四年前、長崎市選出の中田晋介県議に続き西彼杵郡から西村きえ子さんが初当選、初めて長崎県議会に二人の日本共産党県議団が誕生しました。 議会開会の日から、知事の「新人議員招待昼食会」が日本共産党の申し入れで中止されたり、議会活性化の提案が話題に。県民とともに運動し、乳幼児医療制度への助成拡大や、ダム上流の産業廃棄物処理施設の建設断念などの大きな成果もあげてきました。
   
 二人の議員団になって大きな力を発揮したことのひとつに、独自の「意見書」や「決議」を提案できるようになり本会議での論戦を拡大したことがあります。
 昨年一月の知事選さなか、日本共産党の調査によって金子原二郎知事や自民党長崎県連が、諌早湾干拓事業の受注企業から莫大な政治献金を受けていたことが明らかになりました。
 民主県政をつくる会は、「金子知事は諌早湾が閉め切られた時期の五年間に三十三社から二千二百万円。自民党県連は事業開始からの十六年間、五十社から七億一千万円も受け取っている。ムダな公共事業が止まらない真の原因はここにある」とその実態を徹底して暴露。県民の間からは「びっくりした」「初めて知った、そういうことだったのか」と大きな怒りの声があがりました。
 その直後の三月議会に二人の議員が提案した、「国や県工事の受注企業からの政治献金受け取り中止を求める決議」は、「鈴木宗男衆院議員の辞職を求める決議」とともに県民の注目を集めました。二つの決議案は、いずれも自民・公明、民主、社民各党の反対で採択されませんでしたが、これらの党が企業献金を禁止する意思がないだけでなく、実態解明にもフタをする勢力であることを県民の前に示す結果となりました。
 企業献金をめぐる論議は議会内外に広がり、六月議会には諌早湾の干潟を守る共同センター(高村暎代表)が、「受注企業からの政治献金受け取り中止決議」を求める請願書を提出。金権腐敗政治の一掃を求める声が住民団体のなかからも相次ぎました。
 こうした動きのなかで長崎地検は昨年十二月、知事選をめぐり県工事受注企業から多額の違法献金(公選法違反)が自民党長崎県連に渡っていたとして、同事務所と県内外の建設業者を捜索。年明けには知事選目的の献金を求めた疑惑で同党幹事長を逮捕しました。
 日本共産党の中田県議は十二月議会の本会議一般質問でこの問題を取り上げ、知事自身の責任を追及しました。ところが自民党の加藤議長は、突如として「知事は答弁しなくてよい」と質問を妨害、知事も答弁しませんでした。公明、民主、社民の各党が、この妨害に同調した事実も明らかになりました。
 いま住民団体のなかなどでは支持政党の違いにかかわりなく、「質問妨害は許されない、金権政治の実態を県民に知られるのが怖いからだ」「政治献金はワイロだ。徹底追及できるのは共産党しかない」と県民の発言が続いています。
 日本共産党は、知事選をめぐる違法献金の真相究明と請負い企業からの献金受け取り禁止実現のため、県議会百条調査委員会設置などを求めて奮闘しています。

  昨年二月の知事選での金子原二郎知事の得票は四十六万八千票余、有権者比の得票率はv・2%にすぎませんでした。約七十万の基礎票を持つ自民、公明、民主、自由、社民の五党相乗り勢力と金子知事に対し、有権者が冷静な批判の目を持っていることを示した結果でした。
 しかし二期目の金子県政が打ち出した方向は、毎年三十億円もの県費を注ぎ込む諌早湾干拓事業や誘致企業補助金など、相変わらずの大型開発・大企業優先で、福祉・暮らし、教育を犠牲にする、県民に冷たい県政の継続でした。
 さらに「新たな行革」と称して、入試競争の激化と長時間通学をもたらす高校「改革」、住民サービスの低下と周辺地域の過疎化、雇用減につながる市町村合併の推進、住民の声に背を向けてごり押しする県立多良見病院の民間移譲や、大型ゴミ焼却場建設推進など、県民に犠牲を押し付ける施策が目白押しです。
 こうした県政について日本共産党の西村きえ子県議は、「地方自治体の第一の仕事は住民の暮らしや福祉、安全を守ること。生活を応援する政治こそ必要な時なのに、オール与党県政の実態は開発会社というに等しい」と指摘します。
 県央地域になくてはならない、県立多良見病院の存続を求めている多良見町の西平隆町長と川崎盛一議長は、地元の西村県議の事務所開きに招かれ、立場の違いをのべながらも、「暮らしにくくなっている時だからこそ、福祉や教育に力を入れている西村県議に期待している。県立病院を残すため尽力してほしい」「県議会を傍聴したが共産党以外オール与党だ。もっと開かれた県議会であってほしい」と率直に語りました
 自治体が住民本位の施策を支え、住民が自らの生活や営業を守るためには、これまでの保守・革新のしがらみや政党支持の違いをこえて、問題解決の道を見つける以外に要求を実現する方法はありません。
 ましてや、不況やリストラ、福祉切り捨てでかつてなく県民が苦しんでいる時に、公共事業の受注企業が請負代金の中から知事や自民党に献金することは税金の還流そのものであり、政治をカネでゆがめる大もとです。そうした献金を、「届出さえすれば違法でない」として平然と受け取り、そのピンハネした県民の税金を選挙や宴会費用に当てるなどということは言語道断です。
 いま政党や議員に求められているのは、住民の要求に立った問題解決の方向と改革の道すじをはっきり有権者に示すことであり、その是非を問う論戦こそ県議会に求められています。
 日本共産党以外の各党がオール与党として金子県政を擁護している中で、県政の問題点を鋭く指摘し、どうすれば県民の暮らしや福祉、教育、営業を守ることができるかを住民とともに考え、方向を示しているのが日本共産党県議団です。
 その県議団が二人から三人になれば議会運営委員会にも参加でき、県議会をさらに民主的にすることができます。
 日本共産党は、企業献金も政党助成金も受け取らず、党費と党の事業活動、支持者の個人献金に支えられて活動する近代的な政党です。だからこそ「県民が主人公」の立場を貫くことができるのです。
長崎県政と日本共産党
「しんぶん赤旗」2月3日、4日