ダム湖の大規模な淡水赤潮に驚きの声、下流では川遊びの子どもたちの喚声

 「ウァーすごい色。コーヒーか醤油だな」|。長崎県外海町にある「神浦(こうのうら)ダム」の奥、青緑色のはずの湖面は一面がこげ茶色。紙コップにとると極小のアワのような粒が現認できます。「これが淡水赤潮ですよ|」、参加者は息を飲みました。
 「三方山水源訴訟」を支援する会(代表・菅政和医師)が二十二日に実施した現地見学会での出来事です。
 「長崎市民の飲料水の四割を供給している、いのちの水がめが危ない」と、市民が提訴した「三方山水源訴訟」。三方山とは、長崎市と外海町、琴海町の三方向に面した山の名。頂上付近に三共有機の産業廃棄物処分場があります。ダムの水源を汚染している「産業廃棄物や下水汚泥を撤去し原状回復せよ」と、日本共産党も議会で取り上げてきた環境問題です。
 支援する会は九月七日の公開審理を前に、「汚染の深刻な実態を再確認しよう」と、初めて見学会を計画、神浦ダムと源流の三方山周辺を調査しました。
 一九九七年からほぼ毎年、六月から十月ころまで発生している神浦ダム湖の「淡水赤潮」、この日は、境目が見えないほど広範囲に表れていました。棒の先端に白い布を巻きつけ湖面に入れると、布は赤潮に隠れ、四十aたらずの深さでたちまち見えなくなりました。 ダム湖から約二`下流にある河川公園では、水泳や川遊びに興ずる子どもたちの元気な喚声が響いていました。
 三方山周辺では、処分場の側溝を通り約三百b南のパイプから流れ出た水によって表面が真っ黒になった岩石を確認。
 そのすぐそばで約三十年間、自然の急激な変化を見てきた山口良市さんBDから、「髪毛が抜けたり声が出なくなった。七、八年前が一番ひどかった、今でもかなりにおいがする。下水汚泥や産業廃棄物、医療廃棄物や鉄くずなど、埋められたまま」と、驚くべき不法投棄や深刻な被害の実態を聞きました。
 支援する会の菅代表は、「この目で赤潮を見、鼻でにおいを嗅ぎ、汚染の実態を改めて体現できた。現地は草木が繁り分かりにくい場所。専門家の力も借り、広く実態を知らせて裁判にも活かしたい」と、汚染のひどさに怒りを募らせます。
 同行した日本共産党の山本誠一市議団長は、「原状回復が急務であることを痛感した。さらに調査をすすめ、実施されている水質検査の場所や回数を増やすことも求めたい」と話しました。
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 「訴訟」は昨年九月、裁判所による現地検証で大量の廃棄物焼却灰や医療廃棄物、下水汚泥の不法投棄が判明。被告の三共有機は事実を認め、長崎市の求めに応じて改善計画書を提出しましたが、除去する下水汚泥量も一千立方b程度の極めて不十分なものです。
 処分場内外に埋められた廃棄物は数十万トンといわれ、汚染された地下水が神浦ダムに流れ込むのは必至です。不法に埋め立てられたすべての廃棄物除去が必要です。
長崎NOW
三方山産廃処分場周辺の深刻な汚染の実態