老人医療費無料化の復活めざす、香焼町の運動
(「しんぶん赤旗」2001年6月14日掲載文です)

香焼町で、公明などが三月議会で老人医療費無料化廃止を強行、連絡会つくり無料化復活署名すすむ 

 保守町政にかわって十四年。日本一の福祉の町といわれた長崎県香焼町で三十年間続けてきた老人医療費無料制度など、町独自の福祉や医療施策がほり崩されようとしています。同町では、この冷たい町政に対し「福祉と暮らしを守れ」の大きな運動が広がっています
。(長崎県・田中康記者)

  
 「憲法を暮らしのなかに生かそう」と、保守町政にかわっても町民が守り続けてきた老人医療費無料制度。「少ない生活費の中で、病気になっても安心して病院にかかれるように」と、六十五歳以上のお年寄の医療費や負担金を助成しているものです。

 「財政危機」を理由にこの制度を突然廃止したのは今年の三月議会でのこと。公明・民主・保守系十人の議員の後押しで強行可決しました。老人医療費無料化のための新年度予算(六千万円)を計上した上での抜き撃ちで、町民にとって寝耳に水の話でした。

 しかも、「町が沈没する」といって、高齢者祝金や就学援助制度、高校生の通学費半額助成など、独自の社会保障制度すべてを狙い撃ちする計画です。(広報・特集号)

 毎日通院し、月四万七千円の年金で暮らす七十八歳の女性は、「介護保険に二千円取られ、生命保険も解約しました。一回の病院代は弁当二食分ですよ」と不安を訴えま
す。
 香焼民主診療所の福田逸留事務長は、「五月まで無料だったのに六月からは、外来四回で月三千円(科ごとに)、ひと月入院で三万七千円(七十歳以上)の新たな負担で
すよ」と、今後の受診抑制を心配しています。

  
 香焼町の福祉制度は、もともと税収が激減した時代に生活支援のためにつくられた制度です。「自らの失政のツケを町民に回すな」と指摘する日本共産党の津村国弘町議
は、「七年前、見込み違いの試算で引き下げた三菱の固定資産税を、元に戻すだけで二億円の税収。無料化復活や独自の福祉制度を守るのに必要な予算は一億一千万円にすぎない」と、制度の復活は財政的にも可能である
ことを強調します。

 無料化廃止の旗を振ってきた公明党のやり方に、創価学会の人も怒っています。なかには、「国会でも香焼でも、公明党は弱い者いじめ。がまんできない」と、制度の復活を求めて学会仲間を回って懸命に署名に走っている人もいます。

 同町の役場職員組合、生活と健康を守る会、新婦人香焼支部など六団体と、日本共産党議員団三人(津村国弘、岩橋宏、丸山一日出)、大久保美千江の四町議でつくる、「『老人医療費の無料化』の復活を求める町内連絡会」では、これまでに三種類のチラシを全戸に配り、懇談会や対話をすすめてきました。請願署名もすでに目標の千五百を突破、現町長が昨年の選挙で集めた千八百余票を上回ろうとがんばっています。

 十八日には、「医療費助成を元に戻すことを求める請願」が審議される町議会が始まります。