2002年1月12日(土)「しんぶん赤旗」より
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長崎県知事選応援で現地入りした日本共産党の筆坂秀世政策委員長は十一日、長崎県庁で記者会見し、「事業の目的が破たんしている諌早湾干拓に農水省や金子知事があくまで固執する背景に政官業の癒着がある」とのべ、ゼネコンなど干拓事業受注企業から金子知事の資金管理団体「明日の長崎県を創る会」への献金が一九九六年から五年間で三十三社二千二百三十七万円にのぼることを明らかにしました。
筆坂氏は、農水省が干潟と有明海の再生につながらない「見直し」で、工事再開を強行したことを批判。
「干拓事業は三つの点で完全に破たんしている」とのべ、第一に、谷津前農水相が「減反の時代に水田をつくるなんてあり得ることじゃない」（「毎日」昨年十二月七日付）と語ったように「農地造成という最大の目的が喪失している」と指摘しました。
第二に、事業推進の最後のよりどころにしている諌早湾周辺の低平地の排水対策でも、日本共産党の追及で国自身が干拓だけでは解決できないと認めたことを強調。
第三に、低平地対策をいうなら、旧堤防のかさ上げや排水ポンプの増強にこそとりくむべきだ、とのべました。
筆坂氏は、事業受注企業からの献金は、「国民、県民の税金が流れたといわれても仕方がない」と批判。農水省から受注企業への天下りが判明分だけでも三十三人もいるとし、「干拓事業とこうした癒着を知事選の争点として訴えたい」と語りました。
日本共産党の筆坂秀世政策委員長が十一日明らかにした金子原二郎・長崎県知事への諌早湾干拓事業受注企業からの献金、農水省から受注企業への天下りの実態は、ムダな大型公共事業を食い物にする農水省、金子知事、ゼネコンの癒着の構図を浮かび上がらせました。
金子知事の資金管理団体「明日の長崎県を創る会」は、一九九六年に百四十九万円、九七年に百四十四万円の献金を受け取っています。県知事選があった九八年には五百九十六万円にはねあがり、以降、九九年六百九十万円、二〇〇〇年六百五十八万円と推移しています。
同干拓事業は農水省の発注ですが、長崎県も予算を負担、金子知事が強硬な旗振り役を演じており、事実上、県発注の公共事業と同様に、「知事の政治的・道義的責任が問われる問題」（筆坂氏）です。
一方、農水省からの受注企業への天下り三十三人の中には、九州農政局諌早湾干拓事務所長経験者が潮受堤防潮止工区など数々の事業を受注した五洋建設に天下り、九九年十二月に取締役に就任するなど、不明朗な関係を形作っています。
「献金で知事とゼネコン、天下りで農水省とゼネコンが結びつく。このトライアングルが、これだけ問題になっている事業が止まらない大もと」（筆坂氏）です。
| 諌早湾干拓事業受注企業の金子知事への献金 | |
| （１９９６〜２０００年） | |
| 五洋建設 | １６８万円 |
| 大成建設 | ６０万円 |
| 清水建設 | ２４万円 |
| フジタ | ２４万円 |
| 三井建設 | ２４万円 |
| 大林組 | １２万円 |
| など | |
| ３３社 | ２２３７万円 |
| 注 ２０００年分は代表者による個人名献金 | |
筆坂氏の調査で、金子長崎県知事と強い関係にある政治団体（農政推進協議会）が、前回、一九九八年知事選の告示直前に、民主党長崎県連に二百万円の献金をしていることが分かりました。
潮受堤防工事等における主な受注企業への農水省からの天下り状況| 企 業 名 | 氏 名 | 役 職 | 農水省での最終役職 |
| 青木建設 | 中本誠一郎 | 専務取締役 | 中国四国農政局長 |
| 〃 | 城野 忠雄 | 専務取締役 | 農水大臣官房付 |
| 大林組 | 長 高連 | 常務取締役 | 北陸農政局長 |
| 〃 | 小泉 惠二 | 常務取締役 | 中国四国農政局長 |
| 鹿島建設 | 平井 公雄 | 常務取締役 | 構造改善局建設部長 |
| 〃 | 大橋 欣治 | 常務取締役 | 北陸農政局長 |
| 勝村建設 | 山下 潔 | 常務取締役 | 東北農政局建設部長 |
| 〃 | 立花 貴 | 取締役 | 九州農政局諌早湾干拓事務所長 |
| 五洋建設 | 南部 英男 | 取締役 | 中国四国農政局吉野川北岸農業水利事業所長 |
| 〃 | 田村 亮 | 取締役 | 九州農政局諌早湾干拓事務所長 |
| 清水建設 | 池本 寅夫 | 常務取締役 | 中国四国農政局長 |
| 〃 | 藤野 欣一 | 常務取締役 | 東海農政局長 |
| 〃 | 高木 悦郎 | 常務取締役 | 東海農政局建設部長 |
| 〃 | 小林 俊昭 | 常務取締役 | 東北農政局会津農業水利事務所長 |
| 世紀東急工業 | 柴原 壽一 | 常務取締役 | 関東農政局次長 |
| 大成建設 | 柴田巳千夫 | 常務取締役 | 中国四国農政局長 |
| 東亜建設工業 | 斉藤 昭雄 | 取締役 | 水産庁防災海岸課長 |
| 東洋建設 | 小林 濶 | 取締役 | 水産庁計画課計画官 |
| 〃 | 駒村 三義 | 取締役 | 東北農政局会津農業水利事務所長 |
| 〃 | 豊島 弘三 | 取締役 | 東北農政局山王海鹿妻農業水利事業所長 |
| 日産建設 | 小嶋 藤太 | 取締役 | 関東農政局静清庵農業水利事業所長 |
| 〃 | 小川 武士 | 取締役 | 東海農政局豊川総合用水農業水利事業所長 |
| 間組 | 前田 修 | 専務取締役 | 九州農政局長 |
| 〃 | 遠藤 紀寛 | 常務取締役 | 北陸農政局長 |
| フジタ | 須恵 務 | 常務取締役 | 北陸農政局長 |
| 〃 | 須田 康夫 | 専務執行役員 | 北陸農政局長 |
| 三井建設 | 伊藤 喜久 | 専務取締役 | 九州農政局建設部長 |
| 若築建設 | 塚本 駿 | 取締役 | 東北農政局津軽西北農業水利事務所長 |
| 〃 | 近藤 純男 | 取締役 | 九州農政局筑後川中流域農業水利事務所長 |
| 佐伯建設工業 | 湯淺 満之 | 取締役 | 九州農政局筑後川下流農業水利事務所長 |
| 〃 | 齋藤 健 | 取締役 | 北陸農政局西蒲原農業水利事務所長 |
| 大本組 | 岡 喜康 | 常務取締役 | 中国四国農政局建設部長 |
| 応用地質 | 相場 瑞夫 | 取締役 | 構造改善局計画部農村環境保全室長 |
