知事選をめぐる違法献金の真相の徹底究明と、
公共事業受注企業からの献金禁止を実現するために

日本共産党長崎県委員会の提言
              二〇〇三年二月三日 日本共産党長崎県委員会

 はじめに
 長崎県知事選挙に関わる公共事業受注業者からの自民党県連への違法献金で浅田五郎前県議・県連幹事長が逮捕(辞職)され、金子知事自らの対馬後援会への違法献金もあきらかになっています。
 また、自民党久間章生衆院議員(2区選出)の疑惑(秘書が関空工事業者から5000万円受領)、パーティー券の建設業協会への斡旋で自民党県議の辞職、、長崎市での公共事業入札妨害、あっせん収賄で5人の市議(自民4、民主1)が逮捕されて辞職しました。さらに、自治体幹部職員や関係業者の逮捕など、金権腐敗は底なしの状態です。
 長崎県の公共事業をめぐる政官業癒着・金権腐敗は全国でも突出した異常なものです。
 いま県民が失業・倒産、医療・介護保険の負担増、年金の引き下げなど生活と将来への不安にあえいでいるとき、あきれるばかりの公共事業・税金を食い物にした政・官・業の癒着に怒りの声が広がっています。
 わが党は昨年の知事選挙以来、諫早湾干拓事業をめぐる受注企業の献金や天下りの実態を指摘して、政官業癒着の一掃を求めてきました。あらためて私たちの提案をあきらかにするものです。

 自民党の違法な企業献金あつめ
 公職選挙法の一九九条、二〇〇条は、県知事などの首長選挙や議員の選挙に、公共事業の受注業者が寄付することを禁止しており、寄付をした者、寄付を受けた者、寄付を要求した者は、いずれも「3年以下の禁固又は50万円以下の罰金」で処罰されます。
 二〇〇一年末に、浅田幹事長らが、受注業者のゼネコン各社や建設業協会に要求し、6500万円にのぼる献金を集めて、知事選挙に使いました。これが公選法に違反するとして浅田氏らは逮捕されました。
 今回の知事選における自民党県連への企業献金を、公選法の「特定寄付の禁止」に該当する違法献金とする摘発は、全国ではじめての例となる画期的なもので、自民党をはじめ、選挙資金を企業に依存している政党や政治家に衝撃をあたえています。
 また、自民党県連が収支報告書に記載していないゼネコン9社から「ヤミ献金」3000万円を受け取っていたこともあきらかになっています。企業による自民党費の丸抱え問題(港湾建設業協会が年間1300万円)や、浅田幹事長が水源地工事をめぐって数百万円をうけとった贈収賄容疑もでています。
 
 3000万円が宴会費用に
 これらのカネが自民党県連の役員、県議などの飲み食い宴会費に3年間で3000万円も使われています。2001年はのべ90回、4日に1回のわりあいで、長崎市内の料亭、クラブ、バーをはじめ、東京銀座、赤坂の料亭、クラブなどの名前があがっています。最高は一晩63万円、平均10万円以上の飲み食いで、とても政治活動といえない不当な支出です。
 
 企業献金は税金の環流、政治をゆがめる
 これらの企業献金のもとは県民が納めた税金です。県民の税金で知事が公共事業を発注し、それを請け負った企業が、その工事代金の中から知事や自民党に献金をすれば、税金が受注企業を経由して知事や自民党のふところに入ったことになります。この不況で県民が苦しんでいるときに、ピンハネした県民の税金で選挙をやり、飲み食いに使うなどは絶対に許されません。
 また、企業からカネをもらえば企業の利益のために政治がゆがめられます。そのよい例が諫早湾干拓です。この事業の受注業者から知事に5年間に33社から2237万円、自民党県連に工事着工以来50社から7億1300万円が献金されています。農地がたくさん余り、農地造成という干拓の目的は完全に失われても、あれほど大きな有明海の漁業被害がでても、干拓事業がとまらない理由は、この企業献金にあることはあきらかです。

 金子知事の責任は重大
  県建設業協会の上滝会長は、長崎地検の事情聴取後の会見で「金子後援会から依頼をうけて選挙資金を集めた」と語り、安田実穂事務局長はゼネコンの支部へ要請をおこなった際「選挙もある。知事にも相談済み」と語ったと報道されています。
 金子対馬後援会の収支報告では、知事選挙直前の一昨年11月から12月に自民党県魚市場連合会支部から310万円を受け取っています。この自民党支部は、この時期に県工事受注業者9社から300万円の献金を受けています。まさにこの支部をトンネルにして受注企業から金子後援会に献金がおこなわれていたことになります。
 知事選挙がこのような違法献金によっておこなわれ、知事や知事後援会の直接の関与もあきらかになっています。金子知事は、真相を明らかにし、その責任を明確にしなければなりません。

 金権腐敗政治を一掃するための提言
 日本共産党は企業・団体献金も、政党助成金もいっさい受けとらず、党員の党費と政党機関紙活動、支持者からの個人献金で政治活動、選挙活動をおこなっています。企業や団体と腐れ縁のない、清潔、公平な立場こそ、国民に責任をもつ政党のあり方です。
 今日ほど、すべての政党と政治家に、金権腐敗とゆがめられた政治を正し、国民に信頼され、国民のための政治をおこなうことが求められているときはありません。
 わたしたちは、当面緊急に以下のことをすすめることを提言し、県民のみなさんによびかけます。

(一)金子知事は「すまない」というだけで、何の対策もとろうとせず、無責任の極みです。知事は知事選挙に関わる一連の疑惑の真相をあきらかにし、自らの責任を明確にすることを求めます。
 同時に、自民党県連も自らの責任をあきらかにし、県民に納得のいく説明をおこなうべきです。
(二)県議会議長と与党会派は、十二月議会本会議で、日本共産党の質問への知事答弁を封殺し、真相究明を妨害しました。県議会が「百条委員会」を設置し、議会としての真相究明の責任を果たすことを求めます。
(三)金権腐敗政治の温床は政官業の癒着にあります。この腐敗の根を断ち切るためには、企業・団体献金を禁止することが不可欠です。まず公共事業受注企業からの献金を禁止することを求めます。知事や県議会が、このことを表明し、決議することを求めます。
同時に、形を変えた企業献金である企業によるパーティー券購入や党費の立て替えも認めないことを明確にすることが必要です。
 また、癒着の手段になっている自治体幹部職員の公共事業受注企業への天下りを禁止することが必要です。天下り禁止条例を制定することをもとめます。
(四)金権腐敗政治の一掃には、県民の世論と運動が決定的に重要です。
 私たちは、県下のあらゆる個人や団体のみなさんが、政官業癒着・金権腐敗政治の一掃のために、金子知事や自民党をはじめとする企業献金依存勢力に対して、抗議と要請の声をあげていただくことをよびかけます。
 また、公共事業受注企業の献金禁止をもとめる署名運動に県民のみなさんのご協力をよびかけます。
(五)きたるべきいっせい地方選挙や総選挙で、金権腐敗や企業献金依存の政党や首長、議員に県民のきびしい審判をくだしていただくことをよびかけます。


 以上の提言を発表し、その実現に全力を尽くします。県民のみなさんのご協力をよびかけます。
違法献金の真相解明と、受注企業の献金禁止を
 日本共産党長崎県委員会が会見で発表
 2003年2月3日、日本共産党長崎県委員会は、深町孝朗県委員長、中田晋介県議、西村貴恵子県議が記者会見し、県知事選挙をめぐる違法献金問題の真相解明と受注企業からの献金禁止などを求める「提言」を発表しました。
 この中で深町県委員長は、受注企業からの献金禁止をもとめる署名活動に党としてとりくむことを明らかにしました。 
 提案の全文は以下の通りです。