金子県政を検証する
大型公共事業・大企業優先の県政を転換し、「県民が主人公」の民主的県政を
長崎県知事選は、年明け早々の一月十七日告示、二月四日投票で実施されます。金子原二郎知事は、先の九月議会冒頭に再出馬を表明しました。
 日本共産党以外の全会派が「評価」「支持」の態度を明らかにしましたが、四年間の県政の実態は評価に値するものだったのでしょうか。

●暮らしの予算を一割も削った弱いものいじめ●
 国が四月から老人医療費の自己負担を引き上げたのに合わせて、県は乳幼児・障害者・母子家庭の医療費の自己負担を一日八百円に値上げしました。これは全国で一番高い自己負担額、新たな県民負担は三億五千万円にのぼります。
 日本共産党の中田晋介県議は、「国の悪政に合わせて県の事業を改悪する必要はない。知事のいう少子化対策にも逆行する弱いものいじめ」と厳しく批判しました。
 ほかにも県立高校授業料の二十八年連続値上げや長寿祝い金の五割カットなど、県民向けの暮らしや教育の予算を犠牲にした施策は数え上げればきりがありません。
 そのため本年度は、福祉や環境・保健、教育という、県民の暮らしに直結した予算は全体の33%
で過去最低となりました。前・高田県政一期目の十年前と比べても10%削られています。金額にし
て九百五十億円です。
 このように、県民向け予算を削りこむ一方で、本年度の公共事業予算は16.8%、千六百五億円に膨らみました。
 年間で諌早干拓に三十一億円、長崎港口に橋をかける女神大橋建設に七十八億円、同港を埋め立てたアーバン開発に二十七億円など大型公共事業が目白押しです。
 ソニー諌早工場の建設補助金に十五億円など大企業優遇も際立っています。大型商業施設・長崎「夢彩都」の進出には二十三億円を無利子で貸付け、周辺商店街は軒なみ二割から三割の売り上げ減となり、県の地元企業支援のあり方に大きな批判が広がっています。

●県民に背を向けた諫干推進、合併ごり押し●
 ばく大なカネをつぎ込んで干潟を消滅させ、有明海の漁業をだめにしてきた諌早湾干拓事業について金子知事は、第三者委員会から「環境に配慮した事業見直しを」と答申されても、「水門の開放による調査を」と求められても、「計画通りの事業推進。水門開放反対」と繰り返すばかりです。
 九年連続の休漁となったタイラギ漁や、島原市、有明町漁民の被害救済の訴えにも、「漁業被害と干拓の関連は不明」と言い放ち、耳を傾けようとしません。
 県が、全国に先駆けて推進しているのが市町村合併、七十九市町村を十三にする要綱まで示して旗を振る熱の入れようです。しかし、合併が地方への国の財政支出を削り、住民サービスを低下させるものであることは明らかです。

 平和のリーダーとして、被爆県長崎の役割が今ほど求められている時はありません。ところが報復戦争に参加する自衛艦六隻のうち四隻が佐世保の基地から出動し、市民生活に大きな不安が広がっているのにこれを黙認。「安保条約」上当然として、米軍基地増強に協力しているのも重大なことです。

 いま長崎県政に求められているのは、どの分野からみても「県民が主人公」の民主的な県政に転換することではないでしょうか。
2001年11月30日 「しんぶん赤旗」