長崎県知事選挙への立候補表明にあたって

2005年11月18日

民主長崎県政をつくる会代表世話人 高村 暎

 

10月初旬より、民主長崎県政をつくる会より、次期長崎県知事選挙に4年前に引き続き立候補するようにとの再三の要請を受けました。過日、民主県政をつくる会代表世話人会においてこれらの要請を受けることを表明しました。  

一、 4年前、私は小泉自公政権によって強行される構造改革によって、国民に耐え難い痛みが押し付けられようとしている時、長崎県政は県民のくらしと命を守る防波堤にならなければならない、と訴えました。ところが金子県政はこの4年間、県民福祉の向上に背を向けるばかりでした。

二、 その一方で金子県政は諫早湾干拓事業を強行しています。諫早湾干拓事業は、干拓農地を県が買収してリース方式にする方針を決めたことが示すように、その事業目的が大きく綻びたことを示しています。調整池の水質はいっそう悪化して、その改善のためだけでもこれから先、おそらく何百億、あるいはそれ以上の莫大な県民の税金が費やされることでしょう。かつて有明海の子宮と言われた諫早湾の自然と漁業は根底から破壊されつつあり、その影響は有明海全域に広がっています。

 諫早湾干拓事業をめぐる問題、紛争は何一つ解決されていないばかりか、金子県政がこの事業を見直さないかぎり、いっそう矛盾が拡大するばかりです。

 私はいま、よみがえれ!有明海訴訟の勝利を目指して佐賀地裁へ再び仮処分を提訴した漁民を支援してたたかっています。工事を凍結し、常時排水門を開放して、有明海再生のための調査を行え、と言う裁判所の命令を勝ち取ることを目指し、今年末までに結審し、来春早々には勝利の決定を獲得する決意です。

 今回の知事選挙においても、諫早湾干拓事業は最大の争点です。私はこの事業を見直して問題が正しく解決される政策を示してたたかう所存であります、

 また、金子県政は、「ながさき夢・元気づくりプラン長崎県総合計画後期5ヵ年計画」を作成して今後5年間の県政の基本方針としています。その第一は、諫早湾干拓事業とならんで、新幹線長崎ルート、本明川ダム建設などの大型公共事業推進が掲げられています。新幹線建設に関して金子知事は、佐賀県の費用負担を長崎県が肩代わりすることさえ表明しています。

 長崎県の財政難が進み、県民の福祉が切り捨てられている現在、これらの事業は不要不急と言わざるを得ません。

三、4年前私は金子県政が強行しようとしていた高校「改革」に真っ向から反対しました。それまで長崎県は、少年事件の極端に少ない県として知られ、その教育制度、中でも高校入試制度を含む高校の制度が評価されていたのです。私は知事選挙の政見放送でも、この制度を破壊するなら、早晩、学校は子どもたちにとって安息と安全の場ではなくなり、少年事件が多発し、学校が荒れるであろうと警告しました。しかし、知事選挙が終わった直後、長崎県が全国に誇る普通高校の通学区制度、総合選抜制度を破壊しました。これは教育へ底なしの競争原理をもちこみ、子どもを、学校を、教職員を競争させ、学校からゆとりを奪い、極端な多忙化、超過勤務をもたらす大きな契機となりました。さらに、私の警告は現実となって、不幸な事件が相次ぎました。中学生の息子を失った母親は、県教育長に「長崎の教育に何か大きな原因があるとしか思われない」と詰めよった、と報道されました。

 さらに、先の「ながさき夢・元気づくりプラン」では、県の業務の外部委託や指定管理者制度による県職員の削減とともに、教職員への新勤務評価制度の導入が示されています。これは勤務評定による「成績主義」賃金へ道を開くものであり、教職員の間に自らの成果を競う風潮を助長し、自由な教育活動と共同のとりくみを妨げ、競争の教育に拍車をかけることが狙われています。このような制度はきっぱりと止めるべきです。

 いま大事なことは、私たちの長年の要求が実って長崎県が来年度から部分的に踏み切る少人数学級の施策のように、一人ひとりの子どもたちを大切にする教育、競争原理ではなくすべての子どもに確かな学力を保証する教育、子ども、教職員、父母、地域の共同による学校づくりが求められています。

四、4年前と違い、今回の知事選挙では、知事たるものが憲法改悪に反対するかどうかが問われます。自民党の改憲草案は、アメリカの単独主義にもとづく戦争に参加するための全条文にわたる大改悪です。また前文では愛国心を強調、12条では「公共の福祉」の変わりに「公益および公の秩序」守ることを「国民の責務」として、人権よりも国家、国家の利益(日米同盟も)を優先するなど、近代立憲主義を否定する反動的草案です。また地方制度については、「小さな政府」のもとで国と地方が「適切な役割分担を踏まえて相互に協力しなければならない」とし、地方自治体には「有事」の際の国への協力を義務付けるなど中央集権を強める一方では、社会保障・福祉の責任を負わせるとともに、「その負担を公正に分任する義務を負う」として、住民負担を強化することを想定しています。

憲法改悪に反対することは、地方にとっては地方自治を守ることであり、それは日米同盟の強化による有事体制、戦争の危険に反対し、住民の安全、人権と暮らし福祉を守るうえで重要な使命です。

五、県政の主人公は私たち県民一人ひとりです。立場や政治的信条の違いを超えて、「無駄な公共事業を見直し、県民の暮らしと福祉を第1にする県政」を願う幅広い県民が力を合わせれば、「県民が主人公の長崎県政」へ切り替えることができると確信するものです。「民主長崎県政をつくる会」への大きなご支援をお願いします。