旧町で市民アンケートや懇談活動すすめ支持広げる

 長崎県五島市議選(定数二十六。二月二十七日投開票)で日本共産党は、合計二千七百八十八票(得票率8.66%)で三議席を獲得し、議案提案権を得ました。昨年参院比例票の二・〇二倍の得票です。(長崎県・田中康)
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 当選したのは、向原安男(63)、橋本憲治(45)、江川美津子(52)ーいずれも旧福江市出身の元職ーの三氏。合併時(定数九十一)と比較した議席占有率は4.40%から11.54%となりました。
 今回の選挙は、合併後も在任特例で旧市町議が議員を続けるマンモス議会に対し、市民が住民投票で議会解散を勝ち取っておこなわれた出直し選挙です。
 住民投票前に、市民とともに早期解散を求めて辞職した元職は十三人のうち十二人が当選、日本共産党の向原氏はトップ当選でした。リコール成立まで議員にとどまり失職した候補は二十八人のうち十四人しか当選できませんでした。
 住民投票に続き、「住民が主人公」の市政へ市民の力がふたたび示される審判となりました。
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 昨年八月、五島列島の旧福江市と周辺の一市五町が合併して誕生した同市は有権者が三万八千人(二〇〇二年九月の旧福江市議選時の約一・七倍)となり、旧町出身の党議員は旧富江町の清島康平市議(69)だけ、残りの旧四町(岐宿、三井楽、玉之浦、奈留)は議席がありませんでした。
 日本共産党は、「市議三人の当選には前回の一・五倍の得票が必要」「旧福江市での飛躍はもちろん、旧町での支持拡大なしに勝利はない」と旧町に入り、住民への「市民アンケート」や訪問懇談活動を積極的にすすめました。
 日本共産党は、合併前から、旧福江市と旧五町の住民サービスの違いや行政格差をつぶさに調査しました。「まず現地に行って対話を」と足を運び、都市計画税の見直しや巡回バス、福江中学校給食など、公約した市民要求を市民とともに実現してきた例を紹介。議会報告の「民報」も示して、「この地域の声を責任もって市政に届けます」と訴えました。
 「市民アンケート」では旧五町から、「介護保険料を下げてほしい、国保税が高くならないか心配」(各町)「側溝整備や漂着ゴミ回収を」(旧富江町)「消防分団に消防ポンプ積載車を」(旧三井楽町)と、次々に声が寄せられました。
 福江島と陸続きでない旧奈留町では、配られた「五島民報」をみて、「隣の久賀島もさびれてしまった。この奈留島もそうならんようにがんばって」と涙ながらに訴える年老いた女性の姿も。
 党市議団は、こうした声を議会でただちに取り上げました。市は、「旧奈留町の水産加工品を福江の学校給食にも活用する」、「旧玉之浦町の救急車の救命器材を購入する」などと回答して要求が実現し喜ばれました。
 必要な課題で、「他会派とも協力して実現をめざす」という、謙虚でまじめな活動姿勢にも好感の声が寄せられました。
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 「共産党三人は大丈夫|」といった口コミもされました。これには、「政策を語れない人の常とう手段で市民の声を切り捨てるもの」と大宣伝しました。
 また「民報」号外で、「議員になって何をするのか」と問いかけ、「政策をはっきり語れる人かどうか」「切実な、都市計画税見直しと介護保険料引き下げの願いを託せる人かどうか」を、議員を選ぶモノサシとして具体的に提起。どこでもよく読まれ、「これまでのような政策も言わない連呼選挙でいいのか」との声があがりました。
 選挙結果が確定した翌朝、市内中心部のある職場では「共産党がトップよ」「やっぱりね、相談したら聞きっぱなしにせんよな」と、女性三人が新聞号外を広げて話し合っています。党議員とあいさつを交わす住民の笑顔も晴れやかです。
 「責任は重大。市民が求める議会らしい議会、風通しのよい議会づくりがその第一歩」と、当選した三氏はそろって宣伝カーで街頭に飛び出しました。
五島市議選
合併出直し市議選、参院比例票の二倍得票で全員当選

「しんぶん赤旗」2005/3/4