日本共産党長崎県委員会は19日、有明海のノリなどの不漁が大問題になり、佐賀、福岡、熊本の漁民とともに長崎の漁民も行動に立ち上がったことを受け、県に対して申し入れを行いました。
 この申し入れには、山下満昭書記長、西村きえ子県議、小川きみ子国会議員団県事務所長、福岡洋一諌早市議が参加しました。
 以下は申し入れ文の全文です。




有明海の漁業をまもるために、諫早湾の排水門をただちに開けることの申し入れ

 有明海の漁民は元日から漁船二〇〇隻、八〇〇人が参加して、「宝の海を返せ」「汚水をながすな」「干拓事業中止」を求めて諌早湾で海上抗議行動をおこないました。つづいて十三日にも、漁船約三百隻の一大抗議行動を展開しました。
 佐賀県東部地区漁協青年部会長は「潮受け堤防の閉め切りと調整池から汚濁水で赤潮が多発し、被害は有明海全体に広がり、ノリの収入は例年の約三割という記録的な不漁となった。干拓事業を中止し排水門を開く交渉に応ずるよう要請する」という抗議文を九州農政局の諫早干拓事務所に手渡しました。長崎県でも、瑞穂町、国見町、有明町、島原市のノリ養殖業者に深刻な影響を与え、生産量は昨年同期の七割程度に落ち込み、「色落ち」は沖合ほど激しくなっています。
 佐賀県有明水産振興センターは、一月七日、佐賀県沖のノリ養殖場八カ所で海水を採集、栄養塩類の濃度を調査しました。その結果、窒素は一リツトル当たり平均三〇マイクログラムで、同じ時期の平年値一三〇マイクログラムの四分の一しかなかったことが判明しました。ノリの生育はリンよりも窒素に大きく左右され、健全な生育には一〇〇マイクログラム以上が必要とされています。七〇マイクログラムを下回ると「色落ち」が始まり、商品価値が下がるといわれています。
 潮受け堤防閉め切り後、諫早湾周辺のタイラギ漁は八年連続休漁に追い込まれ、漁民は厳しい生活を余儀なくされ、漁民やノリ養殖業者からは「諫早干拓との因果関係」の科学的解明を求める声と行動が強まっています。
 潮受け堤防外側の小長井町沿岸で昨年八月、赤潮などが原因で養殖アサリが大量死しました。赤潮は有明海一帯で発生し、漁民からは干拓事業と赤潮との因果関係を指摘する声があがり、「人災」との怒りの声もでています。有明海の漁場環境は極端に破壊され、ノリ養殖業者をはじめ漁民の生活はゆきづまっています。
 日本共産党は、昨年四月十四日、「諫早湾干拓潮受け堤防閉め切り三周年にあたって」を発表し、諌早湾干拓事業は貴重な干潟を奪い、有明海の漁場を破壊する無駄な公共事業であることを指摘し、「排水門を開けて潮を入れ、調整池の水質浄化と干潟の再生」を強く要求しました。事態は、われわれが指摘したように、ますます深刻な状況になっています。貴職が漁民や県民の声を真摯にうけとめ、左記の点に誠実に対応されるようあらためて申し入れをおこなうものです。


一、被害の原因が特定されるまで、ただちに排水門を常時開放する措置をとること。
二、生産者救済のため、仕込み資金や生活費などの助成や無利子融資を国に要求すること。同時に県 独自の予算措置を講ずること。
三、タイラギ、アサリ、ワカメ、ノリなどの不漁や赤潮多発と、諌早湾干拓の因果関係をいそいで解  明し、関係者をはじめ県民に公表すること。あわせて有明海の本格的な漁場環境調査を実施し、  県民に公開すること。
四、干拓事業そのものを見直し、中止を検討すること。

二〇〇一年一月十九日
                             日本共産党長崎県委員会
                                委員長 深町 孝郎
長崎県知事 金子原二郎 様