来年度予算編成にあたり、長崎県民の切実な願いである以下の項目について国として対策を強められるよう要望します
               2003年7月17日 日本共産党長崎県委員会

[外務省関係]
1.佐世保市においての米軍犯罪事件が絶えず、市民の人権を守る立場から 日米地位協定見直しの交渉を開始すること。とくに、第17条は直ちに見直  すこと。
2.昨年、私たちが佐世保港への原子力艦船の入出港について情報公開す  るよう要請したことに対して、外務省は「情報公開がすみやかに再開される よう米側に要請している」との回答でしたが、いまだに未公開です。即刻公  開させること。

[厚生労働省関係]
1.現在、原爆症認定をめぐって訴訟が起こっているが、これは国が原爆症認 定にあたって被爆距離だけを機械的に運用しているところに問題がありま  す。被爆者の実態に即して認定基準を抜本的に見直すこと。

2.被爆体験者医療受給者証の交付については、12q圏内という居住要件  を撤廃し、全国どこに居住していても交付の対象にすること。

3.老人被爆者の医療費については、地方負担を解消し、全額国の負担とす ること。

[国土交通省関係]
1.現在、長崎市内における急傾斜地崩壊危険箇所1,028ヵ所に対する整備 率はわずか18%程度にすぎません。従って、国においては住民の安全を守 るために、防災を抜本的に増額していただきたい。また、現行制度では整備 を必要とする土地については規模の如何にかかわらず、すべて地権者の無 償提供を得ることを前提としていますが、安全整備の促進のために土地の 有償制度も含めた改善を図っていただきたい。

2.斜面都市である佐世保市には、未整備箇所がたくさん残されています。国 としても、急傾斜地崩壊対策事業への支援を要請します。

3.平和学習を広げるため、被爆地長崎への航空運賃等の軽減が図られる  よう、特段の措置を講じていただきたい。

4.大村市の国道34号線(場所の特定が必要)の拡幅工事を急ぐこと。道路 が狭いため、渋滞の慢性化がますますひどくなっています。

5.国道202号線の長崎市大浜町から福田本町間の通学路の安全を確保す るために、拡張整備を図ること。

6.本明川ダム建設計画を中止し、防災対策の代替案を作成すること
 本明川ダム建設の必要性は乏しく、ダムの安全性、寿命、水域地域の環境 保全など、不明な点も多く、市民や流域住民の合意もまだできていません。 諫早市でハザードマップが作成され、市民に配布されていますが、堤防の  決壊を想定したもので、ダム建設の必要性と一致したものではありません。 堤防の決壊と越流とは別問題です。本明川下流の越流対策は、川の浚渫、 拡幅、堤防の嵩上げなどがあり、これらを組み合わせた方法を含め、ダムに 頼らない方法の検討は十分されたとはいえません。
  人口は平成18年をピークに減少することが予測されており、水需要計画  は課題に見積もられています。需要計画の見直しが必要です。
 住民の合意も得られないまま、税金をつぎ込み、市財政を圧迫するムダな  大型公共事業を中止し、防災対策の代替案を作成していただきたい。

7.建築基準法第126条(屋上広場等)「屋上広場又は、二階以上にあるバ  ルコニーその他これに類する物の周囲には、安全上必要な高さが、1.1m以 上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない」を、「屋上広場又は、 二階以上にあるバルコニー、窓、その他これに類する物の周囲には、安全  上必要な高さが、1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならな い」 に改正すること。
   現在の建築基準法には、二階以上の建築物の窓や屋上には、ベランダ  や手すり設置をしなければならないという明確な基準がありません。そのた めに、窓やサッシから落下するという事故も発生しています。公団住宅や教 育施設については、独自の建築基準を設けているので、ほとんどの窓にベ ランダや手すりが設置されています。ところが、ハウスメーカーの場合は、で きるだけ安く仕上げようとして、設置しない場合が多くあります。
  事故防止のため、現在の建築基準法126条に「屋上広場又は、二階以上 にあるバルコニー、窓」というように、「窓」を明文化していただきたい。

8.上対馬町の「比田勝港湾整備事業」(国の事業か県の事業か)で、沖防波 堤を250m延長する計画は中止すること。
 @船の入出港に危険、A湾口が狭くなり湾内の潮替わりが悪くなる、B税  金の無駄遣いになるという理由で、現地では「沖防波堤はすでに200m完  成しており、これ以上延長してもらっては困る」という声が大きくなってきてい ます。事業の中止を要請します。

9.鉛水道管の取り替え工事への国の助成措置について
 2003年度から規制が強化される鉛水道管の取り替え費用については、国の支援策を講じること。また、高台地区を多く抱える長崎市における、老朽化した水道管の取り替え工事に対して、国の財政支援を講じていただきたい。


[農林水産省関係]
1.諌早湾干拓事業は、諌早市の防災対策には役にたたず、税金のムダ使い になるので、直ちに中止すること。
 @5月の初旬から下旬まで有明海に「謎の浮遊物」が大量に発生し、その後  も漁獲量が落ちこんだままです。浮遊物はべとべとした粘土状で網にから  みつき、漁業ができなくなる被害が続発、魚が姿を消し、有明海の漁船漁  業は最悪の状態になっており、漁民は再発生を恐れています。浮遊物に   は石灰粒子が付着した海藻が多数混在しており、この石灰粒子は、諫早   湾の干拓工事で多量に使われている石灰系の地盤凝固剤ではないかと   の指摘があります。直ちに、この指摘の検証も含めた原因の究明をおこな  い、再発防止対策 を講じること。
 A短期の開門調査でも、調整池の水質が改善されることが明らかになりま   した。直ちに、中・長期の開門調査を実施し、その結果がでるまで一切の   諫早湾干拓工事を中止すること。
 B漁業被害に対しては、国の責任で補償をおこなうこと。
 C有明海での漁獲量の激減で、漁民の生活は困窮の一途をたどり、国保税 の滞納で保険証を持たない漁民が増え、健康悪化が危惧されます。関係自 治体が国保税の減免をおこなった場合、その財源補償を国でおこなうよう、 厚生労働省に働きかけること。


[防衛庁関係]
1.大村市での自衛隊創立記念パレードは、即刻やめること。
戦車などが市道をふさぎ、パレードをおこなっています。一般車両を締め出 し、すごい轟音をたてて、市民への迷惑このうえないものです。このパレード は、自衛隊が市民の生命と安全を守る行為ではありません。

2.海上埋め立てによる長崎空港A滑走路の拡張工事を中止し、騒音をまき散らす自衛隊のヘリ訓練は大村湾の外でやること。

3.長崎空港での米軍機使用を禁止すること。

4.佐世保市の前畑弾薬庫を返還すること。

5.西海町における新LCAC基地建設計画は、直ちに計画を中止すること。

6.佐世保米軍専用岸壁建設計画を中止すること。一、二、三、四、五号岸壁を返還すること。

7.米軍基地一部返還によって完成した道路の供用(場所の特定)を、直ちに認めること。

[経済産業省関係]
1.長崎の伝統美術工芸のべっ甲原材料、タイマイの輸入再開について
 べっ甲細工は長崎の伝統的な美術工芸品であり、ワシントン条約によって  輸入が禁止された現在、原材料の在庫も底をつき、このまま推移すれば長 崎の伝統的なべっ甲技術の継承も危ぶまれる現状にあります。従って、べっ 甲の原材料であるタイマイの輸入再開に向けた、特段の外交努力を図って いただきたい。                           以上。
日本共産党長崎県委員会の
 2003年度日本政府への要求書