サ−ビス残業解消への指導の徹底についての申し入れ  

 厚生労働省は四月六日、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずるべき措置に関する基準」を都道府県の労働基準局長に「通達」を送付しました。
 明確なる犯罪行為であるサ−ビス残業が横行している背景には、企業が労働時間の把握を労働者の自己申告にまかせる一方で、「残業代の申請は上司の許可が必要」「予算枠は月の二十時間以内」などの規制をしていることが広く指摘されています。また、残業代を請求すると「能力がないからだ」と、労働者の尊厳を無視し、昇進や賃金査定にマイナスとなることから、労働者は請求をしたくてもできず、泣く泣くただ働きをさせられているのが現状です。「通達」はこうした実態をふまえ、まず、使用者に労働者の日々の始業・終業時間を確認し記録する責務があることを明確にしています。始業・終業時間の確認方法は、使用者が直接確認をする、またはタイムカ−ド、ICカ−ド等客観的な記録を基礎とすることを原則とし、前者の場合は当該労働者から確認することを求めています。
 とくに「通達」は、残業時間の自己申告の場合について三点にわたり使用者が講ずるべき措置を示しています。第一に、労働者に対し適正な自己申告を行なっても不利益な取り扱いが行なわれることがないこと等を説明すべきであること。第二は、労働時間が適正に把握されているか否かについて、労働者や労働組合などから把握が適正に行なわれていない旨の指摘がされた場合は、実態調査を行なう必要があること。これは事実上、使用者が管理する労働時間台帳の閲覧権を労働者に認めることになります。第三に、労働者の残業時間の申告を阻害する目的で残業時間数の上限を設定したり、残業時間削減の社内通達や残業代の定額支払いを改善すること、などサ−ビス残業解消へかってなく踏み込む内容となっています。
 これまで多くの労働者はサ−ビス残業の是正を求めてきました。労働省は昨年電機大手製造業に監督指導をおこないました。この「通達」はこうしたことを背景にするものです。
 日本共産党は、衆院・参院の本会議をはじめ委員会などで、サ−ビス残業問題を九七年以降八七回とりあげてきました。また、二000年三月、労働時間を把握し記帳する義務を使用者に負わせ、サ−ビス残業が発覚した場合には重い制裁金を科す「サ−ビス残業根絶特別措置法」を衆議院に提出しました。
 こうした立場から、貴職が、今回の「通達」を長崎県内の使用者に周知徹底されるよう申し入れ、以下の点で文書回答されるよう求めるものです。

          記

一、「通達」にもとづき、サ−ビス残業解消のために、長崎県内の使用者にどう周知徹底・改善をされる    ようとしているのか。
二、「通達」を厳守しない使用者には、使用者(企業名)を県民に公開すること。
三、「通達」の内容を公務員(国家・地方)の分野でも厳守の対策をとること。
四、「通達」の厳守・徹底のために労働基準監督官の増員を国に要求すること。

  二00一年四月二十七日
                            日本共産党長崎県委員会
                              委員長  深町 孝郎
  長崎県知事    金子原二郎様