2004年1月21日(水)「しんぶん赤旗」

諫早干拓

即時中止と開門調査を

仁比参院比例候補や原口候補が


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農水省に諫早干拓事業の中止などを求める、赤嶺政賢議員(左から3人目)、仁比そうへい参院比例候補(同4人目)=20日、農水省

 農水省に申入れ 日本共産党の赤嶺政賢衆院議員、参院比例候補の仁比そうへい氏(よみがえれ!有明訴訟弁護士)と、福岡、佐賀、長崎、熊本の各県党の代表は二十日、諫早湾干拓事業の中止と中・長期開門調査の早期実施を求める申し入れを、亀井善之農林水産大臣に行いました。

 申し入れは、(1)工事の即時中止(2)すみやかな中・長期開門調査の実施(3)水質悪化を続ける調整池に海水を入れる(4)中・長期開門調査実施にあたって必要な対策費用を算出する(5)有明海の環境異変で経済的打撃を受けている漁業者に対して、借入制度資金の据置期間延長、新たな無利子貸与などの財政的支援を行う−ことを求めています。

 開門調査実施について明確な回答を避ける担当者に対し、仁比氏は、「二年前の『中・長期開門調査を行う』との農水省の約束は、うそだったのか」と追及。申し入れを、真摯(しんし)に受け止めるよう求めました。

 有明海の環境異変による漁業被害は、ノリをはじめ年々深刻になっており、中・長期の開門調査実施を求める意見書が、福岡、佐賀、熊本の各県議会で全会一致で採択されています。

 水産庁の担当者は「償還期限の延長などは、事情に応じて漁業者が金融機関と相談してほしい」と述べ、柔軟に対応するよう指導していく方針を明らかにしました。

  申し入れの全文は下


2004年1月20日

農林水産大臣 亀井善之 様

   日本共産党  衆議院議員     赤嶺 政賢                 福岡県委員会委員長 安広 和雄

佐賀県委員会委員長 平林 正勝

長崎県委員会委員長 深町 孝郎

               熊本県委員会委員長 久保山啓介

諫早湾干拓事業の中止と中・長期開門調査を求める申し入れ

 昨年1225日、中・長期開門調査検討会議は、農水省が中・長期開門調査の取り扱いを判断するための論点を整理した報告書をまとめた。しかし、その内容は全体として開門調査は困難であるという否定的色彩が強く、諫早湾干拓事業が有明海に与えている影響を解明するため、調整池の中に長期間大量に海水を入れての中・長期開門調査を求めた「第三者委員会」の見解から大きく後退するものである。この間にも農水省は工事を強行し、事業完了に向けての時間稼ぎをしていると指摘せざるをえない。

一方で、有明海異変による漁獲量の減少やノリの不作から、沿岸漁民の生活は困窮し、将来の展望を失うところまでに追いつめられている。農水省は、干拓事業が地元から高い評価を受けており中・長期開門調査はできないと主張するが、福岡・佐賀・熊本各県の県議会などでは全会一致で中・長期開門調査を求める意見書が採択されている。長崎県では自民党長崎県連や県知事などが干拓事業受注企業から多額の政治献金を受け取って、事業推進の旗を振っているにすぎない。高い評価とは、長崎県知事や諫早市とその周辺の自治体首長、工事受注業者などからの声であり、長崎県民の多くは事業に対し否定的で、事業の中止と有明海の早期再生を願っている。

 よって、以下のとおり申し入れるので、誠実に対応されたい。

1.干拓事業が有明海の環境に与えている影響の解明を放置し、「完成先にありき」の頑迷な姿勢で工事の続行は許されない。ただちに工事を中止すること。

2.「中・長期開門調査は実施せず」という結論先にありきの姿勢を捨て、第三者委員会の提言、多くの研究者の研究成果、自治体の意見書や国民世論を重く受け止め、すみやかに中・長期開門調査を実施すること。

3.調整池の水質は年々悪化を続け、改善の兆しが見えない。水質改善のための今後の長崎県をはじめとする地元負担は計り知れないものになると予想される。抜本的な水質改善のために水門を開放し、調整池に海水を入れること。

4.農水省が中・長期開門調査実施に当たって必要と発表した対策工事費用と期間の算出根拠を明確に示すこと。

5.有明海の環境異変により経済的打撃を被っている漁業者に対し、既往借入制度資金の据置期間延長、償還猶予、利子免除、新たな無利子貸与など積極的な財政的支援を行うこと。