諫早湾干拓事業はすみやかに中止し、中・長期開門調査の実施を
      ー干拓堤防閉め切り7周年にあたってー
                 2004年4月14日
               日本共産党長崎県委員会

 
 諫早湾干拓の堤防が閉め切りから丸7年が経過しました。
この間、有明海異変はますます深刻になり、漁獲量の減少やノリの不作から、沿岸漁民の生活は困窮し、将来の展望を失なっています。有明海沿岸の漁業はまさに存亡の危機にさらされています。
こうした事態が諫早湾干拓事業に起因していることは、農水省が2001年3月に設置した「ノリ不作第三者委員会」が、「有明海異変は諫早湾干拓事業に起因するものと想定される」とし、環境変化を解明するため、短期(2ヶ月程度)、中期(6ヶ月程度)の開門調査を経て、さらにその結果をふまえて長期(数年)の開門調査が必要と提言したことからも明かです。
ところが農林水産省は、わずか2ヶ月にも満たない開門調査を実施しただけで、昨年3月、「第三者委員会」を解散し、解散直後に官僚OB中心の「中・長期開門調査検討委員会」を設置しました。昨年12月25日出された「検討委員会」報告は、全体として「開門調査は困難である」という否定的色彩が強く、諫早湾干拓事業が有明海に与えている影響解明のため、調整池のなかに長期間大量に海水を入れて、中・長期開門調査を求めた「第三者委員会」の見解から大きく後退したものでした。元第三者委員会委員長の清水誠・東大名誉教授は「少なくとも中・長期開門調査をやればどういう変化があり、今後どうなるかという、有明海の環境に及ぼす影響の手がかりは得られるはずだ。検討会議はできる範囲で何か得ようとの姿勢からほど遠い」と批判しています。なんとしても工事を強行し、事業完了のために中・長期開門調査を握りつぶそうと画策している農水省には、学者・研究者やマスコミからも大きな批判の声が上がっているのです。
  一昨年11月26日、有明海沿岸4県の漁民170人を含む850人の原告団は、「これ以上の環境・漁場・生活破壊は許せない」と自らの生存をかけて佐賀地裁に「工事の中止」を提訴しました。この裁判を支援する「よみがえれ、有明海訴訟を支援する会」は全国的に大きな共同の輪を広げています。また、福岡・佐賀・熊本県の県議会は2003年12月、全会一致で「中・長期開門調査を求める意見書」を採択し、沿岸の30を超える自治体でも同様の意見書が採択され、さらに広がっています。福岡、佐賀、熊本の有明沿岸の漁連は2月12日に連名で「中・長期開門調査」を農水省に要求しました。これらの声にいっさい耳を貸さず、工事を強行する農水省の姿勢は許すことができません。
 唯一、事業推進の旗振りをしている長崎県では、自民党県連や県知事などが干拓事業受注企業から多額の企業献金を受け取っていることが明らかになっており、こうした政官業の癒着が、環境破壊の無駄な事業を止められないでいることを浮き彫りにしています。
 潮受け堤防閉め切りから7年目にあたり、日本共産党長崎県委員会は工事の中止と、有明海異変の原因究明のため、中・長期開門調査を行うことを改めて強く求めます。
干拓工事はただちに中止を
諌早湾締め切り7周年にあたり、党県委員会が見解表明
 2004年4月14日、諌早湾が締め切られてから丸7年になります。党県委員会(山下満昭委員長)は、県庁で記者会見して見解を表明。改めて、諌早湾干拓工事の中止を強く求めました。
記者会見する石川悟書記長、西村きえ子県常任委員、中田晋介県議。(写真右から)
会見後、長崎市の繁華街で「諌早湾干拓中止」を訴える西村きえ子前県議