7月10日、県議会本会議で審議された「石木ダム建設促進決議案」。堀江議員が反対討論を行いました。
 採決では、6人の議員が棄権し、6人の議員が反対しました。このようなことは、これまでの県議会ではあまりなかったことです。


堀江県議の
石木ダム建設促進意見書案
      への反対討論

 日本共産党の堀江ひとみです。
 ただいま議題となりました 石木ダム建設推進に関する意見書 につきましては、以下の理由で反対いたします。

 意見書は「事業認定は話し合いを進展させるための方策であるとの観点にたって、事業認定手続きに着手すること」を求めています。

 事業認定とは、土地収用法に基づいて公共事業に必要な用地を取得できる土地収用制度の手続きです。

 国が事業認定すれば、県収用委員会が補償金額などを裁決し、強制収用が決まります。ただし、事業認定申請から収用委員会の採決までに、長崎県と地権者は任意交渉が継続できます。

 事業認定が、地権者との話し合いの場をつくるためと言っても、強制収用に道を開く 手続きそのものです。
 なぜなら、長崎県は昨年7月、2016年を完成目標とする工程案を発表しています。昨年12月17日の定例記者会見で、金子知事は「工程表というのは非常に大事なことですから、その工程表のスケジュール通りにやっていくためには、どのようなことをすればいいかということを、これから3者でよく話し合いをしたい」と発言しています。今年1月30日の定例記者会見で、土木部長は「工程表どおり、ぜひ進めてまいりたい」と発言しています。

 事業認定手続きは、住民の不安と不信を募らせるばかりです。27年前の機動隊導入による強制測量が引き起こした事態への反省もなく、再びこれを繰り返すならば、地権者のみならず県民の理解を得ることは到底できません。

 「生まれ育ったここで農業を続けたい」「ここに住み続けたいだけなんだ」という、住民の憲法で保障された権利は、誰であっても、踏みにじることは許されません。強制収用という野蛮な行為は、絶対にすべきではありません。

 意見書は「できる限り地権者の皆さまが、話し合いに参加していただけるよう」と表現していますが、地権者は、建設を前提にしない話し合いにはいつでも応じるとしています。話し合いの成立を拒んでいるのは、地権者ではなく長崎県の側ではないでしょうか。

 石木ダムは、川棚町にとっては治水、佐世保市にとっては利水目的とされています。しかし、川棚川流量の9分の1でしかない石木川の洪水調整機能が川棚町の治水にとって、きわめて限定的な意味しかないことは明瞭です。 ある専門家は「川棚川の治水に石木ダムは不要だ」と述べています。

 佐世保市の利水にとっても、過大な水需要を設定したり、一日一万トンもの漏水対策を解決しようとしなかったり、石木ダムに頼る以前に努力すべき課題は、残されています。利水の専門家の「石木ダムは白紙撤回が妥当」とする意見を、私は直接お聞きしました。 こうした意見などを検証するためにも、住民側が望む話し合いの場を、設定することを求めます。

 事業認定手続きに着手することは認められないことを、再度申し上げ、反対討論と致します。