2002年5月14日(火)「しんぶん赤旗」

諫早干拓 ムダづかいの根源に

公共事業めぐる政官業癒着

小沢議員暴露の献金リストにくっきり


 日本共産党の小沢和秋衆院議員が十三日の記者会見で暴露した、諌早湾干拓事業の受注企業から自民党への献金リストは、公共事業をめぐる政官業の癒着構造を鮮明に浮かび上がらせました。「宝の海・有明海」異変の原因とされ一刻も早い干拓中止が叫ばれながら、一向に止まらない根源に、こうした企業献金があります。

ムネオ疑惑とおなじ構図

 受注企業からの献金は、諌早湾干拓事業にたいする見返りといわれても仕方ありません。ムネオハウスをめぐる鈴木宗男議員の口利き疑惑とおなじ構図の“諌早湾干拓事業版”。

 しかも、自民党国会議員から長崎・熊本県連までどっぷりつかっています。諌早湾干拓事業の旗振り役をつとめている長崎県の自民党県連は受注企業からの献金が企業・団体献金全体の半分(49・8%)におよんでいます(熊本県連は22・1%)。(表1)

表

 公共事業を食い物にする同党の構造的な腐敗体質がはっきりあらわれています。

 受注企業の中には、建設省(当時)発注の指名競争入札の参加者選定をめぐって中尾建設相(同)に三千万円のわいろをおくった(一九九六年)若築建設も含まれています。

有明海再生に干拓中止不可欠

 干拓事業即時中止を訴える漁民らの世論、事業見直し第三者委員会(時のアセス)の「環境に配慮した見直し」提言を受けて、農水省は一定の見直しを迫られました。

 排水門の常時開放を拒否、東工区の干拓をやめるだけで西工区の農地化をあくまですすめるというものです。

 かつての諌早湾干潟は、ほとんどがいま西工区になっています。この農地化を強行すれば干潟の回復はのぞめません。

 排水門常時開放、干拓事業の中止は有明海を「宝の海」としてよみがえらせるために不可欠です。

事業続ければ430億円のムダ

 農水省は、見直しにならない事業見直し、短期開門調査でお茶を濁し、「2006年度事業完了」をめざしています。しかし、このまま事業を続ければ約四百三十億円もの税金ムダ遣いになることが、農水省自身の試算でも明らかになっています。

 干拓事業費は総額約二千五百五十四億円。一方、事業完成による効果の総額(妥当投資額)は、約二千百二十五億円で、その差額は約四百三十億円にのぼっているのです。

 「費用対効果」も、土地改良法で定める事業成立要件の一・〇を下回り、〇・八三となりました。(表2)

公共事業受注企業の献金禁止は急務

 公共事業の原資は、国民の血税です。見返り献金は、行政を私物化するわいろそのものであり、税金の“横取り”以外のなにものでもありません。

 そう疑われても仕方ない公共事業受注企業の献金は、一刻も早く禁止すべきです。

 日本共産党は、公共事業受注企業の献金を常時禁止する政治資金規正法改正案を、他の野党とともに衆院に提出しています。この実現は急務中の急務です。