国の調査でも明確に

 家電リサイクル法(注)に伴う消費者負担が本土に比べて重い離島の問題で、環境省は昨年十一月に離島等条件不利地域の調査をおこない、このほど調査結果の内容が明らかになりました。同省が日本共産党の赤嶺政賢衆議院議員の求めに提出したものです。
それによると、奄美大島では二百五十g以上の冷蔵庫で、リサイクル料(四千六百円)とは別に収集・運搬料金が八千四百円、宮古島で六千円など、メーカー指定引き取り場所までの収集・運搬料金の負担の大きさが、国の調査でも明確になっています。また、高額の運搬料金からも不法投棄増大への懸念が共通したものとなっています。
 同調査は、全国の代表的な離島における収集運搬料金、指定引き取り場所までの所要時間等に関する電話での聞き取り調査をおこなったうえで、消費者や自治体負担の大きい地域に該当した長崎県対馬、鹿児島県奄美大島、沖縄県宮古、八重山など六地域について現地調査を実施。
 現地調査では、自治体担当者や家電販売業者、運搬業者などから家電リサイクル法施行後の状況に関するアンケートと直接聞き取りをおこない、収集・運搬にかかる問題点や現在おこなわれている対策と今後の対策、対策後見込まれる効果などについてまとめています。
 今回の環境省の家電リサイクル法における離島調査は、日本共産党はじめ、各議会や業者などが家電リサイクル法施行直後から過重負担の解消などを求めて粘り強く要求した結果、実ったものです。
 昨年五月には、日本共産党の長崎、鹿児島、沖縄の各離島の市議がそろって環境省と経済産業省に、深刻な実態を訴え負担の軽減や指定引き取り場所の設置を求めて要請をおこないました。
 今回の調査報告の大きな特徴は、国の調査として、離島における廃家電の収集・運搬料金の過重負担が明確になったことです。
 「離島であるため運搬費が高い」(対馬地域)、「家電リサイクル法は、離島を見捨てた法律」(奄美地域)、「指定引き取り場所を設置して住民の負担を軽減してもらいたい」(宮古地域)、「収集運搬料金が高く、消費者の理解が得られず立替払いをよぎなくされることが何度か発生」(宮古地域)、「石垣島から那覇までの輸送費を負担している」(竹富町)など業者や自治体が輸送方法や保管、広報活動に努力しながらも、対応に苦慮している様子がうきぼりになっています。
 輸送費の割高による不法投棄増大の懸念が共通したものとなっていることも特徴です。「使用済み家電を排出せず、自分の山などにもっていっている人もいる」「不法投棄をあおるような法律は是非見直してほしい」など不法投棄増大にたいする心配、不満の声もあがっています。
 また、報告書では、調査をふまえ「円滑な家電リサイクル実現のための対策」として島内保管や海上輸送における対策など八項目が示され、検討課題とされていますが、いずれの対策も効率的な手立てを求めているにすぎず、国としての助成などについては一切ふれられていません。今回の調査では、離島ではいくら効率的な保管や輸送の手立てを尽くしても、メーカー指定の引き取り場所がない限り、排出者の海上輸送費はまぬがれないことが明らかになったと言えます。それだけに離島での過重負担解決のむけ、当面の緊急措置として、国の助成などの支援策が急務です。
 そして、日本共産党が求めているように、リサイクル費用、収集・運搬費用の負担をふくめ、家電メーカーの責任で廃棄物を処理するという考え方にたって抜本的に見直すべきです。

(注)家電リサイクル法

 二〇〇一年四月に施行。テレビ、洗濯機、冷蔵庫、エアコンの家電四品目を廃棄するのに消費者負担を導入。全国一律のリサイクル料金に加え、廃家電をメーカーの指定引き取り場所まで運ぶ収集・運搬料金も消費者が負担。指定引き取り場所のない離島では、全国一律のリサイクル料金に加え、本土や本島への船賃分を上積みされた高額の収集・運搬料金を消費者が負担しなければならないことから大きな問題になっています。
 (日本共産党衆院九州沖縄ブロック事務所 江田昭弘) 

家電リサイクル法で離島に重荷
「しんぶん赤旗」6月24日