日本共産党長崎県委員会が2001年2月19日行った、「米原潜衝突事故の原因究明と佐世保寄港の中止を求める申し入れ」の全文は以下の通りです。
 米原潜衝突事故の原因究明と佐世保寄港の中止を求める申し入れ

 ハワイ沖で米原潜が宇和島水産高校の実習船に衝突して沈没させ、高校生を含む九人が行方不明になっています。現在なお、わからないという状況に多くの国民が胸を痛めています。
 わたしたちは人命救助と事故原因の徹底究明を強く求めるものです。今回の事故は長崎県民にとっては、とても人ごとではありません。
 長崎県の水産高校も事故がおこったハワイ沖で実習をおこなっています。長崎県は原潜が寄港する日本の三つの港の一つである米軍佐世保基地を抱えています。その寄港回数は年間十数回におよんでいます。また長崎県水域は好漁場で、たくさんの漁船が行き交っており、他地域にくらべても、原潜事故に遭遇する条件をもちあわせています。現実に、今回「起こり得ない事故」がおこったのです。
 今回の事故で、民間人が急浮上訓練に関わっていたこと、原潜が実習船乗組員の救助をおこなわなかったことなど、米軍のひどい人命軽視・安全無視の態度があきらかになっています。こうしたことは、今回に限ったことではなく、九四年の佐世保港での米軍フリント艇による漁船あて逃げ事件、八一年のポラリス型原潜による日章丸あて逃げ事件、さらにいま沖縄をはじめ日本各地で繰り返しおきている米軍の横暴さなどと共通するものです。
 長崎県民の生命と安全を守るためには、今回の事故がどうしておきたのか、事故後なぜ救助しなかったのかなどの真相の解明とその公表が必要です。
 長崎県は「国策だから」ということで、米原潜の寄港を容認してきました。今回の事故は、県民の安全を守るという地方自治の立場から、原潜の寄港問題を根本的に再検討すべきことを示しているのではないでしょうか。沖縄では「海兵隊削減」決議を県議会が全会一致でおこない、さらに「海兵隊撤退」をもとめる動きも生まれています。三沢市(青森県)、大和市(神奈川県)、綾瀬市(神奈川県)、岩国市(山口県)などでも、従来の米軍との友好関係を見直す動きがでています。そこに共通しているのは「地方自治の立場から、住民の安全を守ることを、部分的であっても国策よりも優先させる」ことです。これこそ今日の新しい流れではないでしょうか。
 以上の立場から次のことを強く要望するものです。
一、救助に全力をつくすようもとめること。
一、政府を通して、事故原因の徹底究明、事故後なぜ人命救助行動を行わなかったのか、これら の真相の公表をアメリカに要求すること。
一、アメリカに事故再発防止策を明確にさせ、近海や漁場で緊急浮上訓練を絶対に行わないこと を要求すること。
一、佐世保港への原潜寄港の中止をもとめること。
                                   以上。
 二〇〇一年二月十九日
                         日本共産党長崎県委員会
                            委員長 深町 孝郎
長崎県知事
金子 原二郎 様
1998年10月12日、佐世保港を出る今回の事故を起こしたグリーンヒル