防衛予算の増額を求める意見書案への反対討論 

 12月7日、県議40人が標記意見書案を提出。これに対し、堀江ひとみ県議が反対討論を行いました。
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  日本共産党の堀江ひとみです。 
ただいま議題となりました  防衛予算の増額を求める意見書については、以下の理由で反対いたします。
     
 意見書では「諸外国の国防費が増大していく中、わが国の国防予算は厳しい国家財政事情により、連続して減少がつづき、わが国の安全保障体制に深刻な影響を及ぼすことが危惧される」としていますが、まったくのごまかしです。

 2010年度の軍事費は減少するどころか、昨年よりも162億円も多い4兆7903億円です。2011年度予算で防衛省は、米軍再編などの経費も含め、今年度予算よりも多い、総額4兆8201億円を、概算要求しています。日本の軍事費は年間5兆円規模を続けています。財政危機で国民が苦しんでいるのに、巨額の軍事費を支出し続けるのは、道理にあいません。

 諸外国の国防費はどうか。欧州ではすでに、英国が2014年までに25%、フランスは今年度15%、イタリアは10%などの削減計画を示しています。ドイツは今後5年間で、日本円にして1兆円以上の削減を検討しています。世界の軍事費の43%を占める米国でも、軍事費削減そのものには慎重とはいえ、財政事情が深刻なため、今後5年間で1000億ドル(約8兆6000億円)の「節約」を行う方針をうちだしました。どの国も財政悪化に対処するために、軍事費を「聖域」にせず、削減にふみだしているのです。 

  ところが日本だけは、財政再建が必要だといいながら、軍事費を「聖域」とし、本格的な削減にとりくもうとしません。昨年民主党政権に代わっても、軍事費を「聖域」にするのは変わりません。事業仕分けでも、軍事は仕分けの対象としませんでした。 国民生活予算を犠牲にしながら、軍事費の削減に背を向け、巨額の税金を投入しつづけるのは、異常というほかありません。

 意見書は、尖閣諸島問題や北朝鮮のミサイル発射という事態など、国際社会の中で起きている様々な問題を理由に、軍備増強を正当化しています。軍事脅威をことさらあおっていると指摘せざるを得ません。国と国との争いは、戦争ではなく平和的に解決するのが、世界の流れです。

 平和憲法を持つ日本がやるべきことは、政治的外交的手段で、平和に貢献することです。特に、北朝鮮の問題は、六カ国協議の場で外交的解決をするという方向を、国際的に確認していくことが大切だと、考えます。

 巨額の軍事費を正当化するために、中国や北朝鮮の軍事動向をもちだし、「軍事には軍事で対抗する」という立場では、軍事費、増額競争につながるのは避けられません。軍事対抗の立場からの脱却が不可欠です。

 軍事費の削減は、財政の立て直しに不可欠なだけでなく、戦争放棄と戦力不保持を明記した憲法9条に照らしても、重要です。憲法9条をもつ国として日本が、軍事費大幅削減に知恵をしぼり、東アジアの軍縮の先頭に立つことこそ求められます。

 被爆県ナガサキの県議会は、軍事費の削減を求めこそすれ、軍事費の増強を求めては、恒久平和を求める、県民の願いに応えることはできません。防衛予算の増額を求める意見書は、採択されませんよう、議員各位のご賛同を、よろしくお願いいたします。