域への「乗り合いタクシー」の乗り入れを促進します。
▼台風13号で崩壊した茂木地区の野母宿線や、千々町、田中町の護岸の抜本的な安全対策をすすめます。
▼住民の合意が得られていない東長崎地区の区画整理事業は、見直します。
▼香焼の住民が切実に願っている「落矢ダム・田浦浄水場」の存続します。
▼旧三和町の石綿鉱山従業者にアスベスト新法適用を求めます。
▼観光都市長崎にふさわしく公衆トイレの増設します。

6.市民の命の水がめ「神浦ダム」上流の三方山産廃処分場の不法投棄を完全撤去させ、安全・安心の水道水を確保します。
 2005年1月、長崎市が実施した市民意識調査の「長崎市の水道水は安全で安心して飲める水」という設問に「そう思う」と「どちらかというとそう思う」と答えた市民は合わせて55%しかありません。
 長崎市は、安全で安心して飲める水であると感じる市民の割合を、5年後(2010年度)には65%を目標にしています。目標達成には、長崎市民が使用している水道水の四割以上を送水している「神浦ダム」の水源保全は最優先の課題です。

 市民有志の「三方山水源訴訟」で、長崎地方裁判所の裁判官立ち会いで三方山産廃処分場の現場検証が2003年9月5日、05年11月8日の2回にわたっておこなわれました。その結果、大量の下水汚泥などの埋め立てが確認されました。
 長崎市は、業者に改善計画書の提出を求め、その計画に基づいて現在までに約1600トンの下水汚泥が掘削されました。しかし、これは不法投棄された下水汚泥の一部にすぎません。
 神浦ダムの赤潮発生防止対策を…神浦ダムには毎年、淡水赤潮が発生します。神浦ダムの淡水赤潮は、渦鞭毛藻類プランクトンであるペリディニウムの繁殖による現象であることが判明しています。水道局は、神浦ダム上流の赤潮発生箇所にフェンスを設置し、ダムへの赤潮の流出を防止する対策をすすめていますが、元を断たなければ何の解決策にもなりません。

▼市民の命の水がめである「神浦ダム」の水質を保全するためにダムの上流にある三方山産廃処分場の不法投棄の完全撤去と原状回復させます。
▼三方山産廃処分場周辺の住民の飲料水確保を…三方山の地元住民の飲料用井戸水の水質検査では、硝酸性窒素が年々高くなっています。硝酸性窒素は人体にとって有害です。長崎市の責任で上水道を敷設します。
▼三重地区の産廃処理施設の隣接地の地下には、神浦ダムから手熊浄水場に送水している導水トンネルがあります。飲料水への悪影響が危惧されます。三重地区住民の反対を押し切って、産廃施設の設置を許可したのは、長崎市です。三重地区の産廃処理施設を移設します。        
▼長崎市民が使用するすべての水源の安全をまもるために「水道水源保護条例」を制定します。

7.被爆都市として、憲法改悪を許さず、被爆者援護、核兵器廃絶のために全力をつくします。                        
 憲法改定をめぐる国会状況が緊迫しています。安倍首相は任期中に憲法改訂を強行するために、改憲手続き法案を今国会中に通すと号令をかけています。
 憲法九条改悪をいつでもできるようにするために、そのための手続き法を早く成立させたいというものです。再び戦争をしないと世界に誓った憲法9条の改定は絶対に許してはいけません。           被爆都市として、憲法9条改悪は、絶対に許さないという市民の世論を高めるため、市長が9条守る先頭に立ちます。

▼武力攻撃事態法にもとづく「長崎市国民保護計画」の策定を中止します。
▼長崎港の非核化で、米艦船の入港をストップします。
▼国家補償を明記した被爆者援護法の制定を求めます。
▼「被爆体験の記憶がない」との理由で、除外されたすべての被爆体験者に医療受給者証を交付し、爆心地から半径12キロ内で被爆者すべての住民に被爆者健康手帳の交付を国に求めます。
▼被爆二世・三世の健康診断事業を拡充し、ガンなど特定疾患に罹患した場合は、東京都や神奈川県で実施されているように医療費支給制度の創設を国・県に求めます。