四歳の駿ちゃんを駐車場屋上から突き落としたのは十二歳の中学一年生だったという事件は、全国に大きな衝撃を与えました。被害者とその家族の悲しい立場を考えるとき、だれもが黙っていられない思いになります。

社会的背景視野に
 私は今国の事件を考える場合、一つの大事な視点として最近の低年齢化した犯罪の続出と、それを生み出している今日の社会的背景を視野に入れた問題の掘り下げ、対策が求められていると思います。
 子どもたち取りまく今日の社会情勢と生括環境の変化は、成長期・思春期の子どもたちにゆがみを与える要因が渦巻いています。それに加えて受験競争などの精神的ストレスや悩みなど、子どもの居場所がないといわれています。
 こうした中で子どもたちの正しい成長を守るためには家族や学校の先生たちの努力だけでは限界があります。多くの市民がそれぞれ持てるカを出し合って、激変する社会環境から子どもたちを守ることが大切ではないでしょうか。

シグナル見抜く力
 私は市議在任中の今年の二月、仙台市のすぐれた取り組みを知り勉強に行きました。不登校など、悩み多い子どもたちが自分のカで学校に帰れるように全力で取りくんでいました。
 同市では、適応指導センター「児遊の杜(じゆうのもり)」を中心に、四十四人体制でいろいろな事業に取り阻んでいました。注目したことの一つは、「スクールアドバイザー派遣事業」です。臨床心理士などの専門家を学校現場に派潰して、先生たちに子どもたちが発するさまざまなシグナルを見抜くカ、不安定な子どもにどう対応すればよいかの力をつけてもらうため、系統的に行っていることです。一回四時間程度の研修で、先生たちにも喜ばれているといいます。
 もう一つは、「ボランティア養成活用事業」です。一般市民を対象に教育ボランティアを募り、計画的に養成し、日ごろなかなか手が届いていない子どもたちの相手になって悩める子どもたちの話を聞いたりケアするというものです。同市では、保健室や図書室に教育ボランティアを配置して養護の先生たちを援助し、子どもたちとの自然なつながれをもってシグナルを受けとめる努力をしているといいます。そのことが、街を歩いている子どもなど、両親や担任の先生たちの手が届かない子どもたちにも広く、気軽に声をかけていくことになります。
 行政、市民も一緒に
 私は、子どもたちをとりまく情勢を考えるとき、家族や教師はもちろんのこと、行政も市民もいっしょになり、日ごろから三つどもえ四つどもえになって子どもたちを守ることが駿ちゃんの事件を再発させない決め手になるのではないかと思います。
長崎・少年事件を考える
 みんなで子どもを守る努力を
前長崎市議 柴田朴  「しんぶん赤旗」2003/7/28