2010年12月5日(日)「しんぶん赤旗」
(写真)2010年日本平和大会in佐世保で、米軍基地をなくす各地の発言を聞く参加者たち=4日、長崎県佐世保市

世界と日本の運動交流

平和大会in佐世保 終日多彩な企画

 長崎県佐世保市で開かれている「2010年日本平和大会」(同実行委員会主催)は4日、早朝の佐世保基地調査行動をスタートに、シンポジウムと分科会で活発な討論をしたあと、参加者全員による「全国と世界の運動の大交流集会」を開催しました。

 終日の多彩な企画に1200人が参加。安保廃棄、基地撤去をめざす各地の活動を豊かに交流し、とくに沖縄のたたかいが全国を励まし、運動を広げる力になっていることが示されました。

 歌あり、青年の寸劇あり、日本と世界の運動紹介ありの大交流集会。被爆地長崎からの訴えで開会し、壇上の車いすに被爆者、渡辺千恵子さんの遺影が掲げられました。県うたごえ協議会などの40人が、渡辺さんの生涯を編んだ組曲「平和の旅へ」を熱唱。長崎原爆被災者協議会の谷口稜曄(すみてる)会長が「私たちは高齢になりましたが、非核三原則の法制化と、原爆・戦争被害への国家補償を求めて頑張ります」と語りました。

 日本共産党の赤嶺政賢衆院議員と、鹿児島県徳之島の大久保明・伊仙町長が来賓あいさつ。赤嶺氏は「日米共同演習の拠点、佐世保から平和の声をあげる大会の成功を」と呼びかけ、大久保氏は「徳之島の民意ははっきりしている。これからも基地はつくらせない」と表明し、連帯の拍手に包まれました。

 基地被害とたたかう岩国、東京・横田、横須賀の代表や、妻を米兵に殺された山崎正則さんが訴え。各地の草の根の代表がリレートーク。フィナーレで地元長崎の業者の女性ら約100人が創作ダンスを披露しました。

 全厚生の組合員で、東京から初参加した男性(28)は、「米軍基地を初めて見て迫力に驚いたけど、違和感もあった。いろんな人の訴えも聞いて、知らなかった安保や憲法を真剣に考えなくてはいけないと思った」と話しました。



基地・核兵器なくせ 議論熱く
(写真)話し合うシンポジウム「本当に米軍基地、日米安保は『抑止力』なのか?」のパネリストたち=4日、長崎県佐世保市

 長崎県佐世保市で開かれている「2010年日本平和大会」(同実行委員会主催)は4日、二つのシンポジウムと九つの分科会が開かれました。基地撤去を求める草の根運動、日米安保条約とくらしとのかかわり、「抑止力」論批判と「核の傘」からの離脱、米軍と自衛隊の一体化などの多彩なテーマで熱心に討論しました。


「抑止力」論、どう克服する

第一シンポ

 第1シンポジウムは「本当に米軍基地、日米安保は『抑止力』なのか? 『安保50年』みんなで考えよう」をテーマに議論が進行しました。日本と韓国、米国のパネリスト4氏が報告。静岡、沖縄、神奈川、佐賀の代表らが発言し、米軍の実弾演習への批判、自治体を巻き込むたたかいの重要性などを訴えました。

 日本平和委員会理事の小泉親司氏(日本共産党基地対策委員会責任者)は、沖縄県知事選で現職候補の「県外移設」「日米合意」の見直し表明が最大の成果だと強調しました。

 小沢隆一東京慈恵会医科大学教授は、平和な軍事同盟のないアジアをつくるために抑止力論克服の必要を訴えました。

 韓国・労働者代案社会学習院講師の李俊揆(イ・ジュンキュ)さんは、北朝鮮砲撃事件の経過を説明。関係国が軍事的対応をやめて6カ国協議など話し合いの場で解決をめざすべきだと主張しました。

 米国フレンズ奉仕委員会のジョゼフ・ガーソン氏は、「抑止」の考えが米国の同盟国を守るのではなく、「米国の利益に反する行為を抑止すること」だとしま
した。


暮らしにゆがみ

第2シンポ

 シンポジウム2では、「なぜここまでくらしが破壊されるのか―消費税、国民生活と日米安保の実態を考える―」をテーマに、議論されました。日本共産党の大門実紀史参院議員と業者、農業者、消費者の代表が報告しました。

 大門氏は、対米従属の経済政策が日本経済をどのようにゆがめたかを告発。関税を原則撤廃する環太平洋連携協定(TPP)推進など民主党政権の対米従属の強化、新自由主義「構造改革」路線の推進の実態を示し、「真の対立軸は『増税・改憲』勢力と『増税阻止・憲法9条を守る』勢力。国民的な運動を大きく広げていこう」と呼びかけました。

 農民運動全国連合会の村尻勝信副会長は「米作ってメシ食えねぇ」といわれる米価の低迷を招いた政府の姿勢を批判。「TPPは米国と財界・大企業の利益のために日本農業を売り渡すもの。阻止のために力を合わせよう」と訴えました。

 長崎県商工団体連合会の吉次實男会長や新日本婦人の会長崎支部の前川美穂さんが自身の体験を交えて報告しました。

 参加者からの質問に答えた大門氏は「TPPは、農業者だけでなく、消費者、業者にかかわる。デフレ不況の日本経済を奈落に突き落とすもの。国民全体で阻止へ立ちあがろう」と述べました。