来年度予算編成にあたり長崎県民の切実な願いである以下の項目について国として対策を強められるよう要望します
        2002年8月6日 日本共産党長崎県委員会

[外務省関係]
1.米艦船の長崎港入港を中止するようアメリカ政府に要請すること。
 米海軍イージス艦カーティス・ウイルバーが6月6日から10日まで、長崎港に入港しました。同艦はアフガニスタン戦争に参加し核弾頭トマホークを積める核攻撃型の艦艇であり、被爆地長崎への入港には被爆者を中心につよい反対の声があがりました。
 長崎市長も「アフガニスタンでの軍事作戦に参加した米艦船の入港は、私たちの平和への願いを踏みにじるもの。断じて受け入れられない」と表明し、県知事は外務省や在福岡アメリカ領事館にたいし長崎港への入港をやめるよう要請しました。それでも、米艦の入港が強行されたことについて、県知事は県民向けのメール・マガジンで「被爆地長崎にどうして米艦船が入港しなければならない必然性があるのでしょうか、県民の気持ちにも著しく反するもので、両国の友好のためにも決してよいことではありません。今後、再び、アメリカの艦船が長崎港へ入港することがないよう努力して参ります」と表明しています。
 この知事の要請に応えて日本政府がアメリカ政府にたいし、これ以上被爆地長崎への米艦船の入港を中止するよう、つよく要請すること。
 どうしても入港する場合には「核兵器を積んでいないという証明書」の提出を求めること。事前協議がないから、核兵器は積んでいないはずという説明では、県民の納得はえられなくなっているので、港湾管理者として知事が「核兵器を積んでいないという証明書」の提出を求めることに、国は関与しないこと。

2.米原潜の入出港の情報を公開し入港の中止を。
 昨年9月11日のテロ発生以後、米原子力潜水艦の入出港連絡について「市民には公表しない」という態度を取りつづけています。その理由は公表すれば「テロ攻撃の危険がある」という説明です。
 そもそもテロ攻撃の対象とされ、佐世保市民に危険を持ち込むことになる米原潜の入港そのものを中止するようアメリカ政府に要求すること。入出港に関する情報公開を直ちに復元すること。

[環境省関係]
1.ごみの広域処理計画を見直し、諌早市福田町に建設が予定されているごみ焼却施設「県央県南環境センター」の建設計画はやめるよう指導すること。
 建設計画では3市21町のごみを焼却処分することになっていますが、地元では建設反対の世論と運動が大きく広がっています。「なぜよそのごみを諌早にもってくるのか。それぞれのところにいまある焼却施設を更新すればよいのではないか」「周辺市町の大量のごみが諌早に集まり、ダイオキシンなど有害物質の発生で子々孫々まで被害を受けることになる。分別収集に努め、ごみを減量化すべき」など住民の声は切実です。大型ごみ焼却場建設はやめ、循環型社会に対応するための、ごみの分別・減量化、資源化計画を早急に作成し実態に即した計画で住民の健康と生命の安全を守るようにすること。

[厚生労働省関係]
1.SSK不正受給問題について
@SSKが、生涯能力開発給付金、中高年労働力移動助成金などを不正受給したことは、多くの国民の怒りをよんでいます。このなかで国の責任も重大です。なぜこうした不正が発生したのかその真相を解明すること。
a.生涯能力開発給付金の申請期限が99年6月末でした。しかしSSKが7月26日に提出した申請書類を、なぜ国は長崎県に対して「7月2日付けで受理するように」指示されたのでしょうか。まさに国こそが不正受給を許したと批判されてもしかたがありません。真相を明らかにすること。
b.小山元参議院議員側からの行政への関与がすでに新聞報道されています。長崎県はすでに7月16日に小山元参議院議員側から「(SSKの申請を)受け付けてください」との働きかけがあったことを認めています。国への政治家からの関与の実態はなかったのか明確にすること。
A国がおこなったカラ出向の実態調査の結果は、多くの国民を納得させるものではありません。在籍出向の本質は「出向した労働者に対する指揮・命令関係の移転」にあります。この基準に照らしてSSKからの出向の実態を明らかにすること。
BSSKは4600万円(国は4500万円)のカラ出向の不正受給を認めています。しかし、国は公金が不正に受給されていることが判明した分についても、その被害を回復させるという措置をとっていません。その理由を明示すること。
Cまた、カラ出向の4600万円(国は4500万円)についての不正受給によって「SSKが利得を得た」と公式に述べています。その返還責任は下請けにあるのではなく、SSKにあることは明白です。したがって国は、事実上SSKに返還請求すべきであると考えますが、問題を整理すること。

2.各種助成金は、中小零細企業が利用しやすいように説明し、手続きを簡略化すること。
@雇用対策3事業の各種助成金は40種類以上もありますが、中小零細業者には、制度の内容が周知されていません。要望があった場合、説明会の開催に応じること。
A各種助成金の受給申請には、たくさんの書類が必要とされています。中小零細業者の場合、この書類の作成だけでも大変です。手続きはもっと簡略化すること。
以上。

3.池島炭砿閉山対策について、普賢岳噴火災害対策なみの緊急対策を実施すること。
@無担保、無保証の融資を失業者もうけられるようにすること。
A雇用対策事業を拡充すること。
B生活保護の受付処理を迅速におこなうこと。

4.原爆症の認定をいそぐこと。
 福江市松山町在住の被爆者・青山トシ子(73歳)さんは、原爆症認定申請が平成11年3月30日付通知で却下され、同年5月26日付で異議申立書を当時の厚生大臣あてに提出しました。それからすでに3年、なんの音沙汰もありません。早急に審査し結論をだすこと。また、原爆症認定の基準を抜本的に見直し被害の実態を直視し青山さんはじめ被爆者を救済すること。

5.長崎の爆心地から半径12キロメートル区域内が、新たに健康診断特例区域に指定されましたが、医療法の支給を受けられるのは「原爆投下時に拡大地域にいたすべての人が対象になる」と規定しつつも、現在も拡大区域(1市6町)に居住する人に限られることは、新たな原爆被爆者の切りすて政策と言わざるをえません。
 たとえば五島・福江市にも被爆者が多く、本土との格差はますます広がるばかりです。原爆投下時に拡大区域にいたすべての人を対象にすること。また、被爆者援護法を完全に適用した措置を講ずること。

6.老人被爆者の医療費については、地方負担を解消し、全額国の負担とすること。

7.国民年金の免除申請について。
 国民年金の免除申請をする場合、特例的な事由による場合として、A失業により保険料を納付することが困難と認められるときB事業の休止または廃止により厚生労働省が実施する離職者支援資金貸付制度による貸付金の交付を受けたとき、という項目があります。
 しかし、申請の際に失業の場合は、雇用保険の「雇用保険受給資格者証」または「離職票」等の写し、離職者支援資金の貸付を受けた場合は「貸付決定通知書」の写しなど、公的機関の証明する書類の添付が必要となっているために、社会保険がない事業所で働いていた場合、会社の都合等で短期間に事業所を変わっていたために受給資格がない場合など、失業を証明する書類がなく大変困っています。
 五島など離島では社会保険未加入事業所や、パートで働いている方も大変多く、長引く不況のため事業所の都合で社会保険から国保に切り替えられる実態もあり、この内容では、じっさいに失業しており、生活に困っているのに、添付書類がないために、免除の対象にならないなどの矛盾になっています。
 現在のままでは、失業者の中で、雇用保険受給者を対象にした免除の規定となっているのではないか。事業主の証明などを、添付書類として認めるなどの対策をとること。

[国土交通省関係]
1.ことし長崎市は7.23長崎大水害20周年を迎えました。しかし現在、急傾斜地崩壊危険箇所1,040カ所に対して、安全整備率はわずか16%程度にすぎない現状にあります。従って、国は住民の安全を守るために防災予算の抜本的な増額を図ること。また、急傾斜地崩壊危険箇所に指定された区域の工事に対する地権者の同意が得られる特別の対策を講ずること。

2.修学旅行生が集中する長崎市への航空運賃等については、特段の軽減策を図ること。

3.平成15年度から規制が強化される鉛水道管の取り換え費用に国の支援策を講ずること。また、高台地区を多く抱える長崎市における水道管の取り換え工事にたいして国の財政支援策をおこなうこと。

4.西海橋まわりの長崎〜佐世保間の直通バス路線の復活のための支援策を講じてください。
直通バスが廃止されて、とくに通学やお年寄りの通院に多大な被害がでています。県民の足を守る立場で、直通バスの復活のために国の支援策を講じてください。

5.本明川ダム建設計画を中止し、環境保全の水源涵養等対策事業で洪水対策をすすめ、住民の防災・安全を確保すること。
@事業費500億円という莫大な経費をかけてつくる本明川ダムは「ピーク時で水位を約60センチ低下させる効果」と言われています。それだけの経費をかけて広葉樹の植栽をすすめれば、環境は保全され、雨水は地下水として保水・涵養され、洪水を防止することができます。環境を破壊する本明川ダム建設計画は中止し広葉樹植栽事業や河川改修等の防災対策に切り替えること。
A本明川は河川の長さが短く、暴れ川と言われています。広葉樹の植栽で保水能力が高まれば、雨水が一気に流れ込むのを防ぎ、市街地の洪水対策にもなり、大きな防災効果をあげられます。住民の生命と財産を守る責務を果たすことにもなります。
B本明川に流れ込む小河川の整備を急ぎ、市街地の浸水対策を急ぐこと。

6.諌早湾干拓事業は、諌早市の防災対策には役にたちません。諌早市内の防災には、本明川の堤防の嵩上げや改修、低平地浸水対策として、必要な箇所に強力な排水ポンプを増設すること。
以上。

[農林水産省関係]
1.諌早湾干拓事業は、諌早市の防災対策には役にたたず、税金のムダ使いになるので、直ちに中止すること。
@排水門の短期開門調査の結果をすみやかに公表するとともに、早急に中・長期の開門調査を実施すること。
A前面堤防の建設は中止すること。
B諌早市内の防災には、本明川の堤防の嵩上げや改修、低平地浸水対策として、必要な箇所に強力な排水ポンプを増設すること。
C排水門を開け、海水を入れ干潟を再生させることが、有明海の潮潮汐を元にもどし、有明海の再生をはかることです。
D農林水産省官僚の諌早湾干拓事業受注企業への天下りをやめること。

[防衛庁関係]
1.自衛隊艦船のインド洋への派遣を即刻中止すること。
国際法にも道理にも反する不当なアフガンでの米軍戦闘がなお続けられ、罪のないアフガン市民が殺りくされています。この米軍支援のために、すでに第5次にわたる自衛隊艦船がインド洋に出動しています。憲法違反の自衛隊戦時派遣を即刻中止すること。

2.「有事即応部隊」は直ちに廃止すること。
わが国初の「有事即応部隊」において、わずか発足以来数ヶ月の短期間に3人もの隊員が自殺するという異常な事態が早くも発生しました。「何をやっているのか不気味だ」と周辺住民の不安が起こるのも当然です。職務や訓練との関連など、原因究明を行うこと。「専守防衛」のわくをふみこえる部隊は、直ちに廃止すること。

3.米軍優先の協定を見直すこと。
全国知事会が「地位協定見直し」要求を行うなど、思想・信条、政治的立場を越えてその声が広がっています。特にそのもとでの@SSK第三ドック米軍優先使用協定見直しと、Aイーズメント撤廃は急いで解決すること。

4.米軍基地の整理縮小と返還を求めることについて以下の要求をおこないます。
@佐世保市が要求している佐世保基地に関わる「新返還6項目」にこたえること。
A弾薬庫の新設を止めること。弾薬庫は無条件で返還すること。
B県有地提供による米軍住宅増設を中止すること。
CEMクラブ跡地に予定されている米軍将校住宅建設計画を中止すること。
D米軍専用岸壁建設計画を中止すること。立神岸壁は無条件で返還を求めること。
E西海町へのLCAC基地建設を中止すること。
                           以上。
2002年度
 日本政府への要求項目
外務省  環境省  厚生労働省 
国土交通省  農林水産省 防衛庁