2012年  8月定例月議会 (10月15日)

「国土防衛上緊急を要する我が国自衛隊の強化整備に関する意見書」に対する反対討論


 日本共産党の堀江ひとみです。

 ただいま議題となりました 国土防衛上緊急を要する我が国自衛隊の強化整備に関する意見書 につきましては、以下の理由で反対いたします。

 本意見書は、領有権をめぐって準有事ともいえる状況であり、有事即応の態勢にあることを内外にはっきりとしらしめておくことが、絶対に必要であるとして、自衛隊の整備・強化を求めています。

 つまり、領土問題を、自衛隊の軍備の強化に結びつける議論です。こうした議論は、問題の最悪の政治利用です。問題の何の解決にもなりません。強く反対いたします。

 第一に、領土問題は、歴史的事実と国際的道理にたった冷静な外交交渉によって解決することが、唯一の解決の道だからです。

 意見書では、この間の領有権をめぐっての事例にふれています。
 
 たとえば尖閣諸島問題。尖閣諸島を探検した古賀辰四郎氏が、同島の貸与願いを申請したのが1885年。日本政府が尖閣諸島を日本領に編入したのが1895年。これが最初の領有行為で、国際法で正当と認められています。中国は1970年になるまでの75年間、異議をとなえたことは一度もありません。「日清戦争で奪った」という主張も、歴史的になりたちません。

 一方、歴代の日本政府は「領有権の問題は日中間に存在しない」という理由で、30回以上、中国と会談・懇談してきたにもかかわらず、突っ込んだやりとりを交わした形跡はなく、国際社会に主張した例も見当たりません。「領土問題は存在しない」という立場は、一見「強い」ように見えても、そのことによって、日本の立場が主張できず、中国側への反論もできないと言う点で、日本の立場を弱くしています。

 中国側に反論できない日本の外交態度には、過去の侵略戦争に反省を欠いているという問題があります。日本政府に、侵略戦争への反省がないために、日本による尖閣諸島の領有は、日清戦争による侵略主義、領土拡張主義とは性格のまったく異なる、正当な行為であったと、きっぱりわけて主張することができないでいます。

 第二に、日中双方が、物理的対応や、軍事的対応論を厳しく自制することが必要です。日本共産党の志位和夫委員長は、官房長官との会談、中国大使との会談で、重要性を双方に提起しました。中国大使との会談でも、暴力を伴う「反日デモ」は許されないことや、中国の監視船が日本の領域内を航海することがくりかえしおこっていることなどを率直に指摘し、「中国にも自制を求めたい」と述べました。

 最後に、物理的対応の強化や軍事的対応論によって、緊張はさらに高まります。最悪の事態にならないようにするのが政治の役割です。

 領土問題を、自衛隊の軍備の強化に結びつける議論に強く反対し、討論といたします。