12月県議会 文教委員会 12月9日〜10日
男女混合名簿

【堀江議員
 男女混合名簿について質問をします。
 
 今年3月の卒業式と4月の入学式の呼名状況がわかりますでしょうか。市町立学校と県立中高校とそれぞれ状況の資料提出を求めます。

 この資料によりますと、全員呼名をしている学校の中で男女混合の呼名か、それとも男女別の呼名か比較をしてみますと、まず、卒業式、公立の小学校は54%対45%、公立の中学校は40%対59%、県立は何と9%対90%。入学式はどうか、公立小学校は58%対42%、同じく中学校は43%対56%、県立は何と14%対85%。つまり、公立小中学校では男女混合と男女別の呼名では約半々です。ところが、県立になりますと、これが1対9の割合になります。県立中高校がほとんど男女別の呼名であるという現状について、当たり前と思っているのか、何か問題意識があるのか、まず見解を求めます。

【玉島児童生徒支援室長】
 県立学校の名簿のあり方、それから、式典における呼名のあり方については、各学校長の判断で学校の実態に応じてやっているのが実情でございますので、このことについてよいか悪いかという判断は、県の教育委員会としてはしておりません。

【堀江議員】
 私は、過去10年間の本会議、それから文教委員会、この男女混合名簿に対する議事録を見せていただきました。その中で、県教育委員会が持ち出してくるのが「ジェンダーフリーに基づく男女混合名簿を作成することがあってはならない」という文言をずっと使ってきたんです。小学校・中学校で入学式、卒業式は、違和感なく男女混合で呼ばれるのに、高校に入りますと、男性が先、女子が後となるんですね。何で県立高校だけは男女別になるのかという保護者の疑問が、たくさん私に寄せられます。入学式、卒業式、呼名をする時には、男女混合でしてほしいという要望があるんですが、その点についてはどうお感じですか。

【玉島児童生徒支援室長】
 まず、呼名の仕方ですが、男性を先に、女性を後にしているという、そういう把握はしておりません。

 それから、後半のご質問については、先ほど申し述べたとおりでございます。

【堀江議員】
 男女混合名簿というのは、これは個人の尊重をいかにしているかというバロメーターだと私は思っているんです。そこで、この質問をするんですが、混合か男女か、これは名簿だけの問題なんですけど、これは女性にとって大きな問題なんですよ。毎日毎日、例えば、1時間目から6時間まで男が先、女が後でずっと小学校、中学校、高校と続くのが長崎県の場合半分あるんですよ。小学校、中学校は今半分、男女別でしていますからね。そうしますと、毎日毎日こういうふうに呼ばれていきますと、これは男性が先、女性が後というのは当たり前になっていくんですね。ここの感覚、ここら辺をやはり見直していこうと。しかも、学校での名簿というのは隠れた性別役割教育と言われて、今、是正が求められています。県立の中学校・高校が1対9、男女別で呼んでいるという状況は私は是正してほしいと思っているんですよ。もちろん、学校長の判断ですけれども、是正してほしいという希望を強く持っております。そういう意味では、名簿について男女別か、それとも混合かということについてのこのことの見解についてはお持ちですか。

【玉島児童生徒支援室長】
 県の教育委員会として、どちらの名簿がよいかという指示を出したこともありませんし、これからも出すことはないのではないかなと思います。実際に男女別統計でやらなければいけない統計調査もありますし、男女混合名簿を使っている学校でも、そういう調査の場合にはあえて別の名簿を使っていると思いますので、本当に必要に応じて、その学校にふさわしい名簿を選択するということが必要ではないかなと思います。

【堀江議員】
 質問の角度を変えましょう。学校長の判断と言われました。私はそれは了とします。それはもうそれぞれの学校長の判断、学校長の裁量のもとで、男女別の名簿を使うか、混合名簿を使うか、入学式・卒業式はどっちで呼ぶかというのは、それは学校の判断、学校長の裁量の範疇、それは了とします。

 それを前提とした上で、これまで長崎県教育委員会が言ってきた「ジェンダーフリーに基づく男女混合名簿を作成することがあってはならない」、これは取り消すわけですね。入学式・卒業式でどの名簿を使うかということは学校長の判断なので、「ジェンダーフリーに基づく男女混合名簿を作成することがあってはならない」、こういうこれまでの答弁とは関係なく、学校長が判断していいということで理解していいですか。

【寺田教育長】
 ジェンダーフリーに基づく混合名簿を作成してはならないということについては、何度も話しておりますように、そういう指導はしておりません。これからもいたしません。これは学校長の判断ということでお答えをいたします。

 それで、私も校長をやっておりましたから、小学校、中学校、高校と、なぜこういうふうに違ってくるのかというと、やはりこれは年齢、発達に応じて、男子・女子の特徴の違いがはっきりなってくるということによって、小・中・高の違いは出てくると思っております。

 名簿というのは、いろんな場面に使います。仮に、例えば、高等学校で混合名簿を使った場合には、もう一つ男女別の名簿をつくらなければいけません。実際には男女別の名簿を使うということがおそらく多くなるはずです。二つの名簿を使い分けるということはいろんな間違いも出てきます。男性と女性というのはそれぞれ特色を持って違うわけですから、どっちが上、どっちが下ということは絶対、これはございません。その違いはしっかり違うわけですから、分けた名簿でも一向に構わないと考えております。

 私が勤めた学校では、男女別の名簿を使っておりました。ただ、入学式・卒業式においては男子が先に呼ばれて、女子が後に呼ばれることになるわけですが、例えば、卒業式の並び方は男子女子が横に並んだりします。それから、体育祭の時の行進は女子の方が先に歩くケースが多かったです。ですから、どっちが先だから偉いということであれば、例えば、呼名をする際に「あ」からはじまって「わ」で終わりますが、アラキ君、アイカワ君の方が偉いのかというと、決してそういう意識を持ったことはないと。これと同じことじゃないかと思います。そのようなご意見がありますので、もう一度校長ができることならば、卒業式の折に、女子から先に呼名して、男子を後に呼ぶと。次の年はまた男子を先に呼んで、後に女子を呼ぶということがあってもいいかなと思っておりますが、これはいずれにしても、私は学校の判断に任せたいと考えております。

【堀江議員】
 女性の平等をめぐる歴史的な到達点を見てみますと、私ども女性は戦前は選挙権もなくて、政治の参加ももちろん許されておりませんでした。戦後に制定された今の憲法のもとで、女性の参政権でありますとか、法のもとの平等でありますとか、あるいは基本的な人権でありますとか、あるいは両性の合意のみによる婚姻のもとでの家父長制度の廃止でありますとか、そういう意味では、この男女平等という観点は上から与えられたものではなくて、私は多くの先人たちの大変なご苦労のもとで勝ち取られたものだと理解をしているんです。

 そういう意味で、今、寺田教育長が言われた、じゃあ、女子から先に呼んだらいいのか、じゃあ、あいうえおの「あ」が優先されるのかという、そういうたとえをよく使うんですが、そういうこととは違うんですよ。歴史的に見て、今まで男性が先、女性が後ということで、学校の現場で使われたこの名簿というのは、私が先ほど言ったように、隠れた性別役割の教育と言われてきて、これはずっと是正を求められているんです。だから、男女混合名簿は何度も言いますが、個人を尊重するということなので、それは女が先に言えばいいとか、そういう問題じゃないんですよ。

 ぜひ男女混合名簿、少なくとも入学式・卒業式においては混合で呼んでほしいということをぜひ強く要望したいと思います。

【江頭義務教育課長】
 かねてから、この男女混合名簿にかかわる議会での質問は、頭に「ジェンダーフリーにかかわる男女混合名簿の使用については」というただし書きがあったと記憶しております。つまり、男女混合名簿そのものを否定しているのではなくて、男らしさ、女らしさを否定したり、あるいは行き過ぎた性教育等にかかわる、そういう思想性に基づく男女混合名簿の使用についてはやっぱり考えていく必要があると。そういった趣旨の答弁を歴代の教育長さんはされてきた経緯があるということを答弁させていただければと思います。

【堀江議員】
 ジェンダーフリーに基づく男女混合名簿を作成することがあってはならないという意味はどういうことですか。入学式や卒業式で使ってはならないということなの。

【江頭義務教育課長】
 義務教育の場合にこの混合名簿の使用が増えてきたのは平成13年度だったんですが、これは県の男女共同参画計画というのが策定された、そのことをきっかけに小中学校においても使用する学校が増えてきておるわけですが、基本的にそれぞれの特性を認め合いながら、ともどもに生きていける社会をつくっていこうという物の考え方で、混合の名簿というものについてのあり方も考えていこうと。結果として、混合の名簿が増えてきた。ただし、名簿については身体検査等、発達段階等も踏まえて、男女別の方がいいという、そういう機能性に応じて別名簿をつくったり、そして、そのことを必要としない場面においては混合呼名、あるいは混合名簿というものを考えていこうという学校の考え方、校長の判断が広がってきて、今の数字になってきているんだろうと思います。少しスピードは遅うございますが、確実に小中学校においては共同参画という視点に立った混合名簿の使い方が増えてきているということです。

 したがって、入学式・卒業式にあっても、それが別立てにするべきなのか、一緒にするべきなのかということの議論が一義的には学校でしっかりなさるべきだろうと。名簿を混合にすることが目的ではなくて、混合にするか否かの議論の中で男と女のかかわり方、職場での男女のかかわり方、自分自身の異性観、この世の中の男女の状況等を学び合うということが名簿を各学校で取り入れる際に議論として教職員の学習として行われることが必要だろうと。その結果として、義務の場合にはこれだけの数字になっているんだろうというふうに考えております。

【堀江議員】
 「ジェンダーフリーに基づく男女混合名簿を作成することがあってはならない」と、今まで県教委は答弁をしてきたという中で、県内に行き過ぎた解釈があったのですか。

【江頭義務教育課長】
 長崎県内ではそういう事実は存在をしておりません。

【堀江議員】
 そしたら、例えば、入学式・卒業式という一番大事なそういう部分については、別に男女別ではなく、男女一緒に呼んでもいいと私は思うんですが、それはジェンダーフリーに基づく男女混合名簿になるんですか。

【江頭義務教育課長】
 先ほど、堀江議員が別立てに必要に応じて名簿を作成すればいいというお話がございました。つまり、そのことが、いわゆる私も男ですから、女性が歴史的に置かれてきた状況をすべて理解するということはできないだろうと思うんですが、現実の社会の中での男女の役割の問題だとか、性差というものを尊重し合いながら、ともどもに学校社会の中で生きていく、この社会の中で生きていく男と女のかかわり合いを考えていく一つの手がかりにはなっていくんだろうと思います。

 したがって、分ける必要があるものは分ける、分ける必要がないものは分けなくても構わないという議論を、やっぱり学校の中できちんとやっていく必要があるだろうと。

【堀江議員】
 ジェンダーフリーに基づく男女混合名簿を作成することがあってはならないと。県内に行き過ぎた解釈はこれまでありませんでしたと。そしたら、学校がそれぞれの判断で入学式・卒業式を混合にやりたいとなれば、それはそれで構わないということですよね。だから、入学式・卒業式を混合名簿にしたことで、それが「ジェンダーフリーに基づく男女混合名簿を作成することがあってはならない」には該当しないんですよね。

【江頭義務教育課長】
  私どもが主張したのは、あくまでも「ジェンダーフリーに基づく」という前置きの上での男女混合呼名、男女混合名簿ですから、先ほども言いましたが、互いに男女を性差を超えて尊重し合うということの必要性の議論の中から、この場面では混合にした方がいいだろうという判断があれば、それは混合にしても一向に差し支えないものと考えています。

【堀江議員】
  「ジェンダーフリー」というのは、日本語で短く訳すと、今の時代は「性の平等」と短く使うんですね。少なくともそこのジェンダーフリーをどう略するかという部分では、非常に見解の相違があるというふうに私は思っているんです。入学式であっても、卒業式であっても、学校長が混合でやるとなれば、それは県教委がああだこうだ言うことではないし、また、これまでも言っていないと理解をいたしました。

 そこで、私としては質問の最後としては、県立高校にあっても、入学式・卒業式については混合で呼んでいただきたいということを、要望して、質問を終わりたいと思います。