2009年12月議会 文教厚生委員会
学校図書館に専任司書を
12月10日
【堀江議員】
 2点目に、私が一般質問で取り上げました学校図書館に専任の先生をという問題について。
 長崎県教育委員会としては、司書教諭をすべての学校に置くということを目標としているんですか。

【中川高校教育課人事管理監】
 法的整理では、12学級以上の学校にはすべて置くようにということで、11学級以下については、できるだけ実情に応じてというようなことであろうかと思います。県立学校の方では12学級以上が40学級ございまして、そこには配置をしております。

 それから、11学級以下の県立学校は17校ございまして、その17校のうち11校には有資格者を配置しておりますけれども、残りの6校につきましては、まだ配置が進んでおりません。これは11学級以下ですから小さな学校ではあるんですけれども、今後、できるだけの配置に努めていかなければならないというふうに思いますけれども、教科、部活動、いろんな関係がございまして、全体に行き渡ってないというのが現状であろうかと思います。

【堀江議員】
 そうしますと、長崎県教育委員会としては、司書教諭を置くことを一つの目標にしているということの認識を私はいたしました。

 そこでお尋ねなんですが、私、ここに「教育必携」を持ってきているんですけれども、この中に学校図書館法の第5条に、「学校には、学校図書館の専門的職務を掌らせるため、司書教諭を置かなければならない」というふうに規定されているんですけど、附則の2に、「規定にかかわらず、11学級以下の学校にあっては、当分の間、司書教諭を置かないことができる」という文言があります。私がこういうことを言うのも大変失礼なんですけどね。

 それを受けて長崎県立学校管理規則の第33条に、「ただし、特別の事情があるときにはこれを置かないことができる」ということで、いろいろ先生を置きなさいという職種の区分の中の15に司書教諭があるんですけど、「ただし、特別の事情があるときにはこれを置かないことができる」というふうな文言がありますよね。

 何で私がこのことを言うかというと、さっき答弁で、「県教育委員会としては司書教諭を置くことを目標にします」と言っていますが、しかし、法の中に「置かないことができる」と、置かなくてもいいんだよという文言があるんですが、これを根拠にしてこれまでなかなか学校図書館に人的配置ができなかったという現実がございます。

 だから、私としては、県教委が、「置かないことができる」、置かないでもいいんだよという文言を根拠にしているのではないかという現場から見て疑問の声もあるので、そこら辺の学校図書館法の第5条の附則、それから、県立学校管理規則の関係についてはどうなんですか。

【中川高校教育課人事管理監】
 確かに、全部の学校に行き渡っているという現状ではないということは承知をしておりますし、置かないでいいというふうに甘んじているわけではございません。しかしながら、各学校の実情、例えば、学級数が少ないところは、当然、教員の数も少ないわけですし、それから、教科、部活動の関係とか、さまざまな要因の中で司書教諭をどうしても配置できないという現状も片やございます。

 しかしながら、そういうことを踏まえながらも、できるだけ司書教諭の配置については公平に配置をしていくということは努力をしていきたいというふうに考えます。

【堀江議員】
 努力をしたいということは、学校図書館法と県立学校管理規則の中で「置かないことができる」という文言があるんだけれども、しかし、県教委としては、それはそれとしながらも、あくまでも司書教諭を置くということで頑張りたいという認識が現在あられると理解いたしました。

 そこで質問なんですが、実際に、今、司書教諭を置くということで進めているんですが、この司書教諭の実態がどうか。長崎市選出の県議会議員に長崎市がいろんな要望をする一つに、「長崎市立小中学校の専任の司書教諭配置及び学校図書館支援員配置事業の拡大について」という要望をされております。

 この中に、「12学級以上の学校には司書教諭が配置されておりますが、担任や、ほかの校務との兼務で学校図書館の業務に専念できる時間は限られています」ということで、実際に司書教諭がいるんだけれども、司書教諭が学校図書館の業務に専念できるのはなかなか難しいという要望が私どもに寄せられています。

 また、私が本会議で取り上げました長崎純心大非常勤講師の小袋朋美先生も、学校図書館法で12学級以上ある学校には司書教諭を置くことになっているものの、専任の配置はまれで、実態は名ばかりであることが多いと。

 つまり、私がここでお尋ねしたいのは、司書教諭を置くということを目標にやっているんですが、同じように、12学級以上の学校には置いている。それで、11学級以下の学校についてもいろんな努力をして置きたいと思っている。しかし、現実は、司書教諭がじゃ学校図書館の業務に携わることができるかどうかということについては、実態とかけ離れていますよという指摘があるんですが、そういう認識はお持ちですか。
【西村生涯学習課長】
 小袋朋美さんの「私の視点」の記事は、私も読ませていただいております。また、委員ご指摘のように、学校司書教諭がその任を果たしていないのではないかという声が少なからずあることも認識をしております。

 しかし、現実的には、学校司書がいなくても司書教諭や学校図書館監督者の力によって、また、学校の体制によって、すぐれた学校図書館教育が行われている実践例は数多くございます。

 つまり、司書教諭というのは、例えば、小学校では体育主任とか生活指導主任がいるのと同じように、司書教諭という担当の立場で学校の年間計画を立て、各学年に図書館の活用計画等を立てさせるといったことで、果たすべき役割はかなり大きいものがあります。

 逆に申しますと、学校司書は、教諭の資格はございませんので、教育課程にかかわっての業務はできません。つまり、司書教諭と学校司書は、学校運営上には両輪であるというふうに思っておりますし、基本的には、もっと司書教諭の活躍といいますか、学校での活動といったものの啓発を図っていかなきゃいけないというふうに考えております。

【堀江議員】
 私は、司書教諭で話をずっとみんなと共有していっているんですよ。学校司書とプロの立場からいきなり言わなくても、私の思考、考えに基づいて質問しているんですから、司書教諭の実態が実際に専任をしているのかどうかという認識があるのかということをまず私は確認したかったんですよ。それで、いきなり学校司書という言葉をもってこられているんですが。

 つまり、今言っていることは、司書教諭を目標に長崎県はやっていると。しかし、司書教諭といっても実際は発令だけで、学校図書館業務にはかかわっていない実態があるんですよと、その認識はあるのですかという質問をしたんですよね、私としては。そうした認識もあると思うんだけども、その中で今言われたのは、学校司書がいなくても図書館業務は回っているよということを言いたかったんですか。

【西村生涯学習課長】
 先日、一般質問の中で小袋さんの新聞記事をともに話されました。そのことが頭にあったものですからちょっと話が飛躍したのかもしれませんけれども、学校の司書教諭が専任で学校にいることはあり得ません。自分たちも授業をしながら、その任を果たすということになります。その任というのはどんなことなのかといった時に、先ほど、例として体育主任等を挙げたわけでございます。同じような立場で体育主任であり、あるいは生活指導主任が毎月の月目標を決めるように、司書教諭が毎月の学校図書館の月目標を決め、学校全体で取り組んでいくといったようなシステムをつくっていく。その立場にあって、司書教諭というものは、その任を果たすべきであるというふうに考えております。

【堀江議員】
 そこでお尋ねしたいんですが、要は、私としては、学校図書館に専任の先生を置いてほしいんですよ。司書教諭が専任であればいいんですけど、なかなか実態はそうじゃないから、学校司書ということがまた新たに出るんですけどね。

 今、県教委は司書教諭を置くということを目標にやっているんだけども、私としては、司書教諭が置かれていたとしても、実態としては学校図書館に専任でなかなかかかわっていないから、学校図書館に専任でかかわる人を置いてほしいというのが私の一般質問の要望ですし、そういう努力をしてほしいというのが私の引き続いての今の質問になるわけです。

 そうしますと、生涯学習課長としては、ゴールとしては、今の時点はとりあえず司書教諭を置くと、発令をして、とにかく11学級の学校にも司書教諭を置くということですね。しかし、それが実態に追いつくためにも、学校図書館に専任の司書教諭と呼ぶのか、学校司書と呼ぶのか、呼び方はそれぞれ学校によって違うんですが、専任の人を置くという人的配置をするというお考えはあるんですか、

【西村生涯学習課長】
 これは私が答える範疇なのかどうなのか迷いながらですけれども、司書教諭の配置については、教職員の定数の中で配置されていくべきものでありまして、専任のということになると、また別の問題になってしまうかと思います。つまり司書教諭を専任で置くということは、教員定数上、かなり難しい問題だろうというふうに考えております。

【堀江議員】
 教育長にお尋ねしますが、学校図書館のいろんな役割、子どもたちの成長過程、それから学習の必要性、いろんなことを考えた時に、学校図書館に人的配置の認識はあるというふうにこの前の一般質問での教育長の答弁だったと私は思うんですよ。

 そういう時に、私が言う、単なる司書教諭の発令で終わることなく専任の学校司書、司書教諭を配置をする。学校図書館が朝から夜まで開いているという状況をどうつくるかという時の人的配置、それに伴う予算の確保、それを教育委員会としても今後展望しないと、今の事態では司書教諭を発令して終わりですよ。辞令はもらうけれども、担任と兼務する、いろんなことでなかなか学校図書館にかかわれない、かぎがかかったままの昼休みの図書館というのが出てくるわけですよね。

 だから、私としては、教育長に予算の確保も含めて、学校図書館に人を配置してほしいんですが、見解を教えてください。

【寺田教育長】
 専任の学校司書配置の必要性ということについては、本会議の答弁で申し上げましたとおり、認識しております。

 その人の配置についてですが、小中学校の場合に、私はその必要性は高いと認識しております。特に、学級担任をほとんどの先生がやっている小学校には必要性が高いと。

 ただ、小中学校に関しましては、やはり市町で措置していただくというシステムになっておりますので、私どもといたしましては、学校司書配置事業、あるいは学校図書館支援員配置事業と、こういう事業を通じて置いた場合の効果は、こんな効果がありますよということを市町にご紹介いたしながら、市町になるべく努力して置いていただくようにという、そういうスタンスで仕事を今しているところでございます。

【堀江議員】
 第二次長崎県子ども読書活動推進計画の中に、学校図書館業務に携わる職員、いわゆる学校司書の配置促進ということで、「学校司書」という言葉が文部科学省のパンフレットなり、県教育委員会のこういう推進計画なりに出てきたということは、現場の先生方にとっては非常にうれしいという声を聞きます。今まで司書教諭でくくられていた学校図書館に係る職員が、学校図書館業務に携わる職員ということで一つの言葉として出てきたということは非常に前向きにとらえておられる方が多いです。

 私はぜひ、市町に働きかけるという答弁を本会議でも、今も言われていますけど、ぜひ長崎県がきちんと予算を、モデル事業で終わることなく、学校司書の先生の確保のために予算を確保することも含めて今後努力していただきたいと思っております。このことは強い要望といたしておきます。