政治のことから、家庭のことまで…
 高村暎さんに、インタビュー
 日本共産党も参加する「民主長崎県政をつくる会」の代表世話人の高村暎さんに県政のこと、自身の家庭のことなどを聞きました。

●学校の〃荒れ〃につながる総合選抜廃止

長く高校教師をされてきた目から見て、長崎県の教育の現状は

 高村 卒業生のクラス会に参加し、年齢を重ねるごとに生徒がかわいくなるんですが、今は受験中心の体制ですから生徒はたいへんです。
 在職中、「先生の授業はオアシスのようで、次の授業が楽しみ」といってくれたのがうれしくてね。授業は楽しくないといけない。
 県立高校の学校間格差をなくし中学生が安心すると評価されてきた長崎、佐世保、諌早地区の総合選抜入試制度について、県教委は「行きたい学校に行けないから」と、廃止しようとしています。
 しかし、入学後の生徒のアンケートでは「行きたい学校だった」が63%。「行きたくなかった、入学後も不満」と答えたのは3%です。長崎県は他県にくらべ〃荒れ〃が少ないんですが、総合選抜制をとっているからです。これをやめれば、学校間格差が進み推薦入学が拡大します。学力より内申書重視となって生徒の人格をゆがめることにつながるんです。
 もっと、それぞれの地元の高校を育て、生徒が劣等感や優越感をもたず、だれもが安心して学べる場にすることが大事です。小・中学校でもいえることですね。

●干潟再生と防災の両立こそ県民の声

 諌早湾の干潟を守る県共同センター代表として、干拓事業の中止や防災との両立を訴えておられますが。

 高村 干潟を守る運動にかかわり一番よかったのは、漁業者との話ができて仲良くなれたことです。控えめで穏やかな人たちだということがよく分かりました。(笑い)
 干潟緊急救済本部の人たちとも力を合わせて、干拓の現地案内をする機会がよくありますが、そのたびに「干潟をつぶし、たいへんなことをしてくれたものだ」とつくづく思います。訪れた人の多くが「現場を見て、自然破壊のすさまじさが分かった」といいます。
 諌早市や森山町の低平地で生活している人たちと話すこともあります。心配しておられる防災や排水を、潮受け堤防で肩代わりというのではなくて旧堤防の改修やかさ上げ、排水ポンプの増設など、本来やるべき事業を緊急にすすめる必要があります。そうすれば、より本格的な防災になり、干潟や有明海再生の展望も開けます。

●県民に開かれた県民参加の県政

もっと県民の声を生かした県政にと言っておられますが。

 高村 「アンケート」で県民の57%が諫干事業を「力をいれる必要はない施策(第一位)」とのべているのに、「計画通りの推進」でしょ。
 暮らしの予算は十年前と比べ10%削減、教育問題でも現場の声を聞かず、市町村合併もトップダウンでごり押しする。こんな姿勢が目立ちます。
 県民に情報を公開し、県民の間で討論すれば「とんでもない」という答えが出るような施策が少なくありません。もっと憲法と地方自治の精神を大事にしたいですね。
 県民の意見をたたかわせ、それを県政に反映するのが住民自治ですから。県政運営の出発点から県民本位を貫くことが大事だと思います。
 高知県の橋本知事や長野県の田中知事は、県民に開かれた県民参加型の県政を実践していますから、できないことはありませんよ。
 私は、労働者、農・漁業者、中小業者、青年、婦人など、いろんな階層の人たちとどんどん接して話を聞くことから始めます。そういう知識欲はおう盛だと自負しています。

●まちがったことにはモノをいう勇気を

 高村さんの人生観を披露してください。

 高村 この六月に亡くなった母親の影響が大きいですね。小学校の教師だったんですが、正義感が強いというか、「まちがったことには勇気をもってモノを言いなさい」が口癖でしたね。
 中学校時代に生徒会長をやったことや、高校で憲法のすばらしさを学んだこと、大学の時に松川事件の救援にかかわって東京から仙台まで歩き、仙台高裁での無罪判決に立会うなど青年時代からいろいろ体験しました。自分でも正義に対しては頑固だと思っています。
 自分で自分を評価せよと言われれば、「私心がない」ことでしょう。だから、スジの通ったことには弱いんです。

 家庭ではどんな日々ですか。
 高村 退職したら、荒れた畑を耕して栗や柿などの果樹園をつくりたいと思っていたんですが、だんだん忙しくなりました。でも、ピーマンやナスビ、さといも、オクラなどの家庭菜園で土いじりをやっています。自然との共生、何事も自然体が一番ですよ。