日本共産党長崎県委員会は十日、政府がイージス艦「きりしま」をインド洋に派遣することについて、その中止を求めるよう金子県知事に申し入れました。
 この日の申し入れには、党県委員会の山下満昭書記長と寺田敏之常任委員が出むき、「こんどのイージス艦派遣はアメリカのイラク攻撃を支援するもでとうてい容認できな
い。あくまで、国連中心に平和的に解決することと、イージス艦『きりしま』の派遣中止を政府に要請してほしい」と申し入れ書を手渡しました。
 また、「この間知事が、アメリカのイージス艦の長崎港入港に抗議したり、米軍の五島での訓練に反対するなど、県民の立場で発言していることはよく承知している。被爆県
の知事として、イージス艦派遣についても、そういう立場で見識を示してほしい」と重ねて要請しました。
 対応した県総務部理事の松田元生氏は、「申し入れの趣旨はよくわかりましたが、外交と防衛については県としては関与できない立場です。知事にはきんちと伝えます」とこたえました。
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 申し入れ全文は下の通りです。

イージス艦「きりしま」のインド洋派遣中止を政府に要請することについての申し入れ

 政府は四日、イージス艦「きりしま」をインド洋に派遣することを決定しました。アメリカのイラク攻撃支援をにらんだ決定であることは明白です。
 いま、国際社会は、イラク問題を査察実施など国連の枠組みで平和的に解決し、戦争を回避するために懸命の努力を続けています。
 そのときに、日本がイージス艦「きりしま」を派遣しイラク攻撃に協力し、支援することは平和を願う内外諸国民に背を向けるもので、私たちは強く抗議するものです。
私たちは、イージス艦派遣決定の撤回はもちろん、すでにインド洋に展開している自衛隊を即時撤退させることを強く求めるものです。
イージス艦はその情報収集能力においてきわめて優れています。米軍はイージス艦の情報も使って攻撃するのですから、自衛隊が武力行使と一体化する危険はきわめて大きくなります。これは、政府も憲法上認められないとしてきた集団的自衛権の行使にほかなりません。戦争しないという日本国憲法を根本から踏みにじる暴挙です。同時に、これは日米軍事同盟体制をさらに重大な段階にひきあげる突破口となるものです。
小泉内閣は、昨年九月の同時テロ直後、イージス艦「こんごう」をインド洋に派遣しようとしました。その後も再三その策動を試みましたが実行できずに今日にいたっています。
それなのに、なぜいま強行するのか、ここにも重大な問題があります。アーミテージ米国務副長官訪日後では、アメリカの圧力によるとの批判を受けることを回避するねらいがあります。また実際にアメリカによるイラク戦争が始まってからの派遣は事実上困難になるという政治的判断によるものです。
ましてや今度は核兵器使用さえ辞さないといっているイラク戦争参加です。被爆国民が今度は核攻撃の加害者側に立つ危険性をはらんだものです。絶対に容認することはできません。
 核兵器廃絶を国内外に発信し続ける長崎県知事として、イラク戦争参加を意図し、場合によれば核兵器も使用されかねないイラク戦争に反対し、あくまでイラク問題は国連の枠組みで平和的に解決するよう政府に要請されるよう要求します。またこの無法な戦争参加反対、イージス艦「きりしま」派遣中止を政府に要請されますよう強く要求いたします。

二〇〇二年十二月十日
                    日本共産党長崎県委員会
                        委員長 深町孝郎
長崎県知事 金子原二郎 様
イージス艦の派遣中止を求めるように、県知事に要請