2008年2月13日
少子・高齢対策特別委員会での堀江県議の質疑
 
 高校の統廃合について


【堀江委員】
 高校の統廃合について、質問したいというふうに思います。高校改革推進室長の説明の経済状況等実態調査についてです。

 調査を実施しない理由の1番目に、「地域の経済状況については、一定の判断ができる」というふうに理由を述べております。
 しかし、各高校の授業料の減免状況とか、要保護及び準要保護児童生徒数ということについては、統計として出ている分で私も理解いたしますが、労働統計、各種経済統計というのは、五島市ということで、一定全体で富江高校の地域、旧富江町ということではなかなか統計的には厳しいのではないかというふうに私は思うんですが、その点についてどうなのかということが1点。

 それから、判断ができるというふうにしているんですが、どういう判断をしているのか、このことも教えていただきたい。

【北浦総務課高校改革推進室長】 1点目ですが、委員ご指摘のとおり、労働統計、経済統計については、五島市が対象になっておりますので、あくまでも私どもは参考として、五島市の一部である富江地区についても似たような状況ではないかと考えております。
 より具体的には、先ほど申し上げたような生徒の置かれた状況が中心になると思いますので、高等学校の授業料減免状況であるとか、小中学校の要保護及び準要保護の児童生徒数の資料によって判断し、もう一つは、地元説明会の中で何人もの方から、とにかく五島の経済状況は厳しいんだ、仕事もないんだ、公共事業もないんだということでお聞きしておりますので、そういう声からも、本土地区に比べて厳しい状況であろうということは判断しております。

【堀江委員】 そうしますと、地域の経済状況について一定の判断ができると。この一定の判断というのは、今、高校改革推進室長の言葉をかりれば、厳しい経済状況にあるという認識をしているということで理解をしていいですか。

【北浦総務課高校改革推進室長】 そのとおりでございます。

【堀江委員】 今回、「富江高校の存続を求める会」が状況調査をいたしております。この内容について見解が述べられませんでしたが、そのことについて質問したいというふうに思います。
 この状況調査結果の2枚目です。問6、「仮に、富江高校が閉校となった場合に、通学手段及び経済的理由などにより、旧福江市内の高校に進学させることは出来ますか」。最初のお答えでは「出来る」が、人数として70人の48.6%、半分の方が「出来る」と、残りの半分の方が「出来ない」、「現在検討中」ということで、その後、「現在検討中」という人が、さらに細かく再分類されております。その結果、図表でいいますと3番目の図表ですが、「進学させることが出来るか」という問に、「出来ない」と答えた方が46人の31.9%、そして、その上でさらに「検討中」と答えた方が4人の2.8%、この数を足しただけでも人数としては50人、34.7%の皆さんが、これはできないんだと明確な意思表示をいたしております。
 私は、「出来る」と答えた皆さんも厳しい経済状況の中で、これは無理して子どもたちを何とか高校に進学させるんだと思います。その上であっても3割の皆さんが、これはもうできんというふうに明確に、このアンケートの結果から見ると意思表示をしているというふうに私は思っているんですが、この問6について高校改革推進室長としてはどういう見解なり、分析なりをお持ちなのか、この状況調査結果についての説明はありませんでしたので、お尋ねしたいと思います。

【北浦総務課高校改革推進室長】
  この資料については、私どもとしては実施しないという考えで言ったわけですが、「富江高校の存続を求める会」、具体的にはPTA会長名でということでお聞きしておりますが、そういうお立場で調査をなさった結果と認識しております。

 その問の6「仮に、富江高校が閉校となった場合に、通学手段及び経済的理由などにより、旧福江市内の高校に進学させることは出来ますか」についての回答のうち「出来ない」が、当初18.1%であった。
 その再分類の結果増えているというのが、再分類というのが、きのういただいたばかりで、無記名でのアンケートであったと聞いておりますので、どういうふうに再分類されたのかよくわかりませんが、結果として3割強があられるということなんです。

 先ほども申し上げましたけれども、募集停止により経済的に影響があるというのは、富江高校であれ、あるいは五島海陽高校であれ、授業料や学校に納めるお金、諸納金については、差はあっても、県内どこの学校でもほぼ同じような状況ですので、富江高校が募集停止後負担が増えるというのは、通学費が中心になると思います。

 その中で通学費は、県下全体に遠距離通学費補助制度というのがあるんですが、一番下に参考として1ヶ月バス定期代2万4,480円とありますが、これが実際は遠距離通学費補助制度によって3,200円は補助があって、負担額としては正確な数字ではないと思いますが、それでもやはり二人も2万幾らの通学費を出してやれないという声は何人かからお聞きしました。
 そこで、やはり経済状況も厳しい富江地区については、今までの現行の遠距離通学費補助制度ではなく、通学体系の見直しも考え、より負担を軽減できるような方法はないかということで、具体的に検討しておるところでございます。

 ただ、内部だけでできるものではありませんので、まだ調整中でございますが、具体的にお示しできる段階では、ぜひ地元の関係の皆様にお示しして、さらに理解を求めたいと考えております。
 以上です。

【堀江委員】
 そうしますと、今の高校改革推進室長の答弁を私なりに理解をいたしますと、「旧福江市内の高校に進学させることは出来ますか」という問に、「出来ない」と答えた方々が最終的に34.7%いると。
 しかし、こういう人たちは、通学費の補助をすれば通学は可能なんだと、そういう認識を持っているということですか。

 これは、「出来ない」と答えた方が4割ぐらいいるんですね、34.7%いるんですが、富江高校を閉校することによって、この34.7%の子どもたちがもう高校に通えなくなると、私はそういう認識をしているんです。
 ですが、高校改革推進室長としては、いや、そうじゃないと、現在ある県の通学費の補助を、現行制度ではなく、さらに見直せば34.7%の子どもたちは進学できるんだと、そういう認識を持っているということですか。見解を私は聞いたので、もう少しその辺を教えていただけますか。

【北浦総務課高校改革推進室長】
 通学費については、先ほど申し上げたようなことを検討しているということで申し上げましたが、いわゆる生活困窮世帯については、現行でも授業料減免制度や奨学金制度がありますし、さらに生活保護制度というのもありまして、生活保護の教育扶助というのは、小中学校が対象ですけれども、生業扶助という制度もありまして、これによると高校入学準備金として6万1,400円、あるいは高等学校修学費として基本額を月に5,300円、ほかに学級費等で月に1,460円、あるいは教材代、通学費の必要最小限の交通費などの保護制度もありますので、そういうのを積極的に活用していただければ、高等学校に通学させられる状況になるのではないかと考えております。

 一方、県下全体で98.3%の進学率ですが、県内にはさらに減免率の高い学校もありますし、近くに高校がなく、かなりの遠距離を通っている生徒たちもいる中で98.3%が高等学校に通っているという状況もありますので、確かに現行と比べると厳しい状況にはなると思いますが、子どもたちの将来を考え、保護者の方にもご協力いただきたいと考えております。
 以上です。

【堀江委員】
 今、通学費の補助の現行制度を見直すということ、さらには生活保護も含めた補助を積極的にいろいろ活用することによって、高校改革推進室長の見解としては、34.7%の子どもたちは高校に進学できると、そういう認識であるというふうに私は理解をいたしました。

 ですが、この参考に書いてあるように、部活に関する費用でありますとか、その他もろもろは含まれていないんですよ。だからそういう意味では、通学費の補助があったとしても、その補助だって、ずっとこれはできるんですか、そういう疑問もあるんですね。
 だから、例えば閉校したその地域の子どもたちが未来永劫その補助が受けられるかというと、現行制度では受けられないじゃないですか。
 だからそういう意味では、閉校するという問題は、今、対象になっている子どもたちだけではなく、小学校、そして、これからの子どもたちにもかかわる問題だと、私は今の34.7%の人たちだけではなく、今後、本当に全員通えるのかということでは疑問を持ちます。

 それから、もう一つ、大事な住民の皆さんが指摘をしている地域が衰退すると、しまが沈んでしまうというこの問題です。
 高校が一つなくなれば、地域が本当に衰退をしていくんだと、ここが皆さんが思っている一番大きな問題なんですね。
 だから小規模でもいいから残してほしい。かつてあったように分校でもいいから残してほしい。少なくとも来年、再来年と、4〜5先のことではなく、もう少し閉校問題は延ばしてほしいと、そこに皆さんの思いがあると思うんですよ。

 そういう意味では、少なくとも今の子どもたちも3割以上は進学ができないと明確に言っているんですから、統廃合の計画については、再度考え直すべきだと私は思うんですが、その考えはありませんか。

【北浦総務課高校改革推進室長
 幾つか問題がありました。
 まず、小規模校でも残すべきだということについては、これまでも何度か申し上げておりますが、現在3学年とも、どの学年も40人以下のかなりの小規模校である、そういう中で高校生活3年間を過ごすのが果たして望ましい教育環境と言えるかどうか。
 現在は2学級規模の教員数も配置しておりますが、1学級規模での算定になると教員数は8名ということで、とても進路実現に対応できるような教育環境とは言いにくいだろうというような心配があります。
 ですから、通える学校が近くにあれば、一定規模の学校で3年間を過ごさせるべきではないかというのが出発点でございます。

 それから、地元が衰退するということがあるんです。いわゆるこれは地元の経済問題と思うんですが、私どもは教育行政を所管する立場から、まず、優先的に子どもたちの教育環境、望ましい教育環境を確保する。
 それも下五島地区地域全体を考え、さらに将来にわたって安定した教育環境を確保するという立場で考えておりますので、その辺では相入れない部分も出てくるかもしれませんが、高等学校が第一義的にだれのためにあるかということを考えた時に、在校生やこれから入学して来る子どもたちのためにあるわけですから、長年地元に育てられた学校がなくなるという、そういう寂しい思いですとか、あるいは学校がなくなった時の経済的な影響とかということはございますが、まず、子どもたちの教育環境のことを第一に考えていただければありがたいなと考えております。

【堀江委員】
 少子化と言われる状況の中で、高校進学の子どもたちの数も当然少なくなっていきます。  そういう意味では、これまでの規模では当然やれないというのが前提になってまいります。ましてや離島のように、しまが小さくなるわけではありませんから、どんなに近くといったって、これは遠いんです。

 実際に富江高校が閉校になったらと、具体的な目の前の問題でも3割の子どもたちが行けないというのを明確に出しているわけですから、そういう意味で、学校のあり方の問題では、人数がいないと子どもたちが社会的に成り立たないと、これは考え直すべき方針ではないかというふうに私は思っております。

 だから、そういう意味では、少なくとも現在、富江高校の閉校の問題は、地域の皆さんの合意を得ておりません。こういうふうに明確に「出来ない」と言われているわけですから、見直すべきだと私は思います。

 ましてや交通費で対応できるといっても、私がさっき言いましたように、単に額を上げる。例えば交通費が半額まで補助をする、そういう問題ではなく、いつまで補助をするのか、そのことにもかかわってくるので、通学費の補助で対応できる問題ではないというふうに私は思います。

 この高校の統廃合につきましては、地域の住民の皆さんの合意を得ていないという理由から、計画を見直すよう、改めて強く求めたいと思います。



【堀江委員
 財源問題にも触れましたので、委員全部がそういう意見だと思われては困りますので、私も意見を申し上げたいと思います。
 今、高校統廃合の問題で、長崎県全体を考えて望ましい教育環境をつくると。そして、小規模ということは、私は今の高校改革推進室長の意見は指定するような意見だというふうに思います。
 例えば私の出身の奈留、一つの中学校、一つの高校、これからどんどん子どもたちが少なくなっていく、ますます生徒の数は少なくなります。そうしますと、その奈留高校は、小規模ということで指定されなければならないのか、こういうふうになっていくわけです。

 ですから私は、長崎県にとって望ましい教育環境というのは、生徒の立場から望ましい教育環境にしてほしいというふうに思います。親が無理をして、長い道のりをかけて、部活もできない高校教育、これが本当に望ましい教育環境なのか、これを考えていただきたいというふうに思います。
 そういう意味では、この間ずっと、高校統廃合の計画が公にされてから、常任委員会でも、そしてこの特別委員会でも、統廃合の計画は見直すべきだという意見が出されておりましたが、高校改革推進室長は見直すという意見は一度も言わない。

 今、交通費の補助が検討されておりますが、これはあくまでも閉校を前提にありという立場です。閉校を前提にありという立場で見直していいのか。私は、ぜひこの高校統廃合の問題は考え直してほしいと思います。

 全国では、長野県でも高校統廃合の計画が出されましたけれども、住民の反対でこれは撤回されております。そういう事例だってあるわけですから、これだけ松浦東高校でも富江高校でも反対の世論があるんですから、聞くべきです。計画を何が何でもやるということではなくて、私は見直すべきだと思いますが、その考えもないということですか。確認です。

【北浦総務課高校改革推進室長】
  地元の声を聞くという立場で、5月からずっと説明を続けてきたわけですので、地元の声を無視するような、あるいは初めから閉校ありきのような、そういう考え方は一切持っておりません。

 地元の声も聞きながら、私どもの計画を一つ一つ点検しながらここまでまいりましたけれども、私どもの予定では最終段階にまいりましたけれども、現時点では計画案どおり実施した方が、より望ましいだろうと考えているところです。

 もう一件、よろしいですか。奈留高校を小規模校指定するのかということをおっしゃったんですが、それは全く違います。しまに一つの高校の子どもたちの教育をどう保障していくかという観点から、小規模校になっても隣の統合する高校がなければ、中学校や小学校、いわば縦の統合という形で小・中・高一貫、教育課程を工夫することによって、教育水準を維持、あるいは学校の活性化も図られるのではないかという長崎県独自のアイデアでやってきておりますので、小規模校だから即、切り捨てだというようなことは一切考えておりませんので、そこはご理解いただきたいと思います。

【堀江委員】
 今、高校改革推進室長は、今のところは統廃合計画はそのままやると。しかしその一方で、住民の皆さんの声は十分聞いて対応したいというふうに言っておりますので、ぜひ、この住民の皆さんの声を。
 例えば交通費問題をとっても、補助の額だけではなくて、じゃあ5年間でいいのかという問題も出てくるというふうに思いますので、住民の皆さんの声を十分に聞くというその立場を貫いてほしいし、さらに私はこの計画そのものを見直してほしいということを言っておきたいと思います。

 最後に、こども政策局の参事監にお尋ねします。
 財源の問題で、新しい税の導入を検討するということも答弁されました。私は、先ほど出されたように、福祉保健部の予算の中で、老人の予算を幼児に、子どもたちに回すとか、あるいは新たに税を導入するとか、そういうことよりも長崎県全体で、それこそ長崎県全体で考えてくださいよ。
 新幹線を導入するのに諫早から武雄まで2,700億円、年間30億円、これはとると言うんでしょう。 これがまた諫早から長崎まで増えたにしても、年間50億円の公共事業がなんら影響はありませんと、新聞紙上に担当室長が答えるぐらい長崎県にお金があるんだったら、私は、そういうお金を福祉に、医療に、子どもたちに、教育に使うべきだというふうに思っておりますので、税の検討をするということであれば、そういう私の立場からの無駄な公共事業をなくして教育や医療に使うという形での検討もしてください。答弁を求めます。

【渡口こども政策局参事監】
  非常に難しいご質問で…。(発言する者あり)
 私は、新幹線は長崎県にとって必要な事業だろうと思っております。新幹線なくして、これからの長崎県の観光振興はあり得ないと言っても過言じゃないと思っています。そういったことで私は、「新幹線、今こそ着工」バッジをつけさせていただいております。

 私が申し上げたのは、県全体の予算の中で子どもの支援にどれだけ回せるのか、それを財政当局と協議をしながら、我々もアイデアを出しながら、やっぱりこういった施策は必要ではないかと考えられるものについては私たちも強く要求をしていきますし、そういったことをしながら片方で新税の研究、委員長からご提議がありましたけれども、そういったことを踏まえて、検討よりもまだ一歩手前なんですけれども、研究をさせていただきたい。

 これは、秋田県が非常に今、厳しい状況にあります。2月議会に提案できるかどうかということもありますし、その辺の状況も聞きながら、私どもは研究をさせていただきたいと思っております。

【堀江委員】
 最後にいたしますが、新幹線問題をここで論じるつもりはありませんけれども、けれども、新税を検討するということであれば、新幹線は必要だというだけの観点でとらえずに検討してほしいということですよ。

 松浦東高校の問題で松浦市にも行きました。松浦の皆さんにとっては、福岡、佐賀、伊万里、これが生活圏ですよ。なぜ新幹線ですかと言われる。五島にも行きました。なぜ新幹線ですかと言われる。

 そういう意味では私は新幹線は不要だと思っておりますので、そこにつぐ財源があれば教育や医療や福祉に使ってほしいということを、強く意見として申し上げておきたいというふうに思っております。