SSKの不正問題で長崎県に申し入れ
       SSK不正問題での申し入れ

 佐世保市の基幹産業で日本の造船産業の準大手企業として、地域経済を担ってきた佐世保重工業(SSK)が、下請け業者から下請け代金の不払いで告訴されました。
 この告訴が契機になってSSKの国の助成金の不正受給が明らかになり、三月十二日、姫野有文社長が記者会見して、不正受給を認めました。
 二〇〇〇年から二〇〇一年に生涯能力給付金、三億七千七百万円を受給(「カラ教育」・利子含め約三億九千万円を返済)、「出向の事実がないのに、SSK労働者を下請け企業への出向したように装う『カラ出向』で中高年労働移動支援特別助成金の受給(二十一人分の四千五百万円だけ認めている)という、悪質な手口で数億円にのぼる莫大な国の助成金をだましとっていた問題は、企業としてあるまじき犯罪行為です。
 「カラ教育」と「カラ出向」の全容を解明し、新たに浮上した「休業助成金」の不正受給の全容解明が、急がれています。
 受給の窓口である県や、国の機関である「雇用・能力開発機構長崎センター」の告訴は当然ですが、全容があきらかにされないなかで県は、公共事業の指名停止を決定しました。
 姫野社長は、「自分は、知らなかった」としていますが、多くの関係者が「社長による指示だった」と社長の関与を証言しています。姫野社長は、記者会見以後、謝罪もせず「営業をしている」という口実で行方をくらましています。SSK自らの社会的責任を放棄し、信頼を大きく失墜させた責任は重大で、「トップの前近代的で高慢体質そのもので許せない」、「この際、徹底的にウミを出し、現経営陣の総退陣と経営の刷新を」との声は、当然です。
 日本共産党長崎県委員会は、助成金不正受給の徹底した解明を急ぐとともに、SSKが異常な労働者・下請けいじめを一掃し、労働者、下請け業者のくらしと営業を保障し、企業としての社会的責任を果たすことが重要だと考えます。
 同時に、この問題で国や県は、責任を免れることはできません。県が県民生活に責任を負っている自らの責任を自覚し、真相解明に力を尽くし、SSKが、県北の基幹企業としての社会的責任を果たすよう求めることは、当然のことです。以上の点をふまえ、左記の点について知事に申し入れます。

                      記

一、長崎県議会が意見書で「補助金などの執行及び検査確認にあたっては、これまで以上に厳正に対応せよ」と指摘しています。県は「カラ教育」の検査日をSSKの求めに応じて知らせ、口裏あわせ(偽装工作)を可能にしました。 また、訓練中は、出せないことになっている「危険手当て」を支給したり、書類審査だけですませるなどは、まさに県と企業が癒着しているといわざるをえません。
一、県の責任を明確にし、今後、企業との癒着を許さない対策を講じることをもとめます。不正疑惑の全容や経営の責任が明らかにされていない現状で、県は、公共事業の指名停止五カ月を決定しました。「決定は、時期尚早」「他の指名停止と不公平」などの批判があがっています。
一、一日も早い全容解明に、全力を尽くすべきです。県北経済への不安がひろがっている中で、SSKの労働者や下請け業者の要求や立場にたって、対策を講じるべきです。
 先の長崎県知事選挙でSSKが、金子知事当選のために労使一体の異常な企業ぐるみ選挙を行ないました。  これは、憲法が保障している、労働者の職場における自由や民主主義をふみにじるものであり、SSKと県の癒着をひき起こすひとつの背景になっています。又自治体と企業の関係をゆがめる要因でもあります。   これに対する県知事としての責任を明確にし今後は、企業ぐるみ選挙をやめさせるべきです。
                                              以上
   二○○二年 四月十九日
                             日本共産党長崎県委員会                                      委員長  深町 孝郎
長崎県知事
  金子 原二郎  様
 日本共産党長崎県委員会はSSKの不正問題で、4月19日に県知事に申し入れを行いました。申し入れは、深町孝郎県委員長、中田晋介県議、西村貴恵子県議、山下千秋元佐世保市議の4氏が行い、県側は横田修一郎商工労働部長が対応しました。以下は、申し入れの全文です。