6月県議会 文教厚生委員会
看護職の修学資金について
【堀江議員】
 今の第98号議案について質問いたします。

 今回の改正は、返還免除に要する勤務期間が延びたことも改正の一つなんですが、県民の皆さんから、借りた年数と同年数でいいのではないかと。むしろこのように長くなりますと、4年制を出た場合は、29歳になりますかね。そういうことを考えますと、その間に結婚があり、出産がありということも出てくるので、貸与の年数と同年数で返還の免除に要する勤務期間がいいのではないかという疑問の声もあるんですが、その点についてはどのような見解をお持ちですか。

【藤田医療政策課長】
 
一応、これは看護職員の分でありますが、例えば医学生の修学資金もございます。これにつきましても、やはり借りた分の2倍というような形で設定をさせていただいておりますので、私どもとしては、できる限り修学のお助けをして、そして県内にできるだけ長い期間勤務をしていただくという意味から、この義務年限というのは設定したところでございます。
 借りた分だけでいいじゃないかというようなことではなくて、我々としてはできるだけ、そういう税金を使わせていただいておりますので、できるだけ県内の病院とかに勤務をしていただくという意味で、そういう設定をさせていただいたというふうに考えております。

【堀江議員】

 つまり、県内における看護職員の定着化を図るこの修学資金の目的を果たすためには妥当な範囲だという答弁だと思います。
 そこで、今回、この条例の改正の一つに、大学院修学資金の廃止があります。これは利用者がないというふうなことも聞きましたけれど、保健師とか助産師の需要が今後増えていくという状況を見た場合に、廃止の影響はないのかという疑問の声があるんですが、この点はどう考えたらいいですか。

【藤田医療政策課長】
 
ただいま委員がご指摘のとおり、今まであまり実績がなかった。それから、どちらかというと、大学院とか修士課程に行かれる方々については、病院の学校へ行くとか、そういったところに進まれる方が多くて、我々のこの資金の目的としては、まず、県内の医療機関に勤務をしていただく人たち、そういった人たちを主に貸与の対象としていきたいということで、今回は修学資金修士課程については削除させていただきました。

【堀江議員】

 そうしますと、保健師、助産師の需要が今後増えることがあるとしても、廃止への影響はないというふうに判断をしたというふうに理解をいたしました。

 そこで、もう1点お尋ねですが、返還金の一部免除、それから裁量免除、この点の検討はされたのかということをお聞きしたいと思います。

 どういうことかといいますと、私のところにこういう相談があったんです。私は平成という言葉を使いたくないんですが、資料がそういうふうになっていますので、平成で言いますと、平成10年4月に長崎県央看護学校に入学して3年間、平成13年3月に卒業しております。その間、長崎県看護職員修学資金を借りております。そして、平成13年3月に看護学校を卒業しまして、4月1日から長崎百合野病院に採用されました。3年間働きますと、これは全額免除、この方の場合は129万6,000円、全額免除ということになります。

 ところが、3月31日に百合野病院を退職いたしまして、次の平成16年4月1日、3月で3年間働いたと思って、4月1日から国立病院機構長崎医療センターに採用されました。そうしますと、この方の場合は、貸与期間が平成10年4月5日から13年4月5日までなので、4日間、3年間に該当するには足りなかったんですね。4日間足りなかったために、この方は129万6,000円を全額返済しなければならないという事態になったんですね。

 この方は、百合野病院という対象の施設に3年間働いて、そして4月から、もちろん対象外の医療センターに採用されましたけれども、県内の病院に働いたんだと、看護学校で3年間学んで、そのときに借りたので、その分働いたのに、たった4日間足りなかったというだけで129万6,000円を全額払わなければいけないというのは納得ができないというふうな相談があったんですね。

 私はこういう事例を見たときに、今回、確かに病床数が増えたところが対象になります。そして、3つの病院を除いて県内すべてのところでこの修学資金が受けられるという制度に改正になりました。しかし、3つの医療機関に就職しますと、これは全額払わなければいけないという問題も出てきますので、こういった問題を考えたときに、一部免除、それから裁量免除ということも、私は検討すべきではなかったかと思うんですが、そういったことが検討されたのかどうか、その点を教えてください。

【藤田医療政策課長】

 確かに、今委員がおっしゃるように、医療センターとか、大学とか、あるいは佐世保市総合病院といった病院に勤務替えした場合について、同じ県内ではないかということで、そこら辺での一部免除とかも検討されたのかというご質問だったと思うんですが、そこについては、今回、私どもとしては、一部免除とか、そういうことについては検討しておりません。

【堀江議員】

 今回の修学資金の制度というのは、その制度としては、私は大事な制度だと思いますし、病床数を上げてほしいということは、これまで議会の中でも論議をされた問題ですので、それは是とするんですが、今、私が問題で挙げましたように、どうしても4月1日から採用というのは、通常、あり得ることですよね。しかし、4月4日までの貸与期間ということの中で、4日間があったために129万円を払わなければいけないという問題は解決されませんので、こういった問題についても、今後資金の確保といいますか、制度の確保といいますか、課題として検討してほしいというふうに思います。

 この問題の最後にしますが、看護修学資金については、他県では廃止の動きがあっております。例えば愛媛、山形、岐阜、広島、佐賀、既にこれは新年度から、前年度からの県もありますけれど、廃止をしております、貸し付けは廃止ですね。長崎県の場合は、今後こうした動きというのもあり得るんですか。

【藤田医療政策課長】

 私どもは今年度から、逆に新規の貸与の数を増やしたほどでございまして、他県では、今、委員がご指摘のように、この資金制度自体を廃止されておるということでございますけれども、私ども長崎県は離島も抱えまして、地域医療を確保していくための医師及び看護師の確保については、この資金制度というのは非常に重要な制度だと思っていますので、今後とも引き続きやってまいりたいというふうに思います。