人口は、雇用は、自治体の借金は…
知事自身が市町村合併に不安 全国知事会議で発言していた金子知事
 知事が壱岐・石田町の町会議長を直接訪ねるなど、長崎県の「市町村合併の押しつけ」は、全国有数です。そして、広報誌などで合併をバラ色に描いています。
 しかし、金子知事自身が合併に大きな不安を持っていることが、全国知事会議(2001年9月11日)の発言ではっきりしました。自身は「合併のデメリット」を自覚し、国に不安解消を求めながら、その解消策もないまま県民には合併押しつけるでは筋が通りません。

 ◆全国都道府県知事会議での金子知事の発言
 
 合併を積極的にやろうという機運は、各町村積極的に取り組んでいるわけですが、ただ、今の支援策の中で、合併をしなかった場合と比較して、しなくても、今の交付税制度が保障されるのであるのだったら、そんな無理にやる必要はないのではないかという声が非常に多い。したがって、合併するメリットというのは確かに町村の皆さん方の受け皿が大きくなるし、財政基盤が強くなることはわかりますが、ただ、今の制度の中で合併した方がいいかしない方がいいかということを単純に比較した場合は、今の交付税制度を前提にすれば、しなくてもいいのでは、という考え方も出てきます。
 それからもう一つは、合併すると当然町村の数が減りますから、市町村の職員が大幅に減少することははっきりしています。
そういう中で、合併する地域というのは、離島を含めて、山村とかそういった地域が多いですから、今までは市町村のそういう役場が雇用の受け皿として大きな役割もあった。そうすると合併ということによって、今まで1000人の雇用があったのが仮に3分の1になったとすると、700人の雇用減につながるとして、人口減につながっていく。当然我々はそれをそれをどう穴埋めしていくかということを市町村に示していただきたい。合併はしたけれども雇用の受け皿が減る、人口が減るということでは、一体何のために合併したのかということになります。だから、相当思い切った地域振興策を、本当に雇用につながるような積極的な地域振興策を考えていかないと、ただ公共事業の面のハードの支援策だけでは私は難しいと。例えば、それはないよりあるにこしたことはないですが、従来の公共事業支援型の支援策しか受け取れません。もう少しそういったソフトの面での積極的なアイデア提供をやっていただかないとなかなか難しいのではないかと思います。
 それからもう一つ、ちょっと時間オーバーしていますが、合併した後、それぞれ各市町村には公債費といって借金が残る。いま交付税の見直しが盛んに言われておりますが、県債とか地方債については裏打ちの交付税の充当率においては6割から6割5分ぐらいはある程度国が面倒見るというかたちになっておりますが、本当に将来これを国が連動して面倒見て、ちゃんと地方の借金も返していっていただけるのかどうか。やはりこの際、地方交付税制度の見直しをやるならば、現在、各県市町村を通じて発行されている債権そのものについても今後どういうふうな中で返済計画を立てていくのか。一切国が免ずる気はあるのか。そういったことも含めて総合的にやっていただきたいと思います。