非核敵視発言と米イージス艦入港に関する申し入れ

一、福田官房長官が五月三十一日、核兵器の保有について「憲法上、理屈からいえば持てる」とし、非核三原則についても「国民世論が核を持つべきとなれば、変わることもあるかもしれない」と述べました。小泉首相は、非核三原則について「今は考えない」としながら、「それは国民がどう(判断)するかということだ」と述べ、官房長官発言を否定しませんでした。
 わが国に投下された原爆は、一瞬にして何十万もの人々の命を奪い、生き残った人を原爆症で苦しめつづけています。この被害が地球上で三度繰り返されてはならないと、日本は「核兵器を持たず、つくらず、もちこませない」の非核三原則を国是としてきました。核兵器の残虐さを体験した長崎県民は、県をはじめすべての市町村で、核兵器の廃絶と非核三原則の法制化などを求める「非核自治体宣言」をおこなっています。
 この非核三原則を敵視する被爆国・日本政府首脳の発言は、核戦争と核兵器の廃絶を願う被爆者や長崎県民、日本国民を愚弄し、核兵器を廃絶しようという世界の流れに逆行する、暴言です。
 これは単なる失言や思いつきの発言ではありません。それは、いまアメリカの戦争に日本が参戦し、国民を強制動員する有事法制の強行をはかろうとしているのと一体のものです。また、イラク、北朝鮮などを「悪の枢軸」として、核攻撃も辞さないというアメリカの核兵器使用計画が背景にあります。各国政府がこれを批判しているのに、小泉首相は批判するどころか、「悪の枢軸」論に賛辞を送り事実上支持しています。今回の非核三原則敵視発言は、ブッシュ政権の核兵器固執政策に追随する小泉内閣の危険な実態を示すものです。
長崎県は「自由と平和の尊厳に関する長崎県宣言ー核兵器の廃絶を願って」を宣言し、知事自身三月議会で、世界恒久平和の実現と一日も早い核兵器廃絶を目指す」と発言しています。
 金子知事が、@被爆県の知事として、県民の平和と安全を守る立場から、この政府首脳の発言に対して厳しく抗議すること、A政府がこの発言を撤回し、非核三原則を厳守し、核兵器廃絶のために、イニシアを発揮すること、を申し入れるよう要求します。
 
二、 長崎県は五月三十日、米海軍イージス艦カーティス・ウィルバー(九一〇〇トン)が六月六日から十日まで長崎に入港すると発表しました。この艦船は、昨年のアメリカにおける同時多発テロ以降、アフガニスタンでの軍事作戦に参加した最新鋭のミサイル駆逐艦で、核搭載可能な巡航ミサイル「トマホーク」を装備しています。
 アメリカ軍は今もアフガニスタンへの軍事作戦を継続しており、イラクに対しても軍事作戦の準備をおこなっています。また核保有国であるインドとパキスタンの関係が、核兵器の使用さえ懸念される緊張状態になっています。こうしたなかで、アフガン戦争に参加した艦船で、核兵器搭載の可能性さえあるミサイル艦が被爆地長崎に入港することは、核廃絶と平和を願う長崎県民に対する許しがたい挑戦です。また、先に述べたように、小泉内閣がアメリカの軍事作戦への追随を強めているだけに、この入港は近隣諸国に新たな緊張感をもたらすものです。
 アメリカ軍の乗組員の休養のためや、地位協定をタテにしても、入港は絶対に受け入れるべきではありません。長崎県が、被爆県の港湾管理者として、被爆県民の願いと県民の安全、アジアの平和をまもるために、きっぱりと入港を拒否することを要求します。
   二〇〇二年六月三日
                        日本共産党長崎県委員会
                          委員長 深町孝郎
長崎県知事
金子原二郎 様
「核兵器は持てる」などの暴言問題で
 金子県知事に申し入れ
 党県委員会は6月3日、核問題での暴言をめぐり長崎県知事に申し入れを行いました。
 以下はその全文です。